便秘の種類を7つに分類!あなたはどのタイプ?


便秘の種類は様々ですが、原因によって分けることができます。便秘を解消するためにも、自分の便秘の種類と原因を知ることが大切です。今回は、便秘の種類とその原因についてお話します。また、種類別におすすめの対処法も紹介していきます。

便秘の種類とは?

便秘の種類はいろいろな方法で分類することができます。ここでは、まず大きく2つに分けてお話したいと思います。

便秘の種類(図)

機能性便秘

腸の動きが悪い、腸が狭くなっているなど、腸の機能に問題がある場合を「機能性便秘」といいます。いわゆる、一般的に多い便秘のお悩みは「機能性便秘」に当てはまります。

さらに機能性便秘は上の図にあるように、大きく3つに分類することができます。

機能性便秘に分類できるのは、日々の生活習慣やストレス、環境の変化などで起きる便秘です。もし、なんらかの病気が関係している場合には、機能性便秘には当てはまりません。

機能性便秘の場合には、ある程度自分でも対処することができます。食生活や生活習慣などを見直したり、必要があれば便秘薬で対処しても良いでしょう。

器質性便秘

病気が原因となっている便秘は器質性便秘になります。例えば、大腸の炎症や、ガンなどで物理的に狭くなってしまったために、便が詰まりやすくなってしまった場合です。

器質性便秘の場合には、どれだけ生活習慣を改善したり、便秘薬を使って対処しても、解決にはなりません。原因になっている病気を治すことが必要になります。

機能性便秘の種類と原因、対処法

機能性便秘は次の5つに分類することができます。それぞれの原因や症状を見ながら、自分の便秘がどれに当てはまるのか見ていきましょう。

注意を促す女性

急性便秘(一過性便秘)

一時的に便秘になってしまった場合には、急性便秘に当てはまります。長く便秘が続いているのではなければ急性便秘かもしれません。原因としては次のようなことが考えられます。

  • 旅行や予定があってトイレのリズムが崩れたとき
  • 試験や会議など緊張することが控えている
  • 就職、結婚、進級、異動など環境の変化が大きい時
  • 運動不足、病気で寝たきり、入院など一時的に運動が減った
  • 夏場、スポーツの後など急激な脱水があるとき

以上のような、身の回りや自分自身の居場所の変化などで、便秘になってしまうケースは少なくありません。

対処法

環境を元に戻すか、変化に体が慣れてしまえば、次第に便秘も改善されてくるはずです。便秘が気になるならば、一時的に便秘薬で対処すると良いでしょう。

慢性便秘

一時的に便秘になる急性便秘に対して、便秘が慢性的に続いている場合には慢性便秘になります。慢性便秘は原因によって次の4つに分けることができます。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は腸の動きが悪くなって起きます。特に意識して動かさなくても、腸は自ら運動して動いています。これをぜん動運動といいます。

弛緩性便秘では、ぜん動運動が悪くなることで、便秘になってしまいます。特に筋力が少ない女性や、高齢者に多い便秘です。便が腸に滞留する時間が長くなることで、便が硬くなってしまいます。

対処法

弛緩性便秘の場合には、腸の動きをよくするための、腹筋運動やジョギングなどの運動がおすすめです。また、腸に刺激を与えるために、食物繊維を摂取するのも効果的です。

また、お薬を使う場合には、刺激性下剤が効果が得られやすいですが、使いすぎには注意が必要です。

刺激性下剤の副作用については次の記事を参考にしてください。

処方薬

けいれん性便秘

けいれん性便秘は、腸の一部がけいれんしたり、緊張して狭くなることで起きる便秘です。原因としては、ストレスが考えられています。また、過敏性腸症候群の便秘型の場合にも、けいれん性便秘になります。

腸が狭くなっているので、細くて細切れの便や、コロコロとした兎糞状の便がでます。お腹の痛みを伴ったり、便秘と下痢を繰り返すこともあります。

対処法

原因がストレスにあるならば、ストレスを解消したり、リラックスすることが解決につながります。けいれん性便秘の場合には、大腸を刺激するタイプの下剤は逆効果となるので使用してはいけません。何かお薬を飲みたいのならば、整腸剤や乳酸菌サプリなどで腸内環境を整えるのが良いでしょう。

