酸化マグネシウムの便秘薬は安全?効果と副作用について解説


酸化マグネシウムは、お腹が痛くなりにくい便秘薬としてよく使われています。病院から処方してもらうことも、市販で買うこともできるお薬です。

副作用が少なくて安全な便秘薬といわれていますが、正しく使わないと思わぬ副作用が出ることもあります。この記事を読んで、酸化マグネシウムの効果と副作用、注意点について知っておきましょう!

注意を促す女性

酸化マグネシウムはどんなお薬?

便秘薬にはいろいろな種類がありますが、酸化マグネシウムは効き方に特徴のあるお薬です。酸化マグネシウムの特徴と効果について解説していきます。

酸化マグネシウムの特徴

酸化マグネシウムは便秘薬の中でも、緩下剤(かんげざい)といわれるタイプのお薬です。いわゆる便秘薬である下剤に比べて効果が穏やかなため、緩下剤といわれます。刺激しないので、非刺激性下剤と呼ぶこともあります。

大腸を刺激して排便を促す作用がある便秘薬に対して、酸化マグネシウムの場合には便を柔らかくする作用があります。

どうして便秘に効くの??

では、酸化マグネシウムの作用について、もう少し詳しくみていきましょう。

酸化マグネシウムは腸に届くと、含まれるマグネシウムが腸管から水分を引き抜きます。すると、便に水分が集まるようになり、便が柔らかくなり、スムーズな排便を促してくれます。

腸を刺激する作用がないので、お腹が痛くなりにくいのが特徴です。便が硬くなって出しにくい場合や、痔になりやすい人にもおすすめのお薬です。

酸化マグネシウムは胃薬でもある

酸化マグネシウムは、実は胃薬としても用いられることがあります。胃酸を中和することで、胃炎や胃の痛みなどの症状を和らげる効果もあります。ただし、現在は他にも効果的な胃薬が多く登場しているので、胃薬として使われることは少なくなっています。

市販品と医療用の処方薬がある

酸化マグネシウムは、市販薬と医療用の処方薬があります。市販薬の場合には、「酸化マグネシウム」という名前が商品名には付いていないこともあります。この記事を参考にして市販のお薬を選んでみてください。

医療用のお薬は、病院でお医者さんの診察と診断を受けてから処方してもらえます。便秘に悩んでいる方はお医者さんに相談してみると良いでしょう。

市販の酸化マグネシウム配合の便秘薬

市販の酸化マグネシウム配合の便秘薬にはどのような種類があるのでしょうか?含まれている成分が酸化マグネシウムだけのお薬もあれば、いくつかの成分が配合されていることもあります。

製品ごとの違いを知った上で、自分にあったお薬を選びましょう。

<3Aマグネシア>

3Aマグネシア

配合されている活性酸化マグネシウムは通常の酸化マグネシウムと比べて、保水作用の高いマグネシウムのことです。錠剤タイプで5歳以上から飲むことができます。

6錠(成人の1日量)中: 酸化マグネシウム:2000mg

3Aマグネシアの効果と副作用については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

<酸化マグネシウムE便秘薬(健栄製薬)>

酸化マグネシウム(健栄)

医療用の酸化マグネシウムでもおなじみのメーカーから販売されているお薬です。水で溶けるとすぐに崩壊し、しかもレモン風味の甘みが付いているので飲みやすくなっています。

6錠(成人の1日量)中: 酸化マグネシウム:2000mg

<スラーリア便秘薬(ロート製薬)>

スラーリア

水で飲むと口の中ですばやく溶けて、腸まで届きやすい速崩錠(そくほうじょう)になっています。スラーリアにはビタミンも配合された液体タイプ「スラーリア便秘内服液」もあります。ウォーターコントロール作用で溜まった便をスムーズに押し出してくれます。

