即効性のある便秘薬はどれ?すぐ効く便秘薬のデメリットは


便秘になると辛いので、少しでも早くスッキリしたいと思いますよね?そこで頼りたくなるのが、即効性の高い便秘薬でしょう。たしかに、効果が早くてスッキリできますが、使い続けると危険な副作用がでることもあります。

今回は、即効性のある便秘薬の種類と使う上での注意点についてお話していきます。

処方薬

即効性のある便秘薬とは?

便秘薬にはいろいろな種類があり、効き目の速さや効き方に違いがあります。即効性がある便秘薬とはどんなお薬なのか解説していきます。

便秘薬の種類と効果の違い

便秘薬に含まれる成分にはいくつかのタイプがあり、効き方が違います。便秘薬は効き方の違いによって次の5つのグループに分けることができます。

大腸刺激性下剤

主な成分:センナ、センノシド、アロエ、ダイオウ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム

はたらき:腸の粘膜や神経を刺激することで、腸のぜん動運動を活発にし、排便を促す効果が高い

浸潤(しんじゅん)性下剤

主な成分:DSS(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)

はたらき:腸の内側に水分を引き寄せて便をやわらかくする効果があります。DSSは界面活性作用があり、便の滑りをよくして出しやすくします。

膨潤(ぼうじゅん)性下剤

主な成分:食物繊維(プランタゴ・オバタ種子などのファイバー)

はたらき:腸内で水分を吸収して便を柔らかくし、便のかさを増やして出しやすくします。腸のぜん動運動も高まります。

塩類性下剤(緩下剤;かんげざい)

主な成分:酸化マグネシウム、水酸化マグネシム

はたらき:マグネシウムが水分を引き寄せて便を柔らかくして、膨らませる作用があります。

漢方

主な成分:大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)、麻子仁丸(マシニンガン)など

はたらき:いくつかの生薬が一緒に合わさって働くことで、便秘だけでなく同時に他の症状も改善することができる。体質に合わせた処方を選べる。

即効性のある便秘薬に含まれる成分

便秘薬の効き目には個人差があるものの、一番即効性のある便秘薬は、はじめに紹介した「大腸刺激性下剤」です。大腸を刺激し、腸の動きを良くして、排便を促します。

寝る前に飲めば翌朝には効果が出るので、1回飲んだだけでも効果があります。ただし、効果が早い反面、お腹が痛くなりやすかったり、下痢になりやすいというデメリットがあります。

こんな場合におすすめ

即効性が高い便秘薬は、毎日飲むようなタイプのお薬ではありません。特に、次のような場合に活用することをおすすめします。

  • 旅行先など環境の変化で便秘になったとき
  • 数日間、便が出ないとき
  • 自宅で過ごすので、お腹が痛くなったりしても大丈夫なとき

また、便秘のタイプとしては、お腹の筋力が弱くて腸の動きが悪い「弛緩性便秘」、直腸まで便が降りてきても便意が起こりにくい「直腸性便秘」におすすめです。

即効性のある市販の便秘薬

即効性のある便秘薬は市販で買うことができます。どのような種類があるのか、紹介していきましょう。

<コーラック>

コーラック

成分:ビサコジル

特徴:慢性便秘にも効果がある、ビサコジルを配合。調整ができないことが難点ではあるが、安定した効き目を求めたい方におすすめ。効果発現は6時間から11時間。

<コーラックハーブ>

コーラックハーブ

成分:センノシド、カンゾウエキス

特徴:2つの生薬由来成分のはたらきで、自然に近いお通じが得られる。効果発現は9時間から12時間。

<スルーラックS>

スルーラック

成分:センノサイド、ビサコジル

特徴:2つの大腸刺激成分が合わさって働く。便秘の状態によって1錠から3錠まで調節できる。

また、市販薬の場合にはいくつかの成分が合わさって、入っている場合が多くあります。

「お腹にやさしい」と書かれていても、成分としては大腸刺激成分が入っていて、翌日には効果が現れるものもあります。

紹介した以外の市販の便秘薬については、次の記事で詳しく紹介しているので、気になる方は参考にしてください。

即効性のある便秘薬の正しい飲み方は?

