腸が痛い!痛みがお腹の左下なら疑われる6つの病気と症状
「お腹の左下だけが痛い!」
「お腹全体が痛いけど、特に左下が痛い!」
お腹の左下が痛む・・という症状に悩んでいませんか?
腹痛には様々な理由が考えられますが、特にお腹の左下が痛いという場合に考えられる原因や病気をご紹介します。
ただし、自己判断は非常に危険です。あくまでも判断材料として参考程度にとどめ、もし痛みが気になるならお医者さんに相談するようにしてください。
目次
お腹の左下が痛い!疑われる病気や症状は6つ
お腹の左下のあたりには、大腸の肛門の手前側にある「S状結腸」があります。まるで「S」の字を描くようにカーブしていることから、この名前が付けられました。
このS状結腸のあたりは、大腸の中でも一番便が溜まりやすく、それに伴う痛みも出やすい場所です。
このS状結腸のあたりから左下の腹部までに、痛みが出やすい6つの病気や症状を見ていきましょう。
ただし、これ以外が原因という場合もあるので、自己判断はしないようにしてくださいね。いずれの病気であっても、早めに消化器科、胃腸科などを早めに受診することをおすすめします。
お腹の左下に痛みが出やすい病気・症状
- 潰瘍性大腸炎
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室症
- 過敏性腸症候群
- 大腸がん
- 便秘
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜が炎症を起こして、ただれや潰瘍を作る原因不明の病気です。
病変が現れる場所には個人差がありますが、左側大腸炎型というタイプでは大腸の左側を中心に炎症を起こします。
下痢・腹痛・血便・粘り気のある便が主な症状で、ひどくなると発熱や貧血、体重減少などの症状も見られます。
何らかの要因で免疫異常が起こって、大腸粘膜を過剰に攻撃してしまうことが原因と考えられていますが、はっきりとは解明されていません。
遺伝的な要因に加えて、肉食中心の食生活や腸内細菌のバランスが関係しているとも考えられています。
虚血性大腸炎
「虚血(きょけつ)」というのは特定の部分に血が届かなくなり酸欠状態となってしまうことをいいます。
大腸への血流が悪くなって栄養分や酸素が供給されなくなり、炎症や潰瘍が生じる病気です。左下腹部に多く現れやすいといわれていますが、腸のどこでも起きる可能性がある病気です。
特徴としては激しい腹痛・下痢・下血が主な症状で、嘔吐や吐き気、発熱が見られることもあります。
この病気の原因は不明ですが、動脈硬化などで血流が悪くなっているところに、便秘などの影響により腸内の圧力が上昇することが原因の一つとも考えられています。
参考:今日の臨床サポート
大腸憩室症
大腸憩室(けいしつ)症というのは、大腸粘膜が袋状になって、ところどころ腸の外側に突き出たものが多発する病気です。
発生部位に民族による違いがあり、欧米人においてはお腹の左側、日本人ではお腹の右側に発症することが昔は多かったそうです。
しかし近年、食の欧米化やライフスタイルの変化などにより日本人でも左側に発症するケースが増えています。左側の場合は、S状結腸あたりに発症しやすいとされています。
無症状で偶然に大腸検査で見つかることがあります。腹痛・下痢・便秘・腹部膨満感があって発見される場合もあるようです。また、便が詰まったりして炎症を起こすと、憩室炎となります。進行すると強い痛みが出てくるので注意が必要です。
参照:帝京大学医学部付属病院
過敏性腸症候群
大腸検査では特に異常がないのに、便秘・下痢・腹痛・腹部膨満感などが見られる病気です。
便秘型・下痢型・混合型(便秘と下痢を繰り返す)の3つのタイプに分類されます。この病気の場合にも、腹痛が左の脇腹から下腹部に多く現れると言われています。
腸のぜん動運動の異常や腸全体の知覚過敏が見られ、精神的なストレスが原因と言われていますが、原因ははっきりと判っていません。
詳しくはこちらを参考にしてください。
大腸がん
S状結腸は大腸がんが発生しやすい場所です。早期の大腸がんではほとんど自覚症状がありません。しかし、S状結腸に発生した大腸がんでは比較的早い段階で便に血が混ざることもあります。
また、腹痛・便秘と下痢を繰り返す・残便感などの症状も見られます。
原因はまだ全て解明されてはいませんが、飲酒や肥満、肉食中心で食物繊維の少ない食生活が一因であることが指摘されています。
病気の進行を食い止めるためには早期発見・早期治療が大切です。便のチェックや検便、大腸検査などを受けて早期発見を目指しましょう。
参考:国立がん研究センター
便秘
便秘の症状として、お腹の左下が痛むということもあります。腸の中でも最も便が溜まりやすいところが左下中央寄りのS状結腸のあたりです。この部分は、構造的にどうしても便が溜まりやすくなっています。
なぜ便秘で腹痛に?
