ミヤBMはどんな薬?効果と副作用、特徴を解説!


監修・執筆:笹尾(薬剤師)

ミヤBMというお薬を知っていますか?

病院で処方される医療用の整腸剤です。どんな効果、副作用があるのか知りたいですよね。

安全なお薬ですが、飲む上で注意すべきこともあります。ミヤBMの飲み方や注意点についても詳しく知っておきましょう。

注意を促す女性

ミヤBMってどんな薬?

まず始めに、ミヤBMはどんな薬なのか、種類について説明していきます。また、市販で購入できるのかどうかについてもお答えします。

ミヤBMは病院からの処方薬

ミヤBMは市販薬ではなく、お医者さんから処方される医療用の整腸剤です。整腸剤というのは、腸内細菌のバランスを整えて、腸の調子を整える作用がある薬のことです。

ミヤBMの種類

ミヤBMには、錠剤と細粒(粉薬)の2種類があります。細粒は粉薬が飲めない子供や大人の場合でも処方されることがあります。どちらも1日量の宮入菌を摂取できる量は同じあり、効能効果も同じです。

市販はされているの?市販品との違いは?

ミヤBMは同じ名前では市販されていません。しかし、配合成分である「宮入菌(みやいりきん)」配合している製品としては、「ミヤリサン」が市販薬として買うことができます。

どちらも「ミヤリサン製薬」から発売されている歴史の古い薬です。

次のとおり比較してみると、ミヤBM錠とミヤリサン錠は1錠あたりの配合量が違います。

ミヤBM

1錠あたり宮入菌末20mg 、成人1日3〜6錠(医師の判断によって適宜増減)

ミヤリサン

1錠あたり宮入菌末10mg、成人1日18錠

1日で摂取できる宮入菌の量は大きく違いはありませんが、医療用の方が1錠あたりに含まれる菌の量は多くなります。また、医療用の方が1度に飲む錠数も少なくてすみます。

なお、市販の整腸剤については次の記事で詳しく紹介しています。自分に合った整腸剤の選び方について知りたい方は参考にしてください。

ビオフェルミンなど他の整腸剤との違いは?

ミヤBMはビオフェルミンなど他の整腸剤とどう違うのか、疑問に思う方も少なくないでしょう。

実際のところ、ミヤBMと他の整腸剤についての効果の比較をするための大規模な臨床試験のデータはありません。

そのため、他の整腸剤と効果の違いや強さの比較はできません。医療現場ではお医者さんの経験と判断によって、整腸剤が使われています。

一方で、菌の種類によって腸のどこの部位になじみやすいか(親和性が高い)が違うということがわかっています。他の整腸剤で効果が無かった場合に、ミヤBMに変えることで効果が得られる可能性もあるでしょう。

参照:整腸剤の使い分け 日本医事日報社

ミヤBMの効能効果は?

疑問を感じる女性

ミヤBMにはどんな効果があるのでしょう?どの位飲み続けたら良いのか、便秘や下痢に効果がある理由についても解説していきます。

効能効果を解説

ミヤBMの薬の説明書である添付文書によると、次の効能効果が認められています。

腸内菌叢の異常による諸症状の改善

この「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の異常」とは、具体的にはどんなことを意味しているのでしょうか?

そもそも腸内細菌叢とは?

腸内には多数の腸内細菌がそれぞれに群のような塊を作って生態系を作っています。

この生態系のことを「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼んでいます。まるでお花畑のようであることから、腸内フローラとも呼ばれます。

この腸内細菌叢が乱れるというのは、腸内細菌のバランスが崩れるということです。腸内細菌のバランスが乱れると便秘、下痢、お腹のハリなどの不快な症状がでてきます。

つまり、ミヤBMは以上のようなお腹の不快な症状を改善してくれるお薬ということです。

宮入菌の効果とは?

乳酸菌、ビフィズス菌という名前は聞いたことがあっても、宮入菌というのはあまり聞いたことがない方が多いかと思います。

宮入菌は10〜20%の人の腸内に住んでいる常在菌の1つです。腸内の腐敗菌をやっつける作用があり、乳酸菌と比べても胃酸に強く、腸まで生き抜く力が強いといわれています。

宮入菌は腸内で増えて、酪酸(らくさん)という酸を発生させます。この酸が悪い菌をやっつけ、腸の炎症や潰瘍を抑える作用があることがわかっています。

参照:ミヤリサン製薬ホームページ

 

どのくらい続けたら効果がでる?

