便秘薬が効かない時の理由と対処法 – 危険なサインかも?


便秘薬を飲んだのに効かなくて、便がなかなか出ない。または、今までは効いていたお薬が効かなくなってしまった、という方はいませんか?

便秘薬が効かないのには何らかの理由があります。もしかしたら危険なサインということも?便秘薬が効かなくなってしまった理由と対処法についてお話していきます。

便秘薬が効かないって危険なこと?

便秘薬が効かない場合には、お薬の効果が弱いという可能性と、腸に問題があることも考えられます。たくさん便秘薬を飲んでも効かないなんていうこともあります。

便秘薬が効かないのは、お薬が合っていない、もしくはお薬の効き目が不十分である、重大な病気が隠れているという3つの可能性が考えられます。

また、「お薬をたくさん飲んでいる」、または「長く飲み続けている」というような、飲み過ぎが関係している場合もあります。便秘薬を飲みすぎた結果として、便秘薬が効かなくなってしまうことがあるのです。

自分になぜ便秘薬が効かないのか、その理由を突き止めた上で、対処していくことが大切です。

便秘薬が効かない理由とは?

便秘薬が効かないのは、便秘薬に原因がある場合もあれば、あなたの体に原因がある場合もあります。効かない理由について解説していきます。

疑問を感じる女性

便秘薬の種類が合っていない

便秘のタイプによっては、効きにくい便秘薬の種類があるのです。便秘薬の種類ごとに、効果が出にくい便秘のタイプと理由を紹介します。

大腸刺激性下剤が効かない

大腸を刺激する下剤を使って、効果がでないことがあります。例えば、コーラックやスルーラックSのように、即効性が高いタイプで全く効かないとなると不安になりますよね。

実は、大腸を刺激するお薬が合わない便秘のタイプがあります。「けいれん性便秘」といって、大腸がすでに緊張やけいれんして狭くなっているようなタイプは、大腸刺激性の下剤が効かないことがあります。ストレスが原因の場合には効きにくいといえます。

塩類性下剤が効かない

酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを主成分とする、塩類性下剤(緩下剤)を飲んでも効かないという場合があります。便が硬くて出しにくい方や、妊婦さんにも使われることが多いお薬です。

酸化マグネシウムは効果が比較的おだやかなので、頑固な便秘だったり、腸の動きが悪い「弛緩性便秘」の場合には、効果が現れにくいこともあるようです。効果が弱めなので、下剤と併用して使うこともあります。

下剤の量が足りていない

大腸刺激性下剤を飲んで出ないという場合、服用量が少なくて、便を出す力が足りていない可能性があります。

また、酸化マグネシウムなどの塩類性下剤を使って出ない場合には、服用量が足りていないか、服用日数が短くて効果がまだ出ていないということもあります。

いずれの場合にも、下剤を1週間以上飲んでも効果が感じられないという場合には、他の原因も考えられるため医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

腸がお薬に慣れて効かなくなっている

もし、あなたが便秘薬を大量に飲んでいたり、長期間飲み続けているようならば、お薬が効かなくなっていることが考えられます。

特に、大腸を刺激するタイプのお薬では、このように腸が刺激に慣れて効かなくなる現象(耐性)が起こりやすいので注意です。

お薬に対する慣れについては、次の記事で詳しく紹介しています。不安に感じた方は、ぜひ読んでみることをおすすめします。

バリウム検査の影響

胃のX線検査の時に飲む「バリウム」を外に早く出すために、便秘薬が処方されることがあります。通常であれば、当日中か翌朝までには排泄されます。しかし、もともと出す力が弱い方や、バリウムが固まって詰まってしまった場合には、便秘薬が効かないことがあります。

8時間を経過しても出ない場合には、下剤を追加で服用しても良いでしょう。ただし、追加服用して24時間経過しても出ないという場合には、医療機関をすみやかに受診してください。

参照:セントラルクリニックグループ

便秘薬が効かない時の対処法

便秘薬が効かないときに、自分でできる対処法をご紹介します。ただし、もし便が出ない状態が続くようならば、早めに病院を受診してください。

医者に相談する女性

便秘薬の量を増やしてみる

例えば、大腸刺激性の下剤は、調節できるタイプもあるので、量を増やしてみてもよいでしょう。

ただし、最大量を使っても便が出ない場合には、それ以上増やすことはしないでください。下剤を増やしていくと、刺激になれて効かなくなる場合があります。

塩類性下剤の酸化マグネシウムは、1日2000mgまで増やすことができるので、調整してみても良いでしょう。症状によっては、1日、2日飲んだくらいでは効果が出ないこともあります。しばらく続けて様子を見てみましょう。

