授乳中でも整腸剤は飲んでいい?授乳による便秘に効く?
執筆・監修:笹尾(薬剤師)
授乳中は便秘がちになりやすかったり、食事が乱れて下痢や胃もたれが起きることもありますよね。赤ちゃんへの影響が心配で、お薬が飲みにくい中、整腸剤だったら大丈夫なのかな?と思う方も多いかもしれません。
実際、整腸剤は授乳中に飲むことはできるのでしょうか?この記事では、授乳中に整腸剤を飲んでも大丈夫か、授乳中の対処法についてお話します。
目次
授乳中でも整腸剤は飲めるの?
授乳中には赤ちゃんへの影響が気になって、お薬を飲むのには抵抗があるものです。整腸剤は、授乳中でも飲むことができるのでしょうか。
そもそも、授乳中のお薬って大丈夫?
整腸剤について説明する前に、授乳中のお薬の服用について簡単にお話したいと思います。
ほとんどのお薬の成分は、母乳中に移行することが分かっています。でも、ほとんどの場合、その量は非常に少ないのです。だからと言っても、安全とは限りません。
赤ちゃんにとって害があるかどうかは、お薬の種類によります。授乳することも大事なことですから、授乳を避ける必要があるのかどうか、また服用しても良