整腸剤が効かないことってあるの?危険な病気と対処法
執筆・監修:笹尾(薬剤師)
お腹の調子が悪いので整腸剤を飲んでみたけど、効かない・・と悩んでいる方はいませんか?
整腸剤は効く場合もあれば、効かない場合もあります。効かないということは、なんらかの理由があるはずです。整腸剤が効かない理由は何なのでしょうか?
整腸剤の効き目、効果的な飲み方、他にできる対処法についても紹介していきます。
症状別:整腸剤が効かない理由
整腸剤を飲む理由はさまざまで、それによって効かない理由も変わってきます。どんなケースが考えられるのか、次の4つの理由をみていきましょう。
整腸剤を飲んだのに軟便、 下痢が治らない
整腸剤を飲む理由として多いのは、軟便や下痢などお腹の調子が悪い時ではないでしょうか。または、ストレスにより下痢と便秘を繰り返すような場合にも使われます。
下痢や軟便は、食あたり、水あたり、消化不良や、ストレスによる自律神経の乱れ、または何らかの病気が原因として考えられます。整腸剤を飲むだけでなく、原因を突き止めて、取り除くことも必要です。
また、整腸剤が効かないという場合には、単に症状を完全に治すのに時間がかっているだけ、ということも考えられます。
他にも、細菌、ウイルスなどに感染している、または過敏性腸症候群やクローン病など腸に何らかの問題があることも考えられます。早めに受診することをおすすめします。
参照:大幸薬品 健康情報局
整腸剤を飲んだのに便秘が治らない
便秘の改善のために整腸剤を飲んでも効かないという場合があるでしょう。
整腸剤は便秘に対する効果があるお薬ですが、効果はおだやかなのでゆっくり効いてきます。だから、飲む日数が足りていないという可能性もあるのです。
しかし、原因によっては、いくらのんでも整腸剤では効かないことも考えられます。
例えば、腸に大腸ガンやポリープなどの病気がある場合や、ストレスや緊張が強すぎる場合など、整腸剤では効果が得られないこともあります。この場合には病院を受診することが必要です。
お腹のハリ、おならが改善しない
お腹のハリ、おならなどガスによる症状が気になって整腸剤を飲むこともあるでしょう。
ガスの原因は便秘、食事、ストレスなどの他に、便秘を引き起こす過敏性腸症候群や大腸ガンなどの病気がかくれている可能性もあります。
整腸剤を飲んでもガスが改善しないという場合には、まずは食生活やストレスなどについても対処することを考えましょう。
また、病気が原因になっている可能性もあるため、長引く場合には、受診することをおすすめします。
整腸剤って本当に効くの?整腸剤の効き目とは
整腸剤が効かないと、本当に効くのかどうか疑いたくなるかもしれません。
整腸剤は果たして本当に効くお薬なのでしょうか?それぞれの症状に対する効き目についてお話します。
腸内細菌の乱れによる便秘を改善
整腸剤は便秘を改善する効果があります。腸の動きを悪くする働きをもつ、有害ガスを発生する悪玉菌の繁殖をおさえることで、便秘を改善するのです。
便秘を繰り返すような場合には、便秘によって悪玉菌が増えてしまい悪循環になりがちです。このような状態を立て直すのに、整腸剤は役に立ちます。
しかし、腸の動きが低下しているか、腸の病気などが関係している場合など、便秘の原因によっては整腸剤では効果が得られないこともあります。
悪玉菌の繁殖による軟便、下痢に効く
軟便や下痢の時には、腸の中で悪玉菌が繁殖していることから、整腸剤でバランスを整えると効果的です。
病院でお薬を出される時にも、下痢止めではなく整腸剤を使って様子をみることがあります。
しかし、下痢や軟便は悪玉菌以外にも原因が考えられます。ストレスや食事、冷えなど、他の原因を探ることも必要かもしれません。
また、下痢、軟便が続くという場合には、他の病気が関係していることもあります。気になる場合には受診するようにしましょう。
お腹のガスやおなら、ニオイを減らす効果
整腸剤にはガスを発生させる悪玉菌を減らしたり、種類によってはガスを直接つぶして減らす成分が入っていることもあります。
便秘のせいでガスが多いのであれば、もともとの便秘を解消しなければいけません。
整腸剤を飲んでもガスが解消されないという場合には、根本的な原因を見つけて対処することが大切です。
整腸剤の効果的な飲み方は?
