ガスピタンの飲み過ぎは良くない!?お腹の張りに効果は?
執筆・監修:薬剤師 笹尾
お腹が張って洋服のウエストがきつい、腸にガスが溜まって何だかお腹がスッキリしないという人はいませんか?
お腹が張ると何だか気持ちまで苦しくなってイライラしがちにもなります。そんな時に頼りになるのが、ガスピタンというお薬です。ガスピタンは、お腹の張りになぜ効くの?副作用は無い?そんな疑問にお答えします。
目次
ガスピタンってどんな薬なの?
お腹の張りに効果的だと言われるガスピタンですが、一体どんなお薬なのでしょうか?まずは、ガスピタンの基本的な知識を確認しましょう。
ガスピタンのお薬情報
ガスピタンは市販薬なので、自分の判断で薬局やドラッグストアで購入することができます。医薬品であり、国に認められた効能効果と飲み方が決められています。
飲み方を守って正しく服用することが、効果をきちんと得るだけでなく、思わぬ副作用が起こらないようにするためにも大切です。
整腸(便通を整える)、腹部膨満感、軟便、便秘
用法・用量
次の量を食前または食間にかみ砕くか口の中で溶かして服用してください。
大人(15歳以上)1回1錠、1日3回
(15歳未満は服用しないこと)
これだけでは少し分かりにくい部分を、次から説明していきます。飲み方で分からないことは解決しておきましょう。
ガスピタンはどんな効果があるの?
ガスピタンには3つの種類の乳酸菌(フェカリス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌)が含まれているので、腸内環境を整えてくれる効果があります。腸内細菌のバランスを適正に整えてくれるので、便通を正常にして、便が柔らかい「軟便」の症状や、便秘を改善する効果もあります。
また、ガスピタンはその名前の通り、ガスを抑えてくれる作用がある薬です。腸の中でガスが発生しすぎると、お腹が張って医学的には「腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)」という症状が出てきます。ガスピタンは、その腸の中のガスを潰して、辛いお腹の張りを改善してくれるのです。
食間っていつ?
ガスピタンの飲み方は「食後または食間」と決められていますが、食間がいつを指すのか分からず間違った理解をしてしまう方もいるのでしっかり確認しておきましょう。
食間というのは、食事と食事の間のことであり、だいたい食後2時間後が目安になります。お腹の中の消化が行われてから飲むということです。食事の間に飲むという意味ではないので気をつけてください。
整腸剤とは違うの?
ガスピタンは整腸剤と同じコーナーに売られていることが多いのですが、生きた菌を含む整腸剤とは違いがあります。ガスピタンにも整腸剤と同じタイプの乳酸菌が含まれていますが、他にもガスを潰してくれる消泡剤、ガスの発生を抑える消化酵素が配合されているので、お腹の中のガス対策に、より特化した処方になっているのです。
整腸剤でもお腹の張り(腹部膨満感)を改善することはできますが、早く効果を実感したいのであれば、ガスピタンがおすすめです。
整腸剤について、選び方や種類など、詳しくは次のリンク先でも紹介しています。市販薬を試してみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ガスピタンに含まれる成分と作用をもっと知りたい!
ガスピタンがお腹の張りに効果があるということは理解できたかもしれませんが、どのように薬が働いて効果が出るのか知っておくと安心して飲むことができます。
ガスピタンに含まれている成分と作用について、さらに詳しく解説をしていきます。
成分1. 溜まったガスを潰す「消泡剤(ジメチルポリシロキサン)」
お腹の張りやおならの原因になるのが、腸内に溜まったガスです。食べ物を消化する時に発生じたガスや口から食べ物などと一緒に飲み込んだ空気が原因です。
腸の中で小さい気泡になったガスが溜まって「ガスだまり」を作ってしまうとお腹が張るように感じます。
このガスだまりの周りを取り囲んでガスの膜を薄くして潰しやすくするのが「消泡剤(ジメチルポリシロキサン)」の役目です。ガスだまりが潰れることで、ガスが体内に吸収されたり、腸から体外に出やすくなります。
成分2. 多すぎるガスの発生を抑える「消化酵素(セルラーゼAP3)」
お通じに良いと思って食物繊維を食べれば食べるほど、お腹が張ってしまうという経験はありませんか?食物繊維の中でも、特に水に溶けにくい不溶性食物繊維。この不溶性食物繊維を摂り過ぎると、腸内の悪玉菌の餌になってガスを異常発生させてしまいます。
ガスピタンに含まれている消化酵素(セルラーゼAP3)は、余計な食物繊維を分解して異常なガスの発生を抑えてくれます。
成分3. お腹のガス溜まりを防ぐ3つの乳酸菌(ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌)
お腹の中には腸に良い作用をする善玉菌、悪い作用をする悪玉菌、どちらか優勢な方の味方をする日和見(ひよりみ)菌の3種類が住んでいて、適切なバランスを保っています。
お腹にガスが溜まっている時は、悪玉菌が増えている状態です。ガスピタンに含まれている乳酸菌(ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌)は、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれます。
腸内環境が整うと、ガスが発生しにくくなりお腹の張りが軽減してきます。
ちなみに、乳酸菌とビフィズス菌の違いについてもっと詳しく知りたいという方は、次の記事がおすすめです。
お腹のハリを根本的に変えていきたい方はぜひ読んでみると良いでしょう。
ガスピタンはどんな時におすすめ?