即効性のある、大腸刺激性の便秘薬を飲むときには、いくつか守って欲しい注意点があります。副作用を防ぐためにも、飲み方を正しく守って飲むようにしましょう。

寝る前(空腹時)に飲むこと

即効性のある大腸刺激性の下剤は、効果がだいたい7、8時間で現れます。早朝は大きなぜん動運動が起きるタイミングです。寝る前に便秘薬を服用して、翌朝排便するようにリズムを作るのがおすすめです。

また、空腹時に飲むことも大切です。胃の中に食べ物が入っていると、お薬が早く溶けてしまい、腸で効果が発揮できなくなってしまうからです。寝る前のお腹が空っぽの状態で飲むと効果的です。

水またはぬるま湯で飲む

大腸刺激性の下剤は、腸でお薬が溶けてはたらくようにコーティングされていることがあります。例えば、コーラック、スルーラックSなどは、腸で溶けるような製剤になっています。

飲むときに、例えば牛乳や、胃酸を中和する胃薬(制酸剤)を一緒に飲んでしまうと、お薬が腸でなく胃の中で溶けてしまいます。飲むときには必ず水またはぬるま湯で飲むようにしましょう。

最初は少ない量から始める

即効性が高い便秘薬は、効果が強く出てしまうことがあります。いくら早く効いて欲しいからと、飲む量を増やしても効果が出るまでにかかる時間はそれほど変わりません。

はじめて飲むときは、どれくらい効果が出るか分からないので、なるべく少ない量から始めるようにしましょう。

こんな場合には注意が必要!

注意を促す女性

即効性の高い便秘薬は注意しないと、思わぬ副作用が出てしまうことがあります。特に、次のような場合には、お薬が合わないことがあるので気をつけましょう。

便秘と下痢を繰り返す、けいれん性便秘

ストレスなどによって起きる「けいれん性便秘」の場合には、大腸を刺激する便秘薬はおすすめできません。

「けいれん性便秘とは?」

腸がけいれん、緊張することで細くなってしまい便秘になる。細い便が出たり、便秘と下痢を繰り返すこともあるタイプ。

けいれん性便秘の場合には、すでに大腸が緊張して収縮してしまっているので、大腸をこれ以上刺激するような成分を使うことは良くありません。お腹が痛くなったり、お薬を飲んでも効果が出ない場合もあります。

けいれん性便秘の場合には、大腸を刺激しにくい「塩類性下剤」や整腸剤、または乳酸菌サプリなどがおすすめです。

便秘解消におすすめの整腸剤は次の記事で紹介しています。

また、便秘のお悩みにおすすめの乳酸菌サプリメントについては、次の記事を参考にしてください。

妊娠中、授乳中

大腸を刺激する作用のある便秘薬を、妊娠中に使うときには注意が必要です。

特に、センナやダイオウなどの成分は基本的には使わない方が良いとされています。腸を刺激することで、周囲にある子宮にも影響がでて、早産や流産のリスクが高まるためです。

また、授乳中の場合には、成分が母乳を介して赤ちゃんに入ってしまうことがあります。赤ちゃんへの影響を考えると、なるべく安全な成分を選んだ方が安心です。

妊娠中、授乳中の便秘薬の使用にあたっては、必ず医師や薬剤師などに相談してから使うことをおすすめします。

腹痛がある場合や、お腹が痛くなりやすい人

即効性のある便秘薬は、大腸を刺激して腹痛を起こしやすいといえます。そのため、すでに腹痛がある場合には、症状が悪化する可能性があります。

また、便秘薬を飲むとお腹が痛くなりやすい人も、注意した方が良いでしょう。もし、お腹が痛くなりたくないならば、塩類性下剤や整腸剤などの穏やかなタイプを選ぶようにしましょう。

即効性のある便秘薬の副作用は?

即効性のある便秘薬には、使い方によって思わぬ副作用が起きることがあります。特に飲み過ぎた場合には注意が必要です。副作用が起きて大変なことにならないように、あらかじめ注意すべきことを理解しておきましょう。

はげしい腹痛や吐き気、下痢に注意

便秘薬を飲んでから、はげしい腹痛や、吐き気、嘔吐、または下痢を起こすことがあります。特に、効果を強めたいからといって、飲みすぎると副作用も強くなりやすいので危険です。

便秘薬を飲み始めてから、症状が出た場合には、服用を中止しましょう。もし、改善がみられない場合には、医師または薬剤師などに相談することをおすすめします。

長期連用による副作用

即効性の高い便秘薬は、飲むとスッキリするのでお薬に便りがちになりやすいことが問題です。毎日排便がないと不安になって、ついつい飲んでしまう方もいることでしょう。

特に問題なのは、長期間飲み続けることで、大腸が刺激に慣れてしまうことです。これを慣れや耐性(たいせい)といいます。また、お薬に便りがちになって、ついつい依存してしまうような習慣性の副作用が出ることもあります。

お薬に便りがちになると、やがてお薬が効かなくなったり、自然な便意が感じられなくなってしまうこともあるので危険です。

即効性のある便秘薬は、なるべく最低限に使用するようにして、毎日飲み続けたりしないことが大切です。

便秘薬の副作用について詳しくは次の記事で解説しています。便秘薬を飲む前に、読んでおくと良いでしょう。