便秘で腹痛?お腹が痛い原因とその対処法


「お腹が張って苦しい。」
「なんとなくお腹の痛みを感じる。」

こんな時、原因のひとつとして考えられるのが、「便秘」です。

便秘になると便が出ないだけでなく、「お腹が張る」「おならが溜まりやすくなる」「過度におならが出る」症状や、「お腹が痛い」「お腹が苦しい」といった不快感が現れることもあります。

ただし、腹痛は便秘のせいだけとは限りません。例えば、「強い痛みがある」「吐き気を伴う」「出血がある」などの症状を伴う場合には、別の病気という可能性も考えられます。
気になる症状が現れたら、勝手な自己判断はせず、早めに専門の医師に相談することをおすすめします。

今回は、便秘によって腹痛が起きている場合の対処法と、そもそもの原因である便秘の解消法をご紹介します。

ひどい便秘は腹痛の原因に

同じ便秘でも、腹痛の症状を伴う場合もあれば、伴わない場合もあります。痛みを感じる場合とは、いったいどんな状況なのでしょうか?

便がお腹に溜まってくると、お腹が苦しいだけでなく痛みを感じることがあります。はっきりとした痛みのこともあれば、なんとなく重苦しくてお腹の張りとして感じることもあります。

他にも、便秘の場合にはさまざまな症状が現れることがあります。お腹の痛み以外に、便の回数が少なくなって、次のような症状がある場合は、便秘が原因である可能性があります。

便秘の時に現れやすい症状

  • お腹が張る、お腹が出る
  • おならが頻繁に出る
  • お腹にガスが溜まった感じがする
  • 気持ち悪い(むかつき、吐き気)
  • 便が硬く、排便の時に痛む

腹痛の原因は、腸に溜まった便とガス?

便が腸内に長い間留まると、腸の内容物が腐敗します。そのせいで、悪いガスが発生して腸が膨張します。
そうすると、お腹が張ったような症状や、膨らんだ腸により周辺の臓器が圧迫され、お腹が痛くなったり気持ち悪くなることがあります。

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お腹に溜まったガス(おなら)を出す方法は、以下の記事でまとめています。参考にしてください。

ガスを減らすには腸内環境の改善を!

ガスが増えてしまうのは、便秘や食事の乱れなどで、腸内に「悪玉菌」が増えてしまうことに関係している場合があります。悪玉菌の働きのせいで、なぜ便秘になるのでしょうか?

悪玉菌が悪いガスを発生する

悪玉菌は腸内でガスを発生させて、腸の動きを悪くしてしまいます。そのせいで、お腹の張りや痛みの原因にもなります。

さらに、悪玉菌によりガスが増えると便秘になりやすくなり、便秘になるとますます腸の中で腐敗がおきてガスが増えてしまいます。これでは悪循環です。

ガスが溜まってから、その都度ガス抜きをして対処したのでは、根本的な解決にはなりません。

ガスを減らすには便秘を改善することも必要ですが、便秘の有無に関わらず悪玉菌を減らし、腸内環境を整えることが解決への鍵となります。

腸内環境を整えて根本的に対処

そこで腸内環境をいかに整えるかということになりますが、まず基本は食事と生活習慣の見直しです。

悪玉菌を増やす原因となる肉食傾向、脂肪分の多い食事は減らしましょう。また、野菜、海藻類を意識して食べるようにすることも大切です。

また、善玉菌である乳酸菌を摂取するには、発酵食品がおすすめ。代表的なのはヨーグルトですが、他にも伝統的な漬物やキムチ、味噌なども良いでしょう。

乳酸菌とビフィズス菌に注目!