有効成分6錠中 :酸化マグネシウム 2000mg

<錠剤ミルマグLX(エムジーファーマ)>

ミルマグ錠剤

ミルマグに含まれているのは水酸化マグネシウムという成分です。酸化マグネシウムと同じように働きます。レモンの風味が付いていて、お子様でも飲みやすくなっています。

他にも、ミルマグには液体タイプの香料と甘味料無添加の「ミルマグ液」と3歳のお子様から飲める「ミルマグ内服液」があります。

<スルーラックデルジェンヌ(エスエス製薬)>

スルーラックデルジェンヌ

スルーラックの中でも、非刺激性の酸化マグネシウムを主成分とするタイプです。便秘による肌荒れを改善するヨクイニンを配合しています。

成分(成人量6錠中):酸化マグネシウム 2000mg,ヨクイニンエキス 310mg

<太田胃散整腸薬 デ・ルモア(太田胃散)>

デルモア

整腸剤のカテゴリーに分類されるお薬ですが、便秘にも効果があります。乳酸菌をはじめとする生菌成分と水酸化マグネシウム、生薬成分のケツメイシ、チンピを配合しています。便秘薬よりも穏やかに、整腸剤よりも効果の高いお薬を探している方におすすめです。

成分(成人1日量9錠):水酸化マグネシウム1200mg、生菌成分(ビフィズス菌60mg, ラクトミン60mg, 酪酸菌 30mg)、ケツメイシエキス 150mg、チンピ末 300mg

医療用の酸化マグネシウム配合の便秘薬

酸化マグネシウムの便秘薬は、医療用としても良く使われています。

医療用のお薬の場合には、市販薬とは違って酸化マグネシウムだけを有効成分として含んでいます。

病院から処方される場合には、胃薬と便秘の改善に用いられる他、尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防にも使われることがあります。

  • 医療用酸化マグネシウム製剤
  • マグラックス錠(200mg・250mg 300mg・330mg・400mg・500mg)
  • マグミット錠 (250mg・330mg・500mg)
  • 酸化マグネシウム(ジェネリック医薬品、粉薬、錠剤あり)、重質酸化マグネシウム

用法用量
制酸剤として使用する場合

酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.5~1.0gを数回に分割経口投与する。

緩下剤として使用する場合

酸化マグネシウムとして、通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与する。

参照:酸化マグネシウム(ヨシダ)

市販薬と同じく、1日あたり最大で2000mgまで使用することができます。

酸化マグネシウムの飲み方のポイント

酸化マグネシウムを飲む時には注意して服用すべきポイントがあります。よく知った上で、安全に効果的に飲むように心がけましょう!

多めのお水で一緒に飲む

水を飲む女性

酸化マグネシウムは便に水分を与えて柔らかくするお薬です。そのため、多めのお水を一緒に飲んだ方が効果的です。コップ1杯(200mlくらい)のお水で飲むようにしましょう。

また、粉薬の酸化マグネシウム製剤は飲むと口のなかに少し残りやすく、舌触りがザラザラとして気になる方も多いかもしれません。一緒に多めのお水で飲み下すことで、口の中に残りにくくなります。もし飲みにくい場合には、オブラートまたは服薬補助ゼリーなどを使っても構いません。

飲んでから効果が出るまでの時間は?

酸化マグネシムの効果が出るまでには、だいたい時間から10時間(早い場合には、1〜2時間)かかります。便意は朝方に起きることが多いので、寝る前に服用すれば翌朝に効果が現れやすくなります。

効かない時は増やしていい?

酸化マグネシウムを飲んでも便が出ないという場合もあります。考えられる理由としては、量が足りていないか、服用日数がまだ足りていないということです。

飲んだ翌日に効果がなくても、続けて服用することで、だんだんと効果が出てくることもあります。それほど即効性の高いタイプではないので、頑固な便秘の方は続けて服用してみると良いでしょう。

原因によっては受診すること

便秘の原因によっては、酸化マグネシウムを使っても効果が出にくい場合もあります。その場合は下剤を使用することも必要かもしれません。なんらかの病気が原因になっている可能性もあるので、気になる場合には医師に相談することをおすすめします。

また、お薬に頼るだけでなく、生活習慣を見直したり、整腸剤などを使って腸内環境を改善することも必要かもしれません。腸内環境を整えることで自然なお通じが戻りやすくなるでしょう。

便秘におすすすめの整腸剤についてはこちらの記事で紹介していますので、気になる方は読んでみてください。

一緒に飲んではいけない飲み物や食品はある?

