ビオフェルミン錠剤ってどんな薬?処方薬と市販薬の違い


執筆・監修:笹尾(薬剤師)

病院から処方されるビオフェルミン錠剤は、どんな薬なのでしょうか?気になる効果や副作用、注意すべきことを知っておくと安心です。

また、ビオフェルミンにはいくつかの種類があります。市販のビオフェルミンSとの違いも合わせて説明します。

注意を促す女性

ビオフェルミン錠剤ってどんな薬?

「ビオフェルミン」という名前は聞いたことがある方が多いと思います。ビオフェルミンにも色々な種類がありますが、「ビオフェルミン錠剤」とはどんなお薬なのか説明します。

ビオフェルミン錠剤は処方薬?

ビオフェルミンは整腸剤ブランドとして、「ビオフェルミン製薬」が発売しています。昔から、整腸剤の代名詞のように扱われるほど有名なお薬の1つですね。

そのビオフェルミンには、市販薬と病院で処方される医療用があります。「ビオフェルミン錠剤」は、医療用でお医者さんから処方される整腸剤です。

医療用のビオフェルミン錠剤と市販薬のとの違いは?

ここで疑問に感じる方が多いのは、市販薬と医療用で何が違うのか?ということだと思います。

市販薬の「新ビオフェルミンS錠剤」と医療用の「ビオフェルミン錠剤」を比較してみましょう。

  医療用ビオフェルミン錠剤 市販薬 新ビオフェルミンS錠剤
成人1日量 ビフィズス菌:36mg〜最大72mg

(1錠あたり12mg、1日3錠〜6錠)

  • フェーカリス菌末 18mg
  • ビフィズス菌末 18mg
  • アシドフィルス菌末 18mg
    (1錠あたり各2mg,1日9錠)
効能効果 腸内細菌叢の異常による諸症状の改善
  • 整腸(便通を整える)
  • 軟便
  • 便秘
  • 腹部膨満感
入手方法 医師の処方が必要 薬局、ドラッグストアで購入できる

表を見るとわかるように、医療用のビオフェルミン錠剤の方が圧倒的に1日で摂取できるビフィズス菌の量が多いことがわかりますね。
これは、医療用の場合は医師の判断のもとで、なんらかの症状の治療のために使われるからです。

逆に、市販薬の方はビフィズス菌以外の乳酸菌も同時に摂取することができるのが特徴です。もし、病院に行くまでもないという方は市販薬でも良いでしょう。

市販の新ビオフェルミンSについて詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。

また、その他の市販の整腸剤については次の記事で紹介しています。整腸剤を探している方は読んでみてくださいね。

医療用ビオフェルミンの他の種類

医療用のビオフェルミンには錠剤以外にもいくつかの種類があります。簡単に他のビオフェルミンについて紹介しておきましょう。

・ビオフェルミン配合散

ラクトミン(乳酸菌)と糖化菌を配合した粉薬タイプの整腸剤です。糖化菌はビフィズス菌を腸内で増やす働きがあります。

参照:ビオフェルミン配合散 くすりのしおり

・ビオフェルミンR(錠/散)

抗生物質と一緒に飲んでも効果が無くならない、耐性乳酸菌が成分の整腸剤。抗生物質が処方された時に、処方されることのあるタイプです。

参照:ビオフェルミンR くすりのしおり

他の整腸剤とは何が違うの?

医療用の整腸剤には他にも、ミヤBM、ビオスリー、ラックビーなど様々な種類があります。それぞれ、含まれている菌の種類が違いますが、医師の経験と裁量によって使い分けられているのが現状です。

ビオフェルミンとの効果の違いについては、比較した臨床試験のデータがないため不明です。

ただし、菌の種類によって小腸から大腸のどこに馴染みやすいか(親和性)が違うことがわかっています。もし、ビオフェルミンで効果がなかったとしても、他の整腸剤を試してみる価値はあるでしょう。

参照:整腸剤の使い分け 日本医事日報社

ビオフェルミン錠剤の効能効果は?

ビオフェルミン錠剤にはどのような効果があるのでしょうか?また、どの程度飲めば効果がでるのでしょう?便秘への気になる効果についてもお話します。

疑問を感じる女性

効能効果を解説

ビオフェルミン錠剤の薬の説明書である添付文書によると、次の効能効果が認められています。

腸内細菌叢の異常による諸症状の改善

「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の異常」と言われてもちょっと難しいですよね?