お腹の張り、ガス溜まりに効果的な薬はいくつかありますが、ガスピタンは数ある市販薬の中でも、特に次のような症状が気になる人におすすめです。
- お腹の張りが気になる
- ガスがお腹に溜まってしまう
- 軟便
- 便秘がち
普通の錠剤はお水で飲まないと飲み込むことが難しく、胃の中で溶けてくれませんが、ガスピタンは水を飲まなくても唾液で溶かしたり、噛み砕いて飲むことができるので、次のようなシーンで活躍してくれることでしょう。
- 外出先、デート中などでさっと飲みたい時
- 仕事が忙しくて時間が取れない時
- お腹の調子が乱れやすい旅先で
ガスピタンで効かない時はあるの?
ガスピタンはお腹のガスによる張りや便秘、軟便などを改善してくれる作用がある薬ですが、人によってはガスピタンが効かないと悩む場合もあるかもしれません。特に、次のような場合には注意しましょう。
服用して2週間以上経過しても効果がなければ医師に相談
ガスピタンはお腹の張りやガスに効果的な薬ですが、原因や症状の程度によっては効果が得られない場合もあります。効かないのにも関わらず自己判断でむやみに服用していると、病気の早期発見が遅れてしまう可能性もあります。
目安としてはお薬の説明書にもあるように、服用を始めて2週間以上経過しても効果が感じられないという場合には、何らかの病気やガス以外の問題が考えられることもあるので早めに医師に相談しましょう。
生理前のお腹の張りには効果がある?
女性が特にお腹の張りが気になりやすいのが、生理前の時期です。特に排卵日から生理までの2週間程度は女性ホルモンの影響でお腹が張りやすくなるのです。女性ホルモンの黄体(おうたい)ホルモンが体の水分を溜め込み、腸の動きを鈍くするため便秘がちになったり、ガスが溜まりやすくなります。
ガスピタンの服用により、ガスが抑えられればお腹の張りの症状が軽くなる場合もありますが、ホルモンの働きを完全にコントロールできる訳ではありません。他にもお腹を温める、お腹のマッサージをする、食物繊維は控えめにするなどの工夫も必要です。
また、精神的なストレスが影響している場合も多いので、あまりに症状が強い場合には婦人科に相談してみましょう。
ガスピタンの副作用は?
ガスピタンは強い薬ではありませんが、薬である以上は副作用はあります。どんな副作用があるか、先に知っておくと万が一症状が出た時に早く気がつけるので頭に入れておくと良いでしょう。
もし症状が現れた時には服用を中止して、医師または薬剤師に相談するようにしてください。
根本的に予防したいなら腸内環境を整えよう
ガスが溜まったらガスピタンを飲む、ということを繰り返していても根本的な解決にはなりません。症状が落ち着いたら、予防のために腸内環境を整えることを考えてみましょう。
腸内環境を整えるためには、原因になっているガスや便秘を解消すると共に、腸内細菌のバランスを整えてあげることが必要です。そのために活用すると良いのが整腸剤とサプリメントです。
整腸剤やサプリメントで腸内環境を改善
ガスが溜まっているということはガスを発生する悪玉菌がはびこっている証拠。悪玉菌を減らして、善玉菌が優位な状態を作ってあげましょう。すると次第にガスも溜まりにくくなってきます。
そこで、いかに善玉菌を増やすかということが重要になります。簡単なのは、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を、外から取り入れる方法です。悪玉菌が優位になってしまった状態から抜け出すには、整腸剤やサプリメントが手軽で続けやすいのでおすすめです。
整腸剤とサプリメントはどっちがいい?