酸化マグネシウムはお茶や牛乳などと一緒に飲むと十分な効果が出ない場合があります。水かぬるま湯で飲むようにしましょう。

何リットルもの牛乳を飲まない限りは影響は少ないと考えられますが、カルシウムとの飲み合わせは注意した方が良い場合もあります。例えば、カルシウムを含むお薬やサプリメントを一緒に飲む場合には、あらかじめ医師や薬剤師に相談してください。

飲み合わせの悪いお薬はある?

処方薬

お薬の種類によっては相互作用といって、一緒に飲むことでお互いの効果に影響してしまうことがあります。

例えば、テトラサイクリン系の抗生物質、カルシウム製剤などです。病気の治療でお薬を飲んでいる方は、あらかじめ医師や薬剤師に相談してから服用してください。

また、下剤などの他の便秘薬と一緒に飲むことは差し支えありませんが、下痢や腹痛を起こしやすくなる場合もあります。初めて飲む場合には、どちらか一方から始めるなど、調整して飲むことをおすすめします。

酸化マグネシウムに副作用や注意点はある?

酸化マグネシウムはミネラルであるマグネシウムが主成分であり、比較的安全なお薬ではありますが、使い方を誤ると副作用が起きることもあります。気をつけるべき副作用と注意点について確認しておきましょう!

軟便、下痢などの副作用に注意

酸化マグネシウムで起こりやすい副作用としては、軟便や効きすぎによる下痢です。これらの症状が現れたときには、服用を一旦お休みするか、量を減らして飲むようにしてください。

妊婦や授乳中のお薬は相談してから

酸化マグネシウムは比較的安全な便秘薬であるため、妊婦さんや授乳婦さんにも処方されることはよくあります。妊娠中にはホルモンの影響で、便秘になりやすくなるので、便秘薬を使うことが多くなります。しかし、大腸刺激系の下剤を使ってしまうと、早産や流産などのリスクもあるため、使用には注意が必要です。

それに対して、酸化マグネシウムの場合には、刺激する成分は入っていないので比較的安心して使うことができます。授乳中も特に問題なく飲むことができます。

ただし、妊娠中や授乳中においては、普段よりもお薬の使用に気をつけなければいけないので、便秘薬を使いたいときには、必ず医師や薬剤師などに相談することをおすすめします。

腎機能障害や心臓疾患がある場合、高齢者は注意

酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムは、腎臓を通って外に排出されていきます。そのため、腎臓の機能が低下している場合には、マグネシウムが体内に残ってしまうため、高いマグネシウム血症という副作用が起きることがあります。

腎機能障害がある方や、腎機能が低下しやすい高齢者も注意が必要です。症状としては、吐き気やだるさ、筋力の低下などがみられます。

また、マグネシウムの作用により、徐脈(じょみゃく)といって脈が遅くなる副作用が出ることもあるため、心臓の病気がある場合には注意してください。

効きが悪くなったり、クセにはならない?

便秘薬の中でも酸化マグネシウムは、長く飲み続けることによる耐性(効き目が悪くなること)や習慣性(クセになること)が問題になりにくいお薬です。長く飲み続けても、副作用が起こりにくいので、慢性的な便秘の方には頼りになるお薬だといえます。

しかし、酸化マグネシウムを使っていても、効果が足りないと下剤を使ってしまうこともあるかと思います。便が詰まって腸閉塞などを起こしてしまうのは危険なので、下剤を使って対処することも必要でしょう。

下剤を使う場合は注意

ただし、大腸を刺激する作用のある便秘薬の場合には、効きが悪くなったり、クセになることがあるため、使いすぎには気をつけなければいけません。下剤依存症になってしまう場合もあるため、大変危険です。

便秘薬の副作用については、次の記事で詳しく解説していますので、心配な方はぜひ読んでみてください。