腸内にはさまざまな腸内細菌がそれぞれに群のような塊を作って生態系を作っています。この生態系のことを「腸内細菌叢」といいます。まるでお花畑のようであることから、別名腸内フローラとも呼ばれています。

この腸内細菌叢が乱れると、「便秘」「下痢」「軟便」「腹部膨満感」などの様々な症状が現れることがあります。

つまり、ビオフェルミン錠剤は、以上のようなお腹の不調を改善してくれるお薬なのです。

どれくらい続けたら効果がある?

ビオフェルミン錠剤を飲む上で、気になるのがどのくらい飲めば効果があるのか?ということではないでしょうか。

服用期間については、医師からの指示通り、処方された日数分を飲み続けることが原則です。大抵の場合、3日以上は処方されますが、症状によっても異なります。

また、治ったからといって、途中で止めずに飲み続けた方が良いでしょう。腸内細菌の乱れを整えるには時間がかかるため、医師の指示に従って飲みきることをおすすめします。

本当に便秘にも効果はある?便秘薬との違いは?

便秘

便秘に対するビオフェルミン錠剤の効果については、個人差があると考えられます。便秘の原因が腸内細菌の乱れであった場合には、ビオフェルミン錠剤でも効果は期待できるでしょう。

ただし、便秘には他にもいろいろな理由が考えられます。原因によってはビオフェルミン錠剤だけでは便秘は改善しない可能性があります。

また、病院でも便秘の治療には整腸剤よりも、便秘薬が優先的に使われている実態があります。便秘薬の方が速く効果が出やすく、整腸剤では効果が出るのに時間がかかるのです。

しかし、長期的に便秘薬を使い続けることは副作用の観点からもあまりおすすめではありません。時間はかかるとしても、ビオフェルミンのような整腸剤で腸内環境を整えることは、便秘になりにくい状態に導いてくれることになるでしょう。

下痢にも効果があるのはなぜ?

ビオフェルミン錠剤は下痢のときにも処方されることがあります。便秘にも効果があり、下痢にも効果があるというのは、ちょっと不思議に思いませんか?

ビオフェルミン錠剤は下痢で腸内細菌のバランスが乱れている時にも有効です。整腸剤は無理に下痢を止めるのではなく、ゆっくりと改善する作用があります。
ただし、医師の判断によっては下痢止めが使われることもあります。

過敏性腸症候群にも効果はあるの?

過敏性腸症候群では、便秘と下痢を繰り返すことがあります。過敏性腸症候群の原因は、「腸の知覚過敏」や「ストレス」などが関係しているといわれています。治療方法はさまざまですが、整腸剤が医師から処方される場合もあります。

参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井 正宙 著)

ビオフェルミン錠剤の飲み方

処方薬

 

ビオフェルミン錠剤の飲み方は、薬の説明書では次のように決められています。

通常、成人1日3〜6錠を3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する

飲み方は医師の判断によって調整されることがありますので、処方された指示に従って服用してください。

また、食後に服用しなければいけない薬ではありませんが、食後の服用が一般的です。胃酸による影響を避けるため、また飲み忘れを防ぐためにも食後がおすすめです。

ビオフェルミン錠剤の副作用は?

ビオフェルミン錠剤を飲む上で気になるのは副作用ではないでしょうか?副作用と飲み続けた時の安全性についてお話します。

副作用はあるの?

ビオフェルミン錠剤は安全性が高く、特に副作用が出にくい薬だといわれています。体質によっては全く出ないとはいいきれませんが、一般的には安全な薬であり、副作用は考えにくいでしょう。

飲み続けて大丈夫?クセにならない?

ビオフェルミン錠剤は飲み続けることで、副作用が現れたり、クセになったりしないかと心配にする方もいるようです。

ビオフェルミン錠剤は長期的に服用しても、特に問題は起こりにくいとされています。効きにくくなるようなことも考えにくいでしょう。医師が必要と判断した処方期間を守って服用することが大切です。

抗生物質と一緒に処方されるのはなぜ?

風邪や気管支炎などで病院にかかった時に、抗生物質が処方されることがありますよね?悪い菌をやっつけるために使う抗菌剤のことです。

抗生物質とビオフェルミン錠剤は、同時に処方される場合があります。抗生物質を飲むと悪い菌だけでなく、腸内細菌の良い菌まで影響を受けてしまうためです。結果的に副作用として、お腹が緩くなったり、便秘になる人もいます。

このような抗生物質による副作用を防ぐため、ビオフェルミン錠剤のような整腸剤が処方されるのです。特にお腹の調子が悪くなくても、一緒に処方された場合には飲むようにしましょう。

まとめ

ビオフェルミン錠剤について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?疑問は解決できましたか?
ビオフェルミン錠剤はお医者さんから処方されるお薬です。指示に従って、正しく飲むことが大切です。また、気になる症状が出た場合には、早めに相談するようにしましょう。