便秘解消に役立つ整腸剤については次の記事を参考にしてください。

乳酸菌サプリメントが気になる方は次の記事を読んでみてください。

直腸性便秘

直腸まで便が降りてきているのに、いきんでも便意を感じないため出せないタイプの便秘です。別名「スーパー便秘」と呼ばれることもあります。

トイレに行く時間がない、外出先で恥ずかしいなどの理由で、トイレを我慢してしまったことが原因になります。また、浣腸を使いすぎて、直腸が刺激になれてしまうことも原因になります。

対処法

実はトイレに行ってみると排便できることも多いので、トイレにいく習慣をつけることが有効です。また、正しい排便姿勢を取ると排便しやすくなります。前傾姿勢で、つま先立ちのようにかかとを上げて座る姿勢がおすすめです。

食事性便秘

食事の量が極端に少なかったり、腸を刺激する作用のある食物繊維の量が足りていないときに起きる便秘です。例えば、ダイエット中などで、ごはんの量を極端に減らしすぎたり、1日に食べる食事量や回数が減ったりすると便秘になってしまうことがあります。

食物繊維

対処法

朝食を食べると、排便へのスイッチが入りやすくなります。朝ごはんを抜いているなら、しっかり食べるようにしましょう。3食きちんと食べ、一汁三菜を目標にし、お米をしっかり食べましょう。

薬剤性便秘

なんらかの病気の治療のために、服用しているお薬の影響で便秘になることがあります。例えば、痛みどめに使われるモルヒネ、咳止めに配合されているリン酸コデインなどがあります。

抗コリン作用という働きをもつ成分でも注意しなければいけません。例えば、アレルギーのお薬の一部、精神神経系などのお薬などがあります。

対処法

便秘の原因になっているお薬を中止または減らすなどしないと、便秘がよくならない可能性があります。しかし、お薬の内容によっては治療のために服用を止められないこともあるでしょう。便秘が気になる場合には、主治医の先生によく相談してみましょう。自己判断でお薬を中止することは避けてください。

器質性便秘の原因、対処法

器質性便秘とは、腸の病気が原因となって起こる便秘のことです。大腸の炎症、ポリープ、腫瘍や閉塞(へいそく)などが関わっていることがあり、命に関わることもある危険な便秘です。

便秘の他にも、吐き気、激しい腹痛、嘔吐、出血、血便、粘液が混ざった便などが見られる場合には、注意が必要です。例えば、便秘を引き起こす病気には次のような種類があります。

  • 大腸ガン
  • 腸閉塞
  • 大腸ポリープ
  • 腸捻転
  • 甲状腺機能低下症
  • 過敏性腸症候群
  • 精神的な疾患(うつ病など)
    など

対処法

病気が背景にある器質性便秘の場合には、病院での治療が中心になります。もし、自分で対処していても便秘が改善しないという場合には、一度お医者さんに相談することをおすすめします。

女性特有の便秘とは?

お腹が張っている女性

上では紹介していない便秘の種類として、女性特有に見られる便秘があります。女性の方は、次の原因による便秘にも注意しましょう。

生理前のホルモン変化による便秘

生理前になると便秘がちになる方はいませんか?これは女性ホルモンの中でも排卵日以降から月経開始までに増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の影響です。

プロゲステロンは、体に水分を溜め込むようになり、腸の動きを悪くすることで便が硬くなってしまうのです。月経前症候群(PMS)の症状の1つともいえます。

対処法

女性ホルモンの影響によるものなので、完全に解消することは難しいかもしれません。PMSはストレスが多いと悪化しやすいため、入浴や軽い運動でリラックスするのもおすすめです。もし、PMSがひどい場合には、婦人科で相談して治療を受けてみるのも良いでしょう。

妊娠中、授乳中の便秘

妊娠中や授乳中には便秘になる方が多いようです。妊娠中はホルモンバランスの変化や、つわりによる影響、大きくなった子宮による腸への圧迫などが原因です。

また、授乳中には授乳による水分不足が便秘に繋がるといいます。

対処法

妊娠中、授乳中の便秘の場合は、お薬を使うよりも、まずは食物繊維を摂取したり、水分を摂取することで対処してみましょう。特に授乳中の場合、普段よりも多めの3Lから4Lの水分摂取がおすすめです。

どうしてもお薬を飲みたい場合には、妊娠中または授乳中に使っても良い便秘薬を選ぶことが大切です。市販薬も使えるものはありますが、心配な場合にはお医者さんから処方してもらうと良いでしょう。

妊婦でも飲める便秘薬について詳しくは次の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。

参照:日本大腸肛門病学会

参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)