市販の便秘薬の選び方と使い分け – 気をつけるべきことは?
市販の便秘薬にはいろいろな種類があって、どれを選んだら良いのか迷ってしまいませんか?自分の便秘の状態や体質にあった便秘薬を選ぶことで、効果的かつ安全に使えるようにしたいものです。
そして、市販薬であっても便秘薬を正しく服用しないと思わぬ副作用が起きることがあります。
この記事では、効果別におすすめの便秘薬の種類と正しい使い方についてお話していきます。
市販の便秘薬はどんな時におすすめ?
便秘といっても、原因や状態によって市販薬を使って対処すべき時と、病院に行ってみてもらった方がよい場合があります。市販薬はどんな時に使うといいのでしょうか。
旅行先などで急に便秘になってしまった時
旅行で慣れない場所に行ったとき、時差がある旅行のとき、または旅行でなくても急にトイレを我慢しなければならない状況になった時には一時的に便秘になりがちです。
普段は違うのに、急に便秘になってお腹が張って苦しい、早くなんとかしたいという方には市販の便秘薬が頼りになります。
慢性的な便秘で悩んでいる時
普段から便秘がちで、便秘を繰り返しているような慢性の場合にも、市販薬の便秘薬で対処することができます。続けて飲むことは副作用の面からおすすめではありませんが、便秘になったら飲むというように活用すると良いでしょう。
病院に行った方が良いのはどんな時?
次のような場合には市販薬で自分で対処するのではなく、病院に行ってお医者さんに相談することをおすすめします。便秘の原因には、大腸ガンや腸閉塞といった腸の病気が隠れていることもあるので注意しましょう。
- 普段便秘になることが無いのに、急に便秘になりやすくなった
- 腹痛がある
- 便に血が混じる
- お薬を使っても便秘が良くならない
- 1週間以上も便が出ないなど症状が重い場合
タイプ別おすすめの便秘薬の種類と特徴
便秘薬は、誰がどのお薬を使っても、同じように効果があるとは限りません。便秘は腸の状態や原因によって、効きやすいお薬が違ってきます。あなたの便秘の状態に効果的なお薬を探して、使うようにしましょう。
腸の動きが悪い場合
腸のぜん動運動が弱くて便意が起こりにくい場合や、女性に多い筋力不足で便秘になりやすい方などには、大腸を刺激するタイプの便秘薬がおすすめです。
ただし、大腸刺激性の便秘薬(下剤)は使いすぎや長く使い続けることで、効果が出にくくなってしまうことがあるため、必要最低限にとどめるようにしてください。
大腸刺激作用が強めのタイプ
成分の量や種類が多めに配合されているため、効き目が良い
<コーラック(大正製薬)>
- 大腸を刺激するビサコジルを配合
- 飲む量の調節はできない
<コーラックⅡ(大正製薬)>
- 大腸を刺激するビサコジルと便に水分を与えるDSSを配合
- 自分で飲む量を調節できる
<スルーラックS(エスエス製薬)>
- 大腸を刺激する生薬成分センナとビサコジルをダブルに配合
- 飲む量を調整できる
スルーラックについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
<タケダ漢方便秘薬(武田薬品工業)>
- 漢方でも効果が早い
- 大黄甘草湯を配合
タケダ漢方便秘薬について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
<カイベールアロエプラス(アクラス)>
- アロエとセンノサイドが大腸を刺激する
- DSS(ジオクチルサクシネート)が便を柔らかくする
初めての方にも使いやすいタイプ
1錠あたりの量が少なくて調節しやすい
<ビオフェルミン便秘薬(ビオフェルミン製薬)>
- ビフィズス菌、乳酸菌を配合し、整腸作用もある
- 大腸を刺激するピコスルファートナトリウムを配合
- 11歳から服用できる
ビオフェルミン便秘薬について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
<コーラックファースト(大正製薬)>
- 大腸を刺激するビサコジルと、便をやわらかくするDSSを配合
- 11歳から飲めるように、1錠あたりの配合量が少なめ
コーラックについて、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
大腸刺激系の便秘薬における注意
- けいれん性便秘の場合は要注意