乳酸菌
さらに、大腸に注目すると、乳酸菌だけでなくビフィズス菌を増やすことが大事です。特に、ビフィズス菌は大腸でもっとも多い菌であり、90%以上を占めているほどです。

ただし、ビフィズス菌は天然の食品には含まれていないため、加工されたヨーグルト以外で摂取するのは難しいという問題があります。

ビフィズス菌を外から効率よく摂取して増やすには、ビフィズス菌入りサプリメントを活用する方法もおすすめです。ビフィズス菌の働きにより、悪玉菌が減り善玉菌が増えれば、ガスも減って便秘やガスを改善することもできるでしょう。

乳酸菌とビフィズス菌の違いについては次の記事で詳しく説明しています。根本的に腸内環境を整えたい方はぜひ参考にしてください。

便秘と腹痛で考えられる病気

医者に相談する女性

腹痛の原因が便秘だとしたら、便秘そのものが解消されれば腹痛からも解放されるはずです。
もし、腹痛が長く続いたり痛みがひどい場合、別の病気が隠れている可能性があります。そのような場合は、十分な注意が必要です。

便秘が解消しても腹痛が治まらない場合には、次のような病気の可能性も考えられます。早めに病院に行くようにしましょう。

便秘と腹痛が起こる病気

  • 過敏性腸症候群
  • 腸捻転、腸閉塞
  • 大腸がん
    ..など

それぞれの病気の特徴と症状について、簡単に解説します。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群の原因は、まだ全てが解明されたわけではありません。しかし、ストレスや緊張が原因で起こることが多いと言われています。

「下痢型」「便秘型」「混合型(下痢と便秘を繰り返す)」の3つのタイプがあり、便秘型では便秘の他に腹痛や吐き気・嘔吐などが起こることがあります。

過敏性腸症候群の中でも、便秘を引き起こす「便秘型」について、詳しくは以下の記事にまとめています。

腸捻転、腸閉塞

腸の一部がねじれてしまう腸捻転(ねんてん)や、腸の内容物が動けなくなって腸がふさがってしまう腸閉塞(へいそく)が起こると、便やガスが腸内に留まり、便秘や激しい腹痛が起こります。

吐き気や嘔吐、めまいなどが起こることもあります。緊急で手術が必要な場合もあるため、早めの受診が大切です。

大腸がん

大腸がんになると、腫瘍により大腸が狭くなって便秘を引き起こしやすくなります。便に血が混じる(血便)症状により発見される場合もあります。
「がん」と聞くと、年齢が上の方に多いと思われそうですが、若いからといって油断は禁物です。年代に関係なく、定期検診などで検査しておくことが大切です。

いずれも重大な病気ですから、便秘と腹痛の症状が強い場合や、長く続く場合には、早めにお医者さんに診てもらいましょう。

 

他にも、腹痛の時に考えられる病気については、下の記事でも詳しく紹介していま。

主に、痛みがお腹の左下に感じる場合は、以下の記事を参考にしてください。

主に、痛みがお腹の右下に感じる場合は、以下の記事を参考にしてください。

お腹の痛みに対処する方法

腹痛の原因が便秘にある場合の対処法として、お腹を温めると楽になることがあります。

冷えて動きが悪くなった腸を、外部から温めてあげることで、動きを良くしてあげるのです。ただし、自己判断での処置は危険ですので、少しでも違和感がある時は医師の診断を受けるようにしてください。また、便秘以外が原因と考えられる場合にも自己判断せず医師に相談しましょう。

温め方には、いくつかの方法があります。中でも、次の方法が簡単でおすすめです。

お腹を外から温める

ブランケット、毛布

ブランケットや毛布。お腹まで隠れるキャミソール、腹巻きなど利用します。腰周り、お腹周りを冷やさないようにお腹に巻いてあげます。

この時、お腹を締め付けすぎると血流が悪くなるので逆効果になってしまいます。きつめの下着やスキニーパンツなどの洋服は避け、ゆったりとした服を選びましょう。

マッサージ

おへそから下腹の辺りを、「の」の字を書くように反時計回りに優しくマッサージしましょう。1~2分でお腹が温まってきます。

のの字

この時、手が冷たいと逆効果になってしまうため、手をこすり合わせたり、お湯などで温めてから行いましょう。

また、痛みが強い場合には、マッサージにより痛みが悪化してしまうこともあるため、様子を見ながら行い、痛みが強い場合には中止するようにしてください。

お腹を中から温める

温かい飲み物

水を飲む女性

温かい飲み物を飲むと、血流が良くなります。お腹を中から温められるだけでなく、全身も温まります。ホットミルクやホットココア、ハーブティー、しょうが湯などがおすすめです。

便秘がひどい時には、食欲が落ちてしまうこともありますが、無理に食べない方が良い場合もあります。
もし食べるなら、お腹に優しいうどんやスープなどを、少し口にするくらいにしておきましょう。

