お腹の違和感の対処方法

便秘薬の種類と使い分け – あなたにおすすめの便秘薬は?


執筆・監修:薬剤師 笹尾

便秘になった時に頼りになるのが便秘薬です。でも、市販されている便秘薬には様々なタイプがあり、どれが良いのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。便秘薬といっても作用の違いにより種類がいくつかあります。また、症状や原因によっても使い分けることで、より効果的になります。

便秘薬の種類と使い分け、便秘薬との付き合い方についてお話します。

便秘薬ってどんな薬?

処方薬

便秘になったら、まずは「食事と運動」と言いますが、なかなか効果が出ないこともあるでしょう。便秘を解消するためには、便秘薬を活用する方法もあります。

便秘薬は辛い便秘の症状を改善してくれるので頼りになりますが、正しく使用することが大切です。どんな薬なのか、まずは基本的なことを知っておきましょう。

そもそも、便秘とは?

便秘で困った女性

便秘とはどんな状態のことなのか、正しく知っているでしょうか?毎日排便が無いと便秘だと思っている人もいるかもしれません。実際のところ、便秘は病気ではないので明確な定義はありませんが、一般的には便が腸内に溜まってしまい、スッキリしない状態のことを指します。

例えば、2日に1回の排便でもスッキリ感があれば便秘ではなく、逆に毎日排便があるにも関わらず腸内に便が残っている感じがあれば便秘になります。

便秘の症状を和らげてくれる薬

便秘薬と言っても種類はさまざまで、効果の現れ方には違いがあります。どの便秘薬についても共通しているのは、排便を促して便秘の症状を和らげる作用がある薬だということです。作用や成分の観点からみて、便秘薬はいくつかの種類に分類されます。

根本的に便秘を治す効果は無い?

誤解してはいけないのは、便秘薬には根本的に便秘体質を改善する作用は期待できないという点です。残念ながら、便秘薬を飲むのを止めると、再び便秘に陥ってしまう人も少なくありません。
一時的な便秘には効果的ですが、慢性的な場合には便秘薬だけに頼るのではなく、合わせて食事の見直しや運動を取り入れることも必要です。

腸内環境を改善するために必要なこと。食事。運動。ストレス解消

参考文献:「よくわかる便秘と腸の基本としくみ」坂井正宙 著

腸内環境を改善する、根本的な便秘対策については、こちらの記事でも紹介しています。

便秘薬の種類と特徴

便秘薬を薬局やドラッグストアで購入する時に、種類がありすぎてどれが良いか迷うこともあるでしょう。便秘薬には種類があり、それぞれ作用が異なります。それぞれの便秘の原因や症状によって効果的な薬を選ぶことが大切です。

どんな効き方を求めているのかによって、適した薬を選べるようにしたいですね。便秘薬の種類と特徴について、それぞれ説明します。

即効性を期待したい場合の便秘薬

とにかく早く便秘を何とかしたいという場合には、次のような即効性が高いタイプを選ぶと良いでしょう。ただし、お腹が痛くなりやすいので日中にトイレに駆け込んでしまう可能性もあるので使うタイミングに気をつけましょう。

大腸刺激系便秘薬

大腸刺激系の便秘薬は、便秘薬の中でもとても良く使われるタイプです。大腸を刺激して、腸の動き(ぜん動運動)を促して排便を起こさせる作用があります。さらに、大腸刺激系には大きく分けると、「アントラキノン系」「ピコスルファートナトリウム」の2つのタイプがあります。

市販されている大腸刺激系便秘薬を紹介します。

アントラキノン系

「アントラキノン系」としては、センナセンノシドが市販薬に使われています。センナとはマメ科の植物で、葉や実は医薬品の原料として、茎は健康食品、お茶などに使用されています。また、ビサコジルは市販薬に良く使われている成分です。

例えば、「スルーラックS」(エスエス製薬)、「コーラック」、「コーラックハーブ」(大正製薬)があります。即効性は高いですが、お腹が痛くなりやすく、薬に頼りがちになってしまう場合もあるので注意が必要です。

スルーラックS

画像:スルーラックS エスエス製薬

コーラック

画像:コーラック 大正製薬

 

ピコスルファートナトリウム

「ピコスルファートナトリウム」は「ビオフェルミン便秘薬」(ビオフェルミン製薬)に含まれています。ピコスルファートナトリウムの方が、センナなどのアントラキノン系と比べると作用が穏やかで、お腹が痛くなりにくいのが特徴です。
ただし、妊娠中に使用するのは危険で、早産などを引き起こすこともあるので注意してください。

ビオフェルミン便秘薬

画像:ビオフェルミン便秘薬 ビオフェルミン製薬

浸潤(しんじゅん)性下剤(DSS)