ストレスなどが原因で大腸がけいれんしたような状態となる「けいれん性便秘」では大腸が狭くなることで便秘になります。また、便秘と下痢を繰り返すような場合もあります。
けいれん性便秘の場合には、大腸を刺激するタイプの下剤を使うと、逆に腹痛や便秘が悪化することもあるので注意が必要です。
- 妊娠中、授乳中は相談すること
妊娠中、授乳中に大腸を刺激する成分を含むお薬を使う場合には、出産や赤ちゃんに影響する可能性もあるため、特に慎重に用いるようにしてください。不安な場合には医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。
肛門近くで便が詰まっている場合
肛門近くの直腸のあたりまで便が降りてきているにも関わらず、トイレに行っても便を出せない、硬くなって詰まっているというような直腸性の便秘の場合には、次の便秘薬がおすすめです。
<オイルデル(小林製薬)>
- オイル成分が入っていて便をスルッと出しやすくする
- 便に水分を与えるDSSを配合
- 肛門あたりで硬くなってしまった便秘に
<コーラック坐薬タイプ(大正製薬)>
- 成分が直腸で溶けて炭酸ガスを発生し刺激する
- 10分から30分で効果が現れるため即効性が欲しい時に
症状がひどい場合早めに病院へ
便が詰まってしまって出てこないという場合、ひどい場合には腸閉塞などの病気に関わる可能性もあります。改善がみられない時は、早めに病院でみてもらうようにしてください。
なるべく自然なお通じを期待する場合
便のかさが少なくて便意が起こりにくい場合や、お腹がなるべく痛くなりにくく自然に近いお通じを求める場合には、次のようなファイバー配合の便秘薬がおすすめです。ただし、大腸刺激成分が入っているため、長期使用と使いすぎには気をつけましょう。
<スルーラックデトファイバー(エスエス製薬)>
- ファイバー成分のプランタゴ・オバタが便のかさを増やす
- 腸粘膜を刺激するアロエとセンナを配合
- どくだみ由来のジュウヤク配合で肌荒れにも効く
<コーラックファイバー(大正製薬)>
- ファイバー成分のプランタゴ・オバタが便のかさを増やす
- 生薬のセンナとケツメイシが大腸を動かす
- パントテン酸、ビタミンB1が腸を整え、ビタミンB6配合で肌荒れにも
<新ウィズワン(ゼリア新薬)>
- ファイバー成分のプランタゴ・オバタが便のかさを増やす
- 大腸を刺激するセンノシド配合
- カスカラ・サグラダ乾燥エキス配合
便秘薬でお腹が痛くなりやすい人に
大腸を刺激する成分の入った便秘薬を飲むとお腹が痛くなってしまい、どうも苦手・・という方には、次のような非刺激性の便秘薬がおすすめです。
<ミルマグLX(エムジーファーマ)>
- 水分を腸から引き出して便を柔らかくする水酸化マグネシウム配合
- レモン味で飲みやすい
- 5歳以上から飲める
<ミルマグ液(エムジーファーマ)>
- 白くとろっとした液体で錠剤が苦手でも飲みやすい
- 甘味料や香料は入っていないから安心
- 3歳から飲むことができる
<3Aマグネシア(フジックス)>
- 活性酸化マグネシウムを配合しているため水分を与える力が強い
- 5歳以上から飲める
3Aマグネシアについて、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
<スラーリア便秘薬(ロート製薬)>
- 便をやわらかくする酸化マグネシウムを配合
- 口の中で溶けやすいので、腸まで速やかに届く
腎機能や心臓に問題がある場合は要注意
酸化マグネシウム製剤を使う場合には、腎臓や心臓などに問題がある場合には気をつけて使用する必要があります。不安な場合にはあらかじめお医者さんまたは薬剤師に相談するようにしてください。
すぐに排便したいという時
旅先などですぐに効果が欲しい時や、便がなかなか出ない頑固な便秘の時。やお薬を飲むのが難しいお子様や高齢者の場合には、浣腸や坐薬を使う方法もあります。
ただし、浣腸や坐薬の使いすぎは、腸が刺激に慣れてしまうことがあるため、最小限に止めるようにしましょう。繰り返し使うような場合はお医者さんに相談しましょう。
<イチジク浣腸(イチジク製薬)>
- 3分から10分程度ですぐに効果が現れる
- 旅行先や大事な用事があって当日中にすぐに排便したいとき
- 赤ちゃんからお年寄りまで選んで使える
<新レシカルボン坐剤S(ゼリア新薬)>