便秘薬の種類を変えてみる

便秘薬の種類が合っていないということもあるので、便秘薬の種類を変えてみるのも手です。

例えば、塩類性下剤(酸化マグネシウムなど)を飲んでも効かないならば、大腸を刺激するタイプの下剤や、便のかさを増やす膨潤性下剤(ファイバー成分配合)を使うことも可能です。

直腸のところで詰まってしまっている「直腸性便秘」の場合には「オイルデル(小林製薬)」のようなオイル成分配合のお薬もおすすめです。

または、大腸刺激性下剤に塩類性下剤を併用してみてもよいでしょう。

ただし、お薬の併用については、成分が重複することもあるので、医師や薬剤師などに十分に確認してから行うようにしてください。

整腸剤や乳酸菌サプリを併用してみる

大腸刺激性の下剤や塩類性下剤が便秘解消に使われることが多いのですが、これらで対処できないのが、腸内細菌のバランスを整えることです。

悪玉菌が増えてしまうと、悪いガスが増えて、腸の動きが悪くなります。そして、ますます便秘を引き起こして悪循環に陥ってしまいます。

便秘薬だけではなく、整腸剤や乳酸菌サプリも一緒に使って腸内環境を改善することで、お腹の善玉菌を増やしていくと良いでしょう。

漢方薬を試してみる

便秘薬が効かない場合に、おすすめしたいのが漢方薬です。漢方薬は、体質にあったものを選ぶことができて、慢性的な便秘に効果が期待できます。

下剤が効きにくいストレス性の便秘や、冷えやホルモンバランスの不調などを伴う女性特有の便秘にも効果的な処方があります。

ただし、便秘薬の中にも大腸を刺激する作用が強いタイプもあります。タケダ漢方便秘薬などダイオウやセンナを含む漢方薬は、使いすぎると刺激に慣れて効かなくなることもあります。長く飲み続けるならば、長期服用が安全なタイプを選びましょう。

自分にあった漢方選びについては、次の記事が参考になると思います。ぜひ漢方を使ってみたい方は読んでください。

最終的には坐薬または浣腸

便秘薬が効かないとき、最終的に自分でできる対処法としては、坐薬または浣腸を使う方法があります。直腸に直接お薬を入れて刺激するので、効果が現れやすく、すぐに排便できるのがメリットです。

ただし、坐薬や浣腸は使いすぎると、やはり刺激に慣れてお薬が効かなくなってしまう危険性があります。坐薬や浣腸が効かなくなってしまったら、それこそ最終的な手段さえ無くなってしまいます。坐薬と浣腸は、本当に困った時に限って使うようにしましょう。

浣腸の正しい使い方と、副作用については次の記事を参考にしてください。

便秘薬が効かなくて危険な場合とは?

便秘薬が効かないときに、心配なのは、なんらかの病気が隠れているという場合です。

便秘を引き起こす病気としては、大腸ガン、大腸憩室、ポリープ、腸閉塞などの腸の病気、甲状腺機能低下症など全身の病気もあります。

便秘薬が効かないという方は、そのような病気が隠れていないか、一度確認しておいた方が安心です。病院で大腸検査を受けたり、お医者さんに相談することをおすすめします。

便秘薬が効かなくなる前にできる対処法は?

便秘薬を飲み続けてお薬が効かない状態になると、自然な便意が起きなくなってしまうので大変危険です。便秘薬に慣れてしまわないようにするためには、お薬以外にも次のような工夫を取り入れていくことをおすすめします。

食生活を改善する

腸を動かすには食事がとても大切です。朝食を抜いている方は、朝食を食べるようにするだけで、便意が起こりやすくなると思われます。また、腸を動かすためには食物繊維が必要です。野菜、穀類、豆類、海藻類、くだものなどを意識して取り入れるようにしてみましょう。

適度な運動を取り入れる

便秘解消には運動も必要です。加齢による筋力低下や終日デスクワークで運動不足になっていませんか?適度な運動は腸を活性化して、消化吸収を促してくれます。

適度に生活の中でできる範囲のウォーキングやストレッチを取り入れてみてください。

腸内環境を改善する

食生活の中で、発酵食品は摂っていますか?乳酸菌を摂取するために一番身近で、手軽なのが発酵食品を食べることです。乳酸菌が増えれば、腸内環境も改善されます。

味噌や漬物、納豆などの発酵食品を意識的に食べるようにすると良いでしょう。

発酵食品

便秘解消法については次の記事で詳しく紹介しています。便秘薬が効かなくなる前に、ぜひ解消法を取り入れてみてください。

参照:すべては腸内細菌で決まる!(藤田紘一郎 著)

参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ (坂井正宙 著)