DSS(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)という成分は、油と水をくっつける界面活性作用があり、便に水を与えて柔らかくする作用があります。
「コーラックⅡ」、「コーラックファースト」(大正製薬)、「スルーラックプラス」(エスエス製薬)などにビサコジルなどの大腸刺激系成分と共に含まれていることがあります。

コーラックⅡ

画像:コーラックⅡ 大正製薬

スルーラックプラス

画像:スルーラックプラス エスエス製薬

「オイルデル」(小林製薬)は、生薬成分の「麻子仁(ましにん)」とDSSを配合した珍しいタイプで、便を出しやすくする作用が期待できます。

オイルデル

画像:オイルデル 小林製薬

お腹が痛くなりにくい便秘薬

大腸刺激系の便秘薬は、効果は速いことが特長ですが、お腹が痛くなりやすく、下痢っぽくなる場合もあるので苦手という方もいるのではないでしょうか。お腹が痛くなるのが嫌な場合には、次のようなタイプの便秘薬がおすすめです。

ファイバー系便秘薬

植物せんいなどを主成分として、腸内で水分を吸収し、便のかさを増やすことで排便しやすくする便秘薬です。お腹が痛くなりにくく、食事量が少ない人や自然なお通じを取り戻したい人におすすめです。

例えば、「コーラックファイバー」(大正製薬)、「スルーラックデトファイバー」(エスエス製薬)などがあります。コップ1杯、200ml程度の水と共に飲むようにすると効果的です。

コーラックファイバー

画像:コーラックファイバー 大正製薬

スルーラック・デトファイバー

画像:スルーラックデトファイバー エスエス製薬

塩類系(酸化マグネシウム)

カチカチの便になると出しにくいだけでなく、切れ痔の原因にもなるので便を柔らかくする薬を使うのも効果的です。先に紹介したDSS(浸潤(しんじゅん)性下剤)とは違った作用の仕方ですが、同じように便に水分を与えて柔らかくしてくれるのが「塩類系下剤」です。

代表的な成分としては「酸化マグネシウム」があります。お腹が痛くなりにくく、クセにもなりにくいので比較的に安全なタイプの便秘薬です。ただし、腎臓に異常がある人や高齢者などは、医師に服用して良いか確認してから使用することをおすすめします。

例えば、「ミルマグLX」(エムジーファーマ)、「スルーラックデルジェンヌ」(エスエス製薬)、「スラーリア」(ロート製薬)などがあります。

画像:ミルマグLX(エムジーファーマ) 森下仁丹オンラインショップ

スルーラックデルジェンヌ

スルーラックデルジェンヌ

スラーリア

画像:スラーリア ロート製薬

漢方系便秘薬

便秘薬の中には、漢方処方で作られたタイプや漢方を構成する生薬成分が主体となっている薬もあります。漢方の場合は、体質によって使い分けるのが効果的です。
また、漢方というと何となく安全なイメージがあるかもしれませんが、例えばセンナやダイオウ、アロエなどの成分を含む場合には作用が比較的強く、お腹が痛くなることもあるので要注意です。

例えば、「タケダ漢方便秘薬」(武田薬品工業)、「コーラックハーブ」(大正製薬)などがあります。

タケダ漢方便秘薬

画像:タケダ漢方便秘薬 武田薬品工業

コーラックハーブ

画像:コーラックハーブ 大正製薬

浣腸および坐薬

飲み薬では効果が出ないという場合に頼りになるのが、浣腸や坐薬です。即効性が高く、早ければ挿入して10分程度で効果が現れることもあります。
ただし、効果が高い分、頻繁に使うと効果が出なくなる可能性もあるので、本当に出ない時の最終手段として考えるべきです

例えば、「イチジク浣腸」(イチジク製薬)、「コーラック坐薬」(大正製薬)などがあります。

画像:イチジク浣腸 イチジク製薬株式会社

コーラック座薬

画像:コーラック座薬 大正製薬

便秘薬の副作用

便秘薬は使うとスッキリするので、ついつい頼りがちになります。そして、段々と使う回数、使用量が増えてきてしまう人も多いのが問題です。最終的には便秘薬が効かなくなってしまうなんて事にもなりかねません。

便秘薬は正しく使用しないと、思わぬ副作用が出ることもあるので要注意です。

長期使っていると効かなくなる場合がある

女性_困った

便秘になるのが嫌だからといって、便秘薬を頻繁に使ってしまうと、便秘薬が効きにくくなってしまうことがあります。特に、センナのような大腸刺激系の便秘薬は要注意です。

大腸が刺激になれて動きが悪くなり、同じ量では効果が出なくなってしまうのです。その結果、どんどん便秘薬の量が増え、最終的には便秘薬を使っても便が出なくなってしまうことも考えられます。

大腸メラノーシスの危険性

大腸刺激系の便秘薬で問題になるのが、大腸メラノーシスを発生させることです。大腸メラノーシスというのは、簡単に言うと大腸の腸壁が黒くなる症状で、大腸黒皮症とも呼ばれます。
大腸メラノーシスは、便秘薬が効きにくくなる事とも関係があると言われています。特に、アントラキノン系の便秘薬は長期間服用している方は大腸メラノーシスに注意が必要です。

参考:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!」松生恒夫 著

便秘薬はどう使えば安全に使えるの?

