お腹が出る – 本当の原因は病気?薬の種類や解消法は
「特に食べ過ぎたり、太った訳でもないのに、お腹が出てるのが気になる・・」という方はいませんか?
食べ過ぎや肥満と関係なくお腹が出る原因は、病気以外にも、加齢・便秘・ガスが考えられます。今回は、お腹が出る原因と薬の種類や選び方、解消法について紹介します。
目次
お腹が出る原因は?
食べ過ぎや太ったわけでもないのに、お腹が出る原因として考えられることに「腸内環境の乱れ」があります。
腸内環境が乱れると、腸の動きが悪くなり、ガスがたまったり、便秘になることも多くなります。太ったのではなく、便秘やガスでお腹が出ているという方も多いのです。
具体的にどんな理由があるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
規則正しい食生活が送れていない
ガスや便がたまりやすい人は、規則正しい時間に食事がとれていなかったり、食事を抜いていることが考えられます。食事を抜くと、便の量が減ってしまうため、便が出にくくなります。
胃や腸の中に食べ物が入ってこないと、蠕動運動(ぜんどううんどう:腸の収縮)が働かなくなり、ますます便が出にくくなります。
また、遅い時間にご飯を食べることも腸の動きを悪くしてしまう原因になります。
腸内環境が乱れている!?
お腹が出る原因として多いのは「ガス溜まり」です。腸にガスがたくさん溜まってしまうことで、お腹がパンパンに膨れてしまうことがあります。
ガスが増えるのは、腸内環境が乱れているサイン。悪玉菌が増えると悪さをする有害なガスが増えてしまいます。便秘もガスを発生させる要因の一つです。
ガスを減らすにはガス抜きをすることも有効ですが、根本からガスを発生させない工夫が必要です。
悪玉菌を減らすには、外から乳酸菌やビフィズス菌などを摂取して腸内環境を整えると良いでしょう。
女性は便秘やガスがたまりやすい
女性は男性に比べて、便秘になりやすい人が多いといわれています。女性はダイエットをする人が多く、食事を制限してしまうのもひとつの理由です。食べる量が少ないと便秘になりやすくなってしまいます。
もう一つは、女性ホルモンです。女性ホルモンには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの二つがあります。黄体ホルモンが多く分泌されると腸の動きが悪くなります。また、水分を体が溜めこみやすくなるため、便が硬くなって出にくくなることも関係します。
ストレスが多い
仕事だけでなく、人間関係や夫婦間の問題、介護についても悩みが多いという方も増えています。ストレスが多いと、自律神経が乱れて腸の動きが鈍くなってしまいます。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。腸の動きには主に副交感神経が関わっています。副交感神経はリラックス時に高まる神経です。
ストレスが多いと相対的に交感神経が優位になってしまって、腸の動きが悪くなってしまいます。ストレスは適度に解消して、溜め込まないようにしましょう。
加齢
若いころは、便秘にあまり悩んだことがないという人も、年齢を重ねるにつれて便秘に悩まされるようになってきます。
年をとると便秘になるだけでなく、腸の動きが衰えていくということも考えられます。これには腸内のビフィズス菌の減少が関わっているという説もあります。自然と減少してしまうビフィズス菌ですが、減らさないように腸内環境を日頃から整えていくことが大切です。
冷え性
一年の中で、一番便秘になりやすいのは、1~2月頃と8月頃だそうです。これには冷えが関係しています。冬の寒い時期だけでなく、8月の暑い時期でも一日中クーラーを使っている人は、体中が冷えてしまいます。
全身の血行状態が悪くなるため、腸の動きが悪くなり、便秘やガスがたまりやすい状態になります。キャミソールや腹巻を着用したり、暖かい飲み物を飲むように心がけると良いでしょう。シャワーで済まさずに入浴することも効果的です。
お腹が出る病気にはどんな種類がある?