ガスピタンも整腸剤の1種ですが、整腸剤には乳酸菌、ビフィズス菌だけでなく消化剤なども含まれていることがあります。
種類によって異なるので、必要な成分が入っている整腸剤を選ぶようにしましょう。また、整腸剤の場合は薬であるため、例えば胃もたれや便秘など気になる症状がある時にはおすすめです。
一方で、健康維持や予防のために腸内細菌のバランスを整えたいというなら、栄養補給のような感覚で気軽に続けやすいサプリメントが良いでしょう。
「サプリメントって効かなそう・・」と思うかもしれませんが、中には腸内環境を整える機能が認められているサプリメントもあります。
次の記事は、機能性表示食品であり、「腸内環境を良好にし、腸の調子を整える機能」が認められているビヒダスBB536を紹介しています。
根本的に腸内環境の改善に取り組みたい方は、ぜひ読んでみてください。
おすすめのお腹の張り解消法
お腹の張りには体質的な問題もありますが、生活に大きな原因が隠れていることも少なくありません。ガスピタンを飲んで対処するのはもちろん効果的ではありますが、長い目で見ると根本的な解決にはなりません。
次のような工夫を生活において取り入れていくように心がけましょう。
生活習慣の改善
生活が不規則で夕飯の時間が遅い、食事の時間が毎日バラバラになりがちという方はいませんか?食事の時間が遅いと食事が未消化のまま睡眠を取ることになり、胃腸に負担をかけてしまい便秘にも関係します。
少なくとも寝る3時間前には食事を済ませるか、夕飯は軽めにするなど食生活を改善すれば、お腹の軽さを感じられることでしょう。
よく噛んで食べる
忙しい現代人は、ついつい早食いをしてよく噛まずに飲み込んでしまう人が多いようですが、実は早食いもガスを溜まりやすくする要因の一つです。早く食べることで同時に空気を飲み込んでしまい、腸の中に溜め込みやすくなってしまうためです。
一口食べたら最低でも30回は噛むのが目安です。お腹の張りが気になる人はゆっくり噛んで食べる癖を身につけるようにしましょう。
食物繊維の摂りすぎに注意
腸内環境を整えるため、便秘を解消するために食物繊維をたっぷり摂っている、という方はいませんか?でも、食物繊維を食べているのにも関わらず便秘が解消しない、お腹が張って苦しい、ガスが溜まるという人は食物繊維の摂りすぎ、もしくは摂り方が正しくないのかもしれません。
食物繊維は大きく二つに分けられ、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維があります。お腹の張りが気になる人は、ごぼうや玄米などに含まれる不溶性食物繊維を控えめにして、海藻やフルーツに含まれる水溶性食物繊維を意識して摂るようにすると良いでしょう。
ストレスを溜めない
ストレスはお腹の張りやガス溜まりに大きな関係があります。ストレスがあると腸の動きをコントロールしている自律神経(副交感神経)の動きが悪くなり、腸の動きが低下してしまいます。
いつもストレスが多くイライラしがちな人は、腸にガスを溜めがちになってしまうのです。ストレスは誰しも感じるものでゼロにはなりませんが、何かストレスを解消する方法を見つけてこまめに発散すること、ストレスの原因から距離を置くことを心がけましょう。
お腹を冷やさない
おしゃれのために普段から薄着である、ついつい冷たい飲み物ばかり飲んでしまう、サラダなどの生野菜を多く食べているという人は、お腹の中が冷えている可能性があります。お腹がが冷えると腸の周りの血管が収縮して血行が悪くなってしまいます。血行が悪くなると腸の働き自体が低下してしまうので要注意です。
お腹を冷やさないようにキャミソールや腹巻などの下着を身につける、温かい飲み物を飲む、食事にはスープや温野菜を取り入れるなどしてお腹を温めることを意識した生活を送りましょう。
この他にも、以下の記事では手軽にできるお腹のガス抜き方法を詳しくまとめています。お腹のガスをすぐになんとかしたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
参照:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!(松生恒夫 著)
まとめ
ガスピタンは腸に溜まったガスによるお腹の張り、軟便や便秘に効果のある市販薬です。特に外出先でお腹の張りで困った時、水無しで飲めるのでとても便利です。
しかし、ガスピタンで効果があるかどうかは、原因や症状の強さにもよって異なります。服用しても改善しない場合には、早めに医師に相談するようにして適切に使用することをお勧めします。また、ガスピタンのような薬に頼るばかりでなく、生活習慣や食事を見直すことも心がけましょう。