整腸剤が効かないという場合、しっかり正しく飲めているかどうかも関係します。正しい飲み方を守って飲むことで、効果を最大限に発揮させましょう。
しばらく続けて飲むこと
整腸剤の効き目を感じるには、しばらく飲み続けることが必要です。即効性の高いお薬ではないので、1、2回飲んだくらいでは効果は得られません。
腸内細菌のバランスが整うまで、最低でも3、4日は飲んでみることです。
飲み忘れずに、しっかり1日3回飲む
整腸剤はたいてい1日3回飲むように決められています。これは、1日に必要な十分な菌の量を摂取するため、定期的に分けて取り入れることで腸内に定着させるためです。
一度にまとめて飲んでも、効果が高まるわけではありません。1日3回、定期的に飲むことが大切です。
効果がなければ種類を変えてみる
整腸剤を飲んでみて、効果がない場合には種類を変えてみるというのも手です。
整腸剤には、いくつかのタイプがあり、症状にあったものを選ぶのがおすすめです。ガスに効果的なもの、胃腸全体を整えるものなど、成分によって製品ごとに特徴があります。
どんな整腸剤が、どんな症状に効くかについては、次の記事で詳しく紹介しています。違う種類の整腸剤を試したい方は、ぜひ参考にしてください。
整腸剤が効かないときの対処法
整腸剤をしっかり飲んでも、いろいろな整腸剤を試しても効果がない、という場合には次の対処法を試してみてください。
整腸剤以外のお薬を使ってみる
整腸剤が効かない場合には、他のお薬が適しているということも考えられます。症状によって適している薬は違うので、次を参考にして選んでみましょう。
便秘薬に変える、または併用する
整腸剤を飲んでも便秘が改善しないということは、案外多いかもしれません。整腸剤は便秘に対する効果はあるものの、あまり即効性は高くないのです。
どうしても辛い場合には、ひとまず便秘薬で対処しても良いでしょう。便秘薬を長期的に使うことはおすすめできませんが、便秘をそのままにしているのも危険です。合わせて整腸剤を服用することで、腸内環境を改善することもできます。
便秘薬の飲み過ぎによる副作用については次の記事で紹介しています。便秘薬を使うことを考えているならば、一度読んでおくと良いでしょう。
下痢ならば下痢止めを飲む
下痢が治らない場合には、下痢止めを使う方法もあります。
下痢止めとは、腸の動きを止めたり、殺菌作用によって下痢を抑えるお薬です。ただし、細菌感染などがある場合には、下痢止めを使うことで、悪い菌の排泄を遅らせることにもなるため注意が必要です。
また、下痢が怖いのは脱水症状を引き起こすこともあることです。下痢が続く場合には、なるべくお医者さんに相談することをおすすめします。
病院から処方されるお薬を使う
市販薬では限界がある場合もあります。市販のお薬は、一般の人が自分で手にとって自由に選べるということで、比較的効果がおだやかなものが多いのです。
病院から処方されるお薬には、市販薬よりも効果の高いもの、効き方の違う成分などの選択肢があります。また、お医者さんが症状をみて選んでくれるので安心です。
便秘、下痢、お腹のハリなど、症状が良くならないのであれば、病院から他のお薬を処方してもらった方が良いでしょう。
食事、生活習慣を見直してみる
整腸剤を飲んでいるからといって、原因に対処しなければ、治るものも治らないということもあるでしょう。
お薬に頼りきって、原因となっている食事や生活習慣を変えなければ、お薬の効果も最大限に発揮されません。
お腹の調子が悪いということは、食事や生活習慣に原因があるかもしれないのです。原因と考えられるような、体に合わない食事、消化に良くない食べ物、ストレスや緊張など、原因を見つけて対処しましょう。
便秘の解消法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。整腸剤と合わせて取り入れると効果的です。
病院を受診して原因を調べる
整腸剤が効かないとき、むやみに自分で判断してあれこれ対処しても、改善できない可能性もあります。むしろ適当に自分で対処して、病気の発見を遅らせてしまっては意味がありません。
気になる症状があるのであれば、なるべく早めに病院で検査を受けたり、医師に相談した方が良いでしょう。内科、胃腸科、消化器科などに受診することをおすすめします。
参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)