お腹が出る症状はいくつかの病気も考えられます。考えられる病気をいくつか紹介します。ただし、病気が疑われる場合には自己判断せずに、早めに医師に相談することをおすすめします。
手術の後遺症
虫垂炎・子宮筋腫などの病気で手術をうけた後、腸管の癒着(ゆちゃく)により、便秘になることがあります。特に開腹手術をすると、お腹の中が空気にあたり、臓器同士がくっついて(癒着)、腸の動きが悪くなることがあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症になると、新陳代謝が悪くなり、便秘の症状が出ることがあります。甲状腺機能低下症は比較的女性に起こりやすい病気の1つです。
呑気症(どんきしょう)
食事の時に、空気を一緒に飲み込んでしまう症状です。詳しい原因はわかっていませんが、精神的に不安定なとき、ストレスが多い人などに起こりすい病気です。
参照:メディカルiタウン
過敏性腸症候群
原因不明のお腹の張りや痛み、便秘や下痢の症状が半年以上続き、大腸検査をしても特別な異常が見つからない場合に疑われる病気です。
「下痢」「便秘」「下痢と便秘を繰り返す」3つの症状があります。原因はまだ解明されていませんが、腸の知覚過敏とストレスが関わっていると考えられています。
参照:サワイ健康推進課
腸閉塞
腸が細くなったり、腸管が癒着を起こし、便の流れが悪くなり腸の中で詰まる病気です。急に強い腹痛や、吐き気を起こします。腸や婦人科の病気で手術をした後に起こりやすい病気です。
大腸がん
大腸ガンの症状として、便秘と下痢を繰り返す、血便、お腹が張るなどの自覚症状が出る場合があります。もし出血の症状があるようならば、早めに受診しましょう。
特に、大腸がんは女性のがんによる死亡率一位です。40歳を過ぎたら定期的に大腸検査を受けることをおすすめします。
参照:日本消化器病学会
便秘やガスが原因でお腹が出る場合の、市販薬の種類や選び方
市販薬として手に入る整腸剤や便秘薬でも、便秘やガスを改善することができます。便秘やガスに効果のある市販薬を紹介します。
整腸剤
「ガスを減らしたい」、「根本的に改善したい」という方には整腸剤がおすすめです。
生きた乳酸菌、ビフィズス菌などを主成分とする整腸剤は、便秘だけでなく下痢にも効果があります。腸内環境を整えて便通を正常な状態に戻してくれるお薬です。
ガスの原因となる悪玉菌を減らして、善玉菌を増やす作用があるので、根本的にガスを減らすことができます。善玉菌としては乳酸菌とビフィズス菌の2つが鍵を握っています。
もっと詳しく知りたい方は次の記事で詳しく違いを紹介しているので参考にしてください。
また、整腸剤にはガスを取り除く成分が入っているタイプもあります。「お腹の張りやガスでお腹が出ているのかも?」という方におすすめです。
整腸剤については次の記事で種類や選び方について紹介しています。整腸剤についてもっと知りたい方は読んでみてください。
便秘薬
いわゆる下剤と呼ばれる薬のことです。「頑固な便秘で整腸剤では効かない」、「すぐに出したい」という方には便秘薬が良いでしょう。
大腸を刺激して便を出しやすくする「大腸刺激系下剤」、便を柔らかくするタイプ、便のカサを増やして出しやすくする「マグネシウム製剤」などいろいろな種類があります。
ただし、便秘薬の中でもアントラキノン系下剤に分類される、センナ、アロエ、大黄などの刺激の強い成分を含む場合には注意が必要。長期使用で効きにくくなったり、便秘薬に頼りすぎて依存していまう場合があります。
便秘薬だけに頼らないでも済むように、日頃から腸内環境を整えておくことが大切です。
参照:OTC医薬品の基礎知識
漢方薬
「便秘やガスになりやすい体質を改善したい」、「自然の力を借りて体質改善したい」という方には漢方がおすすめです。
漢方薬はいくつかの生薬成分を配合した処方で作られた薬であり、生薬単味で使うよりも効き目がマイルドになるといわれています。
また、複数の生薬が組み合わさって働くことで、体質改善にも役立ちます。便秘やお腹の張りの治療に効果が期待できる漢方薬を紹介します。
ただし、漢方薬は体質にあった処方を選ぶことが大切です。漢方薬でも副作用が出る場合はあるので気をつけましょう。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
肥満を解消する薬として、有名なお薬で、熱を冷まし、体の水分循環をよくすることで便通を治す効果があります。比較的体力のある人にむいています。
麻子仁丸(ましにんがん)
こちらの薬は、大黄の量が多く比較的強いお薬です。どうしても便が出ないという人に使われる薬ですので注意が必要です。
お腹が張るときの市販薬の選び方について、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
生活習慣も合わせて改善しよう!
