弛緩性便秘は女性に多い?見分け方とおすすめの解消法は?
便秘の種類はいくつかありますが、弛緩性(しかんせい)便秘は中でも女性に多いタイプの便秘だといわれています。
弛緩性便秘はどのような便秘なのでしょうか。改善するために効果的な解消法についてもお話したいと思います。
目次
弛緩性便秘とは?
弛緩性便秘とはどのような特徴のある便秘なのでしょうか?特徴と弛緩性便秘になりやすい人について解説します。
弛緩性便秘の特徴
便秘には大きく分けて、急性便秘と慢性便秘があります。弛緩性便秘は慢性便秘の1つです。
腸の動きが悪くて、便が肛門の方までスムーズに進まないために便秘になっています。主な原因としては筋力の低下が関係しています。
弛緩性便秘になりやすい人
弛緩性便秘は慢性便秘の中でも比較的起こりやすいタイプです。特に、次のような方は弛緩性便秘になりやすいといえます。
- お腹の筋力が弱い女性、痩せ型の女性
- 筋力低下や運動が減りがちな高齢者
- 運動不足ぎみな方
- ダイエットにより筋力が低下している方
- 出産回数の多い女性
弛緩性便秘の原因
弛緩性便秘には次のような原因が関係していると考えられます。
お腹周りの筋力の衰え
腸はちぢんだり、伸びたりして内容物を肛門の方へ運んでいきます。この動きをぜん動運動といいます。ぜん動運動を司っている筋力が低下すると、腸の動き(ぜん動運動)が弱くなってしまいます。
この筋力というのは、お腹の表面にある腹筋のことではありません。腸のまわりにある平滑筋(へいかつきん)のことです。特に全身の筋肉がもともと少なめの女性や高齢者では筋力が低下しがちになります。
内臓下垂がある
やはりお腹まわりの筋力が低下している方に見られやすいのが、内臓下垂です。腸が下に下がってしまうことで、動きが悪くなることから便秘になってしまいます。
内臓を支える筋力が低下しがちな、女性や寝たきりの高齢者などでは腸が下垂しやすくなります。また、出産回数が多くてお腹の筋肉がゆるんでいる女性、病気などで運動量が減っている方にも見られます。
ダイエットや食事の偏り
ダイエットや不規則な食事、偏った食事内容のせいで、食事の量が減っていることも関係します。
食事量が減ると食物繊維の量が減ってしまって、便のかさが少なくなり、出しにくくなってしまうのです。
また、食物繊維は大腸を刺激して、腸を動かすエネルギーとなります。腸の動きが悪くなることで、便が出にくくなります。
水分が不足して硬くなった便
便がカチカチに硬くなって出しにくいと感じたことはありませんか?
腸の動きが悪いと便が腸の中に留まる時間が長くなります。腸の中に留まった便からは、どんどん水分が腸の方へ吸収されて硬くなってしまいます。
そのため、ますます便が出しにくくなって、便秘が悪化してしまう原因になります。
弛緩性便秘の症状は?
ここまでで、弛緩性便秘の原因についてはわかったものの、自分が当てはまっているか、よく分からない方も多いと思います。弛緩性便秘に特徴的な症状や便の状態をチェックしてみましょう。
<弛緩性便秘の症状>
- お腹が張るが便を出しにくい
- 残便感、すっきりしない
- 水分の少ないコロコロ便
- 肌荒れ、肌のくすみ
- 食欲の低下
- 肩こり、疲れやすさ
- イライラする
もし当てはまる症状が多いようであれば、弛緩性便秘ということも考えられます。
なお、他の便秘の種類についても知りたい方には次の記事がおすすめです。便秘の種類について詳しく説明しています。
弛緩性便秘の解消法
弛緩性便秘を治すには、まずは食事の改善と運動を取り入れるのが効果的です。良くならない場合には、お薬を使ってみるのも良いでしょう。
それぞれの方法について詳しく解説していきます。
食事を改善する
弛緩性便秘の場合には、腸を動かす力が不足しているので、食物繊維がおすすめです。食物繊維の中でも、水に溶けにくい不溶性食物繊維には、腸を刺激して動かす働きがあります。
例えば、ごぼう、おから、大豆、切り干し大根、さつまいもなどに豊富に含まれます。
また、3食きちんと食べることも大切です。特に朝食を食べると、排便のスイッチが入りやすくなります。朝食は抜かないようにしましょう。
運動などの生活習慣を工夫する
運動不足で筋力が低下していることも大きく関係しているので、運動を取り入れることも効果的です。運動といっても便秘の場合には激しい運動よりも、ストレス解消になるような軽い運動がおすすめです。
ウォーキングは誰でもできる簡単な運動でありながら、便秘解消にも効果があります。例えば、朝起きてから水を1杯飲んだあとにウォーキングすると腸が動きやすくなりますよ。
お薬で対処する
食事、運動で対処しても効果がなければ、お薬の力を借りることも考えましょう。
弛緩性便秘の場合には、刺激性下剤であるセンナやピコスルファートナトリウムなどが効果があります。
ただし、便秘薬を頻繁に使いすぎると、腸が刺激になれて効かなくなってしまうので注意が必要です。便秘薬は困った時だけ使うようにしましょう。
なお、便秘薬の使いすぎについては次の記事で詳しくお話しています。便秘薬を使う前に一度読んでおくと良いでしょう。
参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)