便秘薬は使い方を守ることが安全に使用するために大切です。次の注意点をあらかじめ確認しておきましょう。

大腸刺激系便秘薬はなるべく使わない

即効性が高く、ついつい頼りたくなる大腸刺激系の便秘薬であるアントラキノン系便秘薬(センナなど)は、大腸メラノーシスを起こし、薬が効きにくくなる場合があるので、使い過ぎないようにしましょう。
また、大腸刺激系の便秘薬に依存してしまうことの無いように、他の方法を試して効果が出ない場合などに頼るようにしましょう。

センナを含む漢方薬や健康茶も要注意

漢方だからと安心してセンナを含む便秘薬だけでなく、センナ茶のような漢方茶に頼ることもおすすめできません。大腸を刺激する作用があるお茶も食品だからといって安心はできないのです。

比較的安全なタイプの便秘薬や整腸剤を使う

便秘薬の中でも、比較的安全と言われるのが、塩類系の酸化マグネシウムです。また、同じく安全なタイプとしては、整腸剤を使う方法もあります。整腸剤というのは、生きた菌などを主成分として腸内環境を整え、便秘やお腹の張りを改善する作用のある薬です。
整腸剤は即効性はあまり期待できませんが、長期的に服用することが出来て、腸内環境を根本的に整えることができるので、慢性的な便秘に悩む人におすすめです。

整腸剤の種類や使い方については、別途記事で詳しく説明しています。こちらの記事も参考にしてみてください。

もし、塩類系や整腸剤では効果が不十分だという方は、大腸刺激系の中でもピコスルファートナトリウムを使った方が比較的安全と考えられます。

参考文献:「「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!」松生恒夫 著

便秘薬を使用しても改善しない場合には病院へ

便秘薬を使用しても症状が改善しないこともあるでしょう。作用が違うタイプの便秘薬を使っても改善しない、便秘が1ヶ月以上に渡って長引くという重度の便秘の場合には、何らかの病気が隠れているということも考えられます。
突然、原因も分からずに便秘になった時も要注意です。例えば、大腸ガン、過敏性腸症候群、 憩室炎などの病気が挙げられます。早めに専門医を受診することをおすすめします。

便秘薬だけに頼らずに便秘を解消しよう

便秘薬を使って便が出ても本当の解決とは言えません。出すことだけでなく、自然と出せる力をつけることが大切です。お薬だけではなく、次のような方法も参考に生活習慣を見直しましょう。

オリーブオイルを取り入れる

オリーブオイルには排便を促す効果があります。1日に大さじ1杯から2杯程度を取り入れてみましょう。パンにつけたり、サラダにかけるのも良いですが、お味噌汁に加えたり、寝る前にそのまま飲むという方法もあります。

十分な水分と食物繊維、発酵食品を摂る

十分な水分を摂ることは便秘対策の基本です。1日に1.5〜2L程度を目安に、少しずつ飲むようにしましょう。食物繊維を十分に摂ることも忘れてはいけません。

スムーズに排便するには、水に溶けにくい不溶性食物繊維(ごぼう、芋類、玄米などに含まれる)ばかりでなく、水をひっぱってくれる水溶性食物繊維(果物、こんにゃく、海藻類などに含まれる)を取り入れることが大切です。
さらに、腸内細菌のバランスを整えるために発酵食品を取り入れましょう。ヨーグルトだけでなく、日本古来の伝統食である味噌、醤油、ぬか漬けなどの発酵食品が日本人の腸には合っていておすすめです。

参考:「すべては腸内細菌で決まる!」藤田紘一郎 著

便意を無視しない

トイレに行きたいという便意の感覚を無視してしまうと、だんだんと便意を感じにくくなり便秘がちになる場合があります。特に女性は恥ずかしいからという気持ちで外出先などで便意を我慢しがちです。

せっかくの便意を無視しないで、トイレに行きたいと思ったらすぐにトイレへ行くことが大切です。ただし、どうしても排便しなければ!という思いはストレスになり、逆に排便の妨げになります。リラックスした気持ちでトイレに行くようにしましょう。

監修・執筆:薬剤師 笹尾