お腹の中にたまった便やガスは、お薬で一時的に解消することはできます。しかし、生活習慣が改善されないとまた同じような症状を起こしてしまいます。中でも食事の改善は、もっとも大切です。具体的に気をつけたい項目について紹介します。
発酵食品をとる
ヨーグルトは、腸内環境を整えることができる代表的な発酵食品です。自分に合ったヨーグルトを見つけて、続けることがポイントです。
しかし、日本人の腸には乳製品が合っていないという説もあります。もし、ヨーグルトを食べても変化がないという方は、日本古来の発酵食品を活用してみましょう。
ぬか漬け、味噌、納豆などがおすすめです。また、手軽に乳酸菌を摂取するなら、サプリメントも良いでしょう。
乳酸菌のサプリの選び方やおすすめの理由を知りたい方は次の記事もぜひ読んでみてください。
オリゴ糖を摂取する
また、善玉菌を増やすには、オリゴ糖が入った食品を食べるのも良いでしょう。オリゴ糖は善玉菌のエサとなって、腸内環境を整えてくれます。
例えば、とうもろこし・にんにく・アスパラガスには、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖が含まれています。同時に、食物繊維も一緒にとれるので、腸内環境をよくするにはとても向いている食材といえるでしょう。
オリーブオイルを飲む
オリーブオイルは、他の油と違い、小腸で吸収されにくいので大腸までスムーズに届けることができます。
オリーブオイルが腸に届くと、腸を刺激してお腹の働きがよくなります。便秘によるお腹の張りにもおすすめです。
マグネシウムをとる
マグネシウムはミネラルの一種で、腸内環境をよくする働きがあります。病院でも便秘の時にマグネシウム入りの薬を処方されることがあります。
大腸に届いたマグネシウムは便に水分を引き込み、便をやわらかくする働きがあります。
マグネシウムが含まれる食品には、昆布やほうれん草、ひじき、玄米などがあるので、意識して取り入れてみましょう。
参照:快腸!絶好腸!快便力!(松生恒夫 著)
お腹の張りに効果的なツボ
足と手の押しやすい場所にあるツボを紹介します。ツボは強く押すのではなく、気持ちのよい程度の強さでおこないます。普段からお腹の調子が気になる方は、時々押すようにしておくとよいでしょう。
足のツボ
足三里…便秘や下痢、お腹回りの張りにも効果があるツボです。ツボの場所は、足首から膝の方にに指をすべらせます。膝小僧の近くで指が止まるところがツボです。
手のツボ
合谷…便秘に効果のあるツボです。
親指と人差し指の間の水かきの部分で、人差し指の付近にあります。
参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)
ガスによるお腹の張りを解消する方法について、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。「すぐに何とかしたい!」という方は参考にしてください。
病院にいくなら何科にいけばいいの?
市販薬でなかなか解消できない場合、医師の診察を受けましょう。最近では、「便秘外来」といった便秘を専門に診る病院もありますが、内科や消化器内科でも診てもらうことができます。
内科を受診して、詳しい検査が必要な場合は、別の病院を紹介してもらえます。少しでも心配な症状がある場合は、医師に相談しておきましょう。
さいごに
お腹が出る原因は様々です。ガスや便秘が関係している場合には、腸内環境を改善しましょう。腸内環境の乱れは生活習慣や食事の乱れから来ているということもあります。まずは自分の日頃の生活を見直してみましょう。
また、適切なタイミングで薬を使って対処することも大切です。市販薬も良いですが、原因がわからない場合や気になる時には早めにお医者さんに相談することをおすすめします。