お腹の痛みを和らげるツボ

手の親指と人差し指の間にある、合谷(ごうこく)と言われるツボを、反対の手の親指で押しましょう。このツボは、便秘とお腹の痛みの緩和に効果があるとされています。

この時、ギューっと力任せに押すのではなく、少し痛みを感じるくらいの強さで押しましょう。

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以上のように、お腹を温めたり、ツボ押しすることで、便秘による腹痛は一時的に落ち着くかもしれません。

しかし、一時的に痛みを和らげることができても、便秘が改善されたわけではありません。便秘が根本的に治らなければ、また痛みが再発することになります。便秘を根本的に解消することを目指しましょう。

便秘による腹痛に悩まされないために

注意を促す女性

便秘による腹痛を根本的に解消するには、日頃から生活習慣や食事に気をつけることが大切です。

便秘の主な原因

  • 運動不足
  • お腹の筋力不足
  • 水分不足
  • 食物繊維不足
  • 不規則な食生活
  • 不規則な生活リズム
  • ストレスや環境の変化(引っ越しや旅行など)
  • トイレの我慢
  • 年齢

便秘を解消する具体的な方法については、以下の記事に詳しくまとめています。

ここからは、便秘の解消に効果的な方法をいくつか抜粋してご紹介します。

マッサージで便秘を解消する

運動不足が原因で便秘になってしまった人も少なくありません。しかし、運動を習慣にしようと思っても、途中で挫折してしまうこともあるでしょう。また、忙しくて時間が取れないという人も多いはずです。

そんな場合は、お腹のマッサージを習慣化してみましょう。マッサージならテレビを見ながらでもできるので、続けやすいと思います。

他にも、左手首のしわの小指側にある、神門(しんもん)と言うツボの刺激も効果的です。神門は腸の動きを活発にするので、便秘に効果があります。

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水分をしっかりと摂る

便秘で便がカチカチに硬くなってしまうと、お腹が張ってますます排便が難しくなってしまいます。

カチカチ便の原因の一つとして考えられるのは、水分不足です。忙しくて水分を摂る暇がない人は要注意です。また、夏場になって便秘になる人は、汗をかいて水分を失いがちになることも関係します。

1日あたりの水分量としては、1.5Lから2.0Lは摂りたいところです。一度に一気飲みしても吸収が追いつかないので、少しずつ飲むようにすることがポイントです。
お腹が痛い時には、冷たい飲み物は避けて常温にして飲むようにすると良いでしょう。

食べ物で便秘を解消する

食事をしている女性

便秘を解消するには、腸内細菌の中でも善玉菌を増やすことが大切です。

善玉菌を増やす効果がある成分としてはとしては、食物繊維乳酸菌が有名です。他にも、オリゴ糖グルコン酸も効果があります。

ただし、食物繊維の摂り方には気をつけなければいけません。お腹が痛い時に、腸に刺激を与える不溶性食物繊維(玄米、豆類などに豊富に含まれる)を食べ過ぎると、逆にガスが溜まってお腹が痛くなってしまう場合もあります。
お腹が痛い時には消化に負担をかけない食べ物を選ぶようにしましょう。

以下の記事では、これらを含む食べ物を具体的に紹介しています。ぜひ参考にしてください。

ただし、食べ物で腸内環境を整えるには、時間や知識が必要です。時間をかけて自炊をする暇のない人には、あまり現実的とは言えません。
善玉菌の含まれる食事をバランスよく食べる機会が少ないという方は、整腸剤で乳酸菌やビフィズス菌を効率よく摂取する方法もあります。

こちらの記事では整腸剤の選び方や違いについて詳しく説明しています。お腹のトラブルに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

さいごに

便秘になってお腹が痛い時、まずは便秘を解消することを目指しましょう。日頃から根本的に便秘を防ぐための対策をすることも必要です。

ただし、腹痛をおこすほどに悪化してしまった場合には、なんらかの病気の疑いもあり自己判断で対処することは危険です。便秘が原因と決めつけてしまって大事な病気のサインを見過ごさないように注意深く判断しなければいけません。少しでも不安があれば、ためらわずにお医者さんに相談することをおすすめします。