腸は「ぜん動運動」することで便を肛門の方へと送り出し、排泄しやすくしています。ところが、ぜん動運動が弱かったり、水分不足で便が硬かったりすると、S字結腸のようなカーブの所で便秘を引き起こしてしまうことがあります。
お腹に溜まった便のせいで、腸が膨らむことが痛みの原因になります。また、ガスで腸が膨らむことで、周りの臓器を圧迫して痛みを感じることもあります。
便秘になりやすい生活習慣は?
便秘による腹痛を防ぐには、そもそもの便秘を改善し、繰り返さないように予防することが大切です。
食生活では、肉類などの動物性脂肪の摂り過ぎや食物繊維不足も便秘の原因になります。これらはガスの原因になる悪玉菌を増やしやすい食生活です。
また、排便を我慢することが多いと、便が溜まっても便意を感じなくなってしまって便秘になることもあります。
便秘解消法については、次の記事で詳しく紹介しています。便秘に悩んでいる、という方はぜひ参考にしてください。ただし、便秘が原因かわからない場合には、自己判断せず医師にご相談ください。
ガスを取り除いて対処しよう
便秘になるとますます腸内環境が悪化して悪循環にも繋がってしまう恐れもあるので要注意。腸内環境が悪化すると腸で悪さをする悪玉菌が増えて、ガスが増えてお腹の張りや痛みが出てくることもあります。
お腹のガスを抜いて根本的に対処する方法については、次の記事で詳しく紹介しています。今すぐガスをなんとかしたいという方も参考にしてください。ただし、痛みがある時には無理をしないで安静に過ごしましょう。
腸内環境を改善して悪玉菌を減らそう!
即効性は期待できないとしても、腸内環境を改善するために整腸剤などから乳酸菌、ビフィズス菌を取り入れる方法は、そもそも腸内に住んでいる菌を取り入れるので比較的安全であるといえます。
乳酸菌やビフィズス菌を増やして腸内環境を改善したい、という方は次の記事で2つの違いを解説しています。腸内細菌のバランスを整えて、便通を改善したいという方もぜひ読んでみてください。
また、お腹が痛い時に、刺激の強い便秘薬や腸への刺激が強い不溶性食物繊維の摂りすぎは逆効果になることもあるので気をつけた方が良いでしょう。
適切に早めの受診を
なお、便秘の影には重大な病気が隠れていることもあるので、甘く考えないようにしましょう。腹痛は体の大事なサインと考えて、原因を見極めて対処することが大切です。
腹痛を伴う便秘の場合には、自己判断で薬を使うよりも、医師に相談することをおすすめします。
さいごに
お腹の左下が特に痛むという場合には、ここで紹介したような病気の可能性が考えられます。しかし、他にも原因は考えられるため、自己判断するのは危険です。
もし気になる場合には、早めに医師に相談することをおすすめします。
また、長い間何らかのお腹の症状に悩まされている場合には、腸内環境を改善することが必要かもしれません。食生活や生活習慣についても改めて見直してみましょう。