直腸で炭酸ガスを発生して、自然に近いお通じをもたらす
12歳以上から使用できる
便秘体質を改善したい
便秘になりやすい体質を元から改善していきたいという場合には、漢方薬を活用するのがおすすめです。便秘に効く漢方はいろいろな種類があります。体質によって使い分けることが効果を得るためのポイントです。
<ツムラ桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)エキス顆粒(ツムラ)>
- お腹が張って痛みを感じやすい
- 出てもスッキリしない
- 冷えがある場合
<ツムラ防風通聖散(ボウフウツウショウサン)エキス顆粒(ツムラ)>
- お腹周りに脂肪が多く、肥満気味
- 体力が充実しているタイプ
- 肩こり、のぼせ、むくみなどを伴う便秘に
<ワカ末漢方便秘薬(クラシエ)>
- 慢性的な便秘でお腹が苦しくなりやすい
- 余分な熱が腸に溜まって便が乾燥している
- ストレスや緊張などがある
- 食欲はあるのに、すっきり出ない
<麻子仁丸料エキス錠(クラシエ)>
- コロコロ便で大便が硬く乾燥しがち
- お腹が痛くなりにくい
便秘に効く漢方については、こちらの記事を参考にしてください。
腸内環境を改善して便通を整えたい
なるべく便秘薬は使いたくないという方や、腸内環境を整えて自然なお通じに戻したいという方には、整腸剤もおすすめです。便秘薬よりは効果が出るまでに時間がかかりますが、続けることで便秘を改善する効果が期待できます。
<太田胃散整腸薬デ・ルモア(太田胃散)>
- ビフィズス菌などの整腸生菌を配合
- 水酸化マグネシウムが便を柔らかくする
- 生薬のケツメイシとチンピが排便をサポート
<ザ・ガードコーワ整腸錠α3+(興和)>
- 納豆菌、ビフィズス菌、乳酸菌が腸全体を整える
- 胃薬成分も配合されている
- ガスを抑える成分がお腹のハリを速やかに改善
整腸剤についてはこちらの記事でお悩み別の選び方を紹介しています。
便秘薬を飲んでいても便秘は治らない!?
ここまで便秘薬についてお話してきましたが、便秘薬を飲み続けても便秘を根本的に治すことはできません。それに、長期的に使うことは副作用の危険だけでなく、自然な便意を失うことにもなりかねないのです。
便秘薬を使って便が出たとしても、一時的な対処をしたに過ぎず、原因を取り除かない限り便秘を繰り返してしまうことでしょう。それでは便秘が良くなったとは言えませんよね?
根本的に解消するためには、食事を見直したり、ストレスを減らすなど、原因を解決するようにしましょう。
腸内環境の改善が必要!
便秘を繰り返さないようにするには、合わせて腸内環境を合わせて改善していくことも必要です。サプリメントで乳酸菌を摂取したり、食事から発酵食品を取り入れるのもおすすめです。
便秘の改善に役立つサプリメントについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
市販の便秘薬でも副作用と長期使用には注意を!
市販薬であるからといって安全ということではなく、便秘薬を使う時には注意が必要です。特に次のような副作用と長期使用によるデメリットについては、きちんと理解しておくことが大切です。
市販の便秘薬で注意したい副作用
大腸を刺激するタイプの成分が入っている場合には、お腹が痛くなることがあります。苦手な方は腹痛が起こりにくい便秘薬を選ぶようにしましょう。
また、効果が強く出てしまうと下痢や軟便になることもあります。もし強いようならば量を調整したり、服用を中止して様子をみましょう。
成分が体質に合わない場合には、かゆみや赤みなどの皮膚症状が出ることもあるので気をつけましょう。
長く飲み続けるのは危険?!
便秘薬の中でも大腸を刺激する成分が含まれるタイプは、長く飲み続けないことが大切です。飲み続けることで、大腸が刺激に慣れてしまい、お薬の量がどんどん増えてしまったり、お薬が効かないなんてことにもなりかねません。
さらに怖いことに、自然な便意を失ってしまうということも考えられます。特にダイオウ、センナ(センノシド・センノサイド)、アロエなどの大腸刺激性の成分では大腸が黒くなる「大腸メラノーシス」を起こす場合もあるため注意が必要です。
詳しくは便秘薬の副作用について次の記事で解説しているので参考にしてください。便秘薬を飲む前に、副作用についてよく知っておくと安心です。