ミヤBMを飲むときに気になるのは、どの位飲み続ければ効果がでるのか?ということではないでしょうか。また、飲んでから効果があまり実感できないと不安になる場合もあるかもしれませんね。

服用期間については、原則として医師から処方された日数分を飲み続けることが大切です。

たとえば、下痢や軟便などで受診した場合、最低でも3日以上は処方されるのが一般的ですが、症状や程度によって異なります。

また、良くなったからといって途中で止めないようにしましょう。腸内細菌の乱れを改善するには、少し時間がかかると思って飲み続けることをおすすめします。

便秘にも効果はある?便秘薬との違いは

便秘に対する効果には個人差があると考えられます。ミヤBMの作用からして、腸内細菌叢の乱れによって起きている症状ならば効果は期待できます。宮入菌が発生する酪酸(らくさん)によって、腸の動きが良くなり、便通が整ってきます。

しかし、便秘にはさまざまな原因が考えられます。ミヤBMでは改善されないこともあるでしょう。

また、基本的には便秘の場合にはミヤBMよりも便秘薬の方が優先的に使われているような実態もあります。整腸剤では効果が無いとは言い切れませんが、便秘薬の方が即効性が期待できるでしょう。

しかしながら、長期的な便秘薬の使用は決して安全とは言い切れません。整腸剤を活用して腸内細菌のバランスを整えていくことは、便秘の予防には安全で効果的な方法だといえます。

便秘薬の副作用については次の記事でさらに詳しく紹介しています。気になる方はぜひ読んでみてください。

下痢に効果があるのはなぜ?

ミヤBMは下痢の治療に使われることがあります。腸内細菌の乱れを整えることで、下痢の症状を改善していく作用があるためです。

下痢止めとは違い、ゆっくりと腸内細菌を正常な状態に導いてくれます。ただし、下痢の場合には他の治療が必要なこともあります。安易に自己判断で飲まないようにしましょう。

ミヤBMの飲み方と注意点は?

ミヤBMの飲み方と、飲む時の注意点を解説していきます。

処方薬

ミヤBMの用法用量

ミヤBMは処方薬なので、原則としては医師からの処方通りに服用することになります。自己判断で調整したりしないようにしてください。

なお、ミヤBMの飲み方は薬の説明書では次のように決められており、医師の判断によって飲み方は調整することができます。

ミヤBM錠

通常、成人1日3~6錠を3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

ミヤBM細粒

通常、成人1日1.5~3gを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

ミヤBMを飲む時の注意点

ミヤBMは基本的に食後に服用するという決まりはないため、食事が摂れない時でも飲むことができます。また、宮入菌は乳酸菌と比べて胃酸に対する抵抗性が強いことがわかっています。

ただし、医師からは1日3回食後と指示されるケースがほとんどであり、飲み忘れを防ぐという意味からも食後の服用をおすすめします。

参照:ミヤリサン製薬ホームページ

妊娠中、授乳中は服用できる?

ミヤBMは妊娠中、授乳中であっても飲むことができます。
ただし、不安な場合には主治医に相談するようにしてください。

ミヤBMの副作用は?

ミヤBMを飲む上で気になるのは副作用ではないでしょうか?また長く続けて飲む場合の影響についても解説します。

副作用はあるの?

ミヤBMについては特に副作用の目立った報告はありません。ただし、絶対に起きないということではないため、何か異常が見られた場合には早めに医師に相談することをおすすめします。

飲み続けても大丈夫?

ミヤBMは処方された通り飲み続けることが原則です。また、治療する疾患によっては長期に渡って処方されることもあるでしょう。

ミヤBMは飲み続けて問題が起こることは考えにくい安全なタイプの薬です。
また、効き目がなくなったりクセになるといったような報告はありません。医師から必要と判断された期間を守って飲み続けることが大切です。

喜ぶ女性

抗生物質と一緒にミヤBMを服用するのは?

抗生物質(抗生剤)と一緒にミヤBMが処方されることがありますが、なぜ一緒に飲む必要があるのでしょうか?抗生物質というのは、原因菌をやっつけるための抗菌剤のことです。

なぜ抗生物質と一緒に飲むの?

抗生物質を飲むと原因の悪い菌だけでなく、腸内に住んでいる必要な菌まで殺してしまうことがあります。その結果、お腹が緩くなったり、下痢になってしまうことがあるのです。

このような抗生剤による下痢などの副作用を防ぐため、ミヤBMのような整腸剤が一緒に処方されるのです。

宮入菌は抗生物質に強い

ビフィズス菌のように抗生物質で死んでしまう菌がありますが、宮入菌は抗生物質にも強い菌です。一緒に飲んでも宮入菌は効果がなくなりにくいので、ミヤBMはいろいろな抗生物質と併用されることがあります。

特にお腹に異常がなくても、処方された場合には副作用を防ぐため一緒に飲むようにしましょう。

まとめ

ミヤBMの効果、副作用や飲み方の注意など解説してきましたが、いかがでしたか?
処方された薬なので、自己判断で飲むのではなく医師の指示に従うことが原則です。

もし不安な点がある場合には、早めに医師などに相談することをおすすめします。

なお、市販の整腸剤の選び方については次の記事で紹介しています。市販品で対処したい方は参考にしてください。

 

参照:ミヤBM添付文書 PMDAホームページ