ラックビーはどんな薬?効果と副作用、他の整腸剤との違い
監修・執筆:笹尾(薬剤師)
ラックビーは病院から処方される医療用の整腸剤です。
気になる効果、副作用、飲み方について知っておくと安心です。
市販で買えるのか、種類や他の整腸剤との違いについても詳しく解説します。
目次
ラックビーってどんなお薬?
ラックビーを処方されたら、まず知りたいのはどんなお薬なのか?ということではないでしょうか。
特徴と種類、市販で買えるのかについても説明します。
ラックビーは医療用の整腸剤
ラックビーは医療用の整腸剤として歴史の古い薬で、お腹の調子が悪い時、吐き気がある時などに処方されることがあります。
成分としてはビフィズス菌のみが含まれています。
整腸剤にはいろいろな種類がありますが、ラックビーは子供から高齢者まで幅広く使われるお薬です。
ラックビーの種類
ラックビーは整腸剤のブランド名であり、お薬としては3つの種類があります。
- ラックビー錠剤
- ラックビー微粒N
- ラックビーR散
ラックビー錠剤、ラックビー微粒Nは、いずれも1回に摂ることのできるビフィズス菌の量は同じです。飲みやすさや年齢などによって使い分けられます。もし粉薬が苦手な場合には錠剤の方が飲みやすいでしょう。
また、ラックビーR散だけは少し性質が異なり、抗生物質に強いタイプの菌が配合されています。他の2つと違って、抗生物質と一緒に使われることが原則です。
ラックビーは市販では買える?
ラックビーは全く同じブランドとして市販で買うことはできません。
そのため、ラックビーが欲しいということであれば、病院から処方してもらう必要があります。
しかし、同じビフィズス菌を主成分とする整腸剤であれば市販されているので、場合によっては代用することも可能です。
例えば、新ビオフェルミンSはビフィズス菌を含んでいる市販の整腸剤です。
1日で摂取できるビフィズス菌量はラックビーと比べると少なくなりますが、他の乳酸菌成分が一緒に含まれています。
ただし、病気がある場合には病院で処方してもらった方が安心です。市販薬で対処できるのかどうかは医師等に相談してから判断した方が良いでしょう。
ラックビーは他の整腸剤と何が違う?
ラックビーと同じような整腸剤は医療用にも市販薬にもいろいろな種類があります。
例えば、成分だけの違いで言えば、医療用ではビオフェルミン錠剤にもビフィズス菌が含まれています。
また、他の整腸剤では乳酸菌が配合されているものもあります。
整腸剤は患者さんの状態や症状によっても使い分けられます。
もし、あまり効果が感じられない場合には他の整腸剤を試してみるというのも手です。
添加物などの差もあるため、体質によっては合わない整腸剤もあるでしょう。
市販の整腸剤について知りたい方は、次の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひ読んでみてください。
ラックビーの効能効果は?
ラックビーにはどんな効果があるのでしょうか?
便秘、下痢への効果について解説します。また、服用期間についても確認しておきましょう。
効能効果の解説
お薬の説明書である添付文書によると、ラックビーの効能効果は次の通りです。
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
他の医療用の整腸剤にも共通している効能効果と同じです。
「腸内菌叢(ちょうないきんそう)」というのは、「腸内細菌叢」や「腸内フローラ」ともいわれます。
腸内にはさまざまな種類の腸内細菌が住んでいて、それぞれが集団(コロニー)を作っています。
この腸内菌叢が乱れると、腸内細菌のバランスが悪くなり、お腹の調子が悪くなります。
例えば、便秘や下痢、軟便のような症状です。ラックビーは腸内細菌のバランスを整えて、腸の調子を正常に近づけて、お腹の不快な症状を改善します。
ビフィズス菌、乳酸菌の効果については次の記事で詳しく解説しています。
もっと良く知りたい方はぜひ読んでみてください。
どれくらい飲み続けたら効果がある?
服用期間については医師からの指示を守って、処方された期間飲みきることが原則です。
ほとんどの場合で、3日以上処方されますが、症状によっても異なります。
症状が良くなったからといって、自己判断で中止してしまうことはおすすめできません。
腸内細菌の乱れが元に戻るには時間がかかるため、医師の指示に従うようにしましょう。
便秘には効果はあるの?便秘薬との違いは?
ラックビーは便秘の治療で処方されることはあまり一般的ではありません。
病院では整腸剤よりも便秘薬の方が便秘に対しては優先的に処方されているような実態があります。
臨床試験の結果によると、”便秘症に対して成人79.2%で改善が見られた”と報告されています。
参照:ラックビー添付文書
でも、ビフィズス菌の効果の面から考えれば、腸内の悪玉菌を減らすことにより、ゆっくりと便通が改善する可能性があると考えられます。
便秘薬は長く使用していると効きが悪くなったり、副作用の不安がありますが、その点では整腸剤は安全です。
便秘を改善するために整腸剤を希望するのであれば、まずは医師に相談してみると良いでしょう。
もしくは、市販の整腸剤を活用する方法もあります。
市販の整腸剤については、次の記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひ参考にしてください。
下痢にも効果があるのはなぜ?
ラックビーは下痢のときに処方されることがあります。
下痢の時には腸内細菌のバランスが乱れていることがあるため、ラックビーで改善をはかるためです。
臨床試験では、”下痢症に対して成人81.0%に改善が見られた”との報告があります。
ラックビーは下痢に対して効果的なお薬だといえます。
ただし、医師の判断によっては下痢止めが使われることもあります。
参照:ラックビー添付文書
ラックビーの飲み方
ラックビーは基本的には医師の処方の元に使われるお薬なので、指示通り守って飲むようにしてください。
お薬の説明書では次の通りに飲み方が決められています。
ラックビー錠
通常、成人は1回1〜2錠(主成分として10〜20mg)を1日3回服用しますが、治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。必ず指示された服用方法に従ってください。
ラックビー微粒N
通常、成人は1回1〜2g(主成分として10〜20mg)を1日3回服用しますが、治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。必ず指示された服用方法に従ってください。
また、食後に必ずしも服用しなければお薬ではないので、吐き気があって食欲がない時などは食前でも飲むことができます。
飲み忘れを防ぐため、通常は食後に服用するのが一般的です。
ラックビーの副作用は?
ラックビーを飲む上で気になるのは、どんな副作用があるということではないでしょうか?
副作用や長期の使用について説明します。
副作用はあるの?
ラックビーなどの整腸剤は安全性が高いタイプのお薬ではありますが、体質によっては副作用が出ることもあります。
ラックビーでは次のような副作用に注意が必要です。
腹部膨満感、発疹
腹部膨満感とはお腹のハリを感じる症状のことです。
また、発疹とは体に湿疹のような症状がでることをいいます。他にも体調変化があれば早めに医師に相談するようにしましょう。
飲み続けて大丈夫?クセにならない?
ラックビーは使用目的によっては長期間に渡って処方されることもあります。
医師が必要と判断した処方期間を守って服用することが大切です。
ラックビーは長期的に服用しても、特に問題は起こりにくいお薬です。また、便秘薬のように効きにくくなるようなことも考えにくいでしょう。
牛乳アレルギーでも大丈夫?
ラックビーR散は、牛乳アレルギーのある方は服用してはいけないことになっています。
牛乳由来成分が含まれているためです。
一方で、ラックビー錠、ラックビー微粒Nは現在の製品には牛乳由来成分が含まれていないため、制限は特に付けられていません。
他の整腸剤でも注意が必要な場合があります。牛乳アレルギーがある場合には事前に医師に伝えておくことをおすすめします。
妊婦、授乳婦、子供は飲める?
ラックビーは妊娠中、授乳中、小児でも服用することができます。
もし、不安な場合には、主治医に相談することをおすすめします。
抗生物質と一緒に飲む意味は?
抗生物質とは、感染のもととなる原因菌をやっつける抗菌剤のことです。
抗生物質は悪い菌だけでなく、腸内の大事な菌も殺してしまいます。
そのため、服用時にお腹が緩くなったり、下痢をおこすことがあります。
抗生物質による腸内細菌の乱れを防ぐために、ラックビーR散が抗生物質と一緒に処方されます。ラックビーR散は抗生物質により死なないタイプの菌(耐性乳酸菌)です。
処方された場合には、お腹の調子が悪くなくても服用することが大切です。
まとめ
ラックビーの効果や副作用について解説してきましたが、いかがでしたか?ラックビーは比較的安全なお薬ですが、飲み方や使用にあたっては注意が必要なこともあります。
お医者さんの指示に従って服用することが基本ですが、心配なことがあれば早めに相談するようにしましょう。
なお、市販の整腸剤で対処したい方は次の記事も参考にしてください。タイプ別におすすめの整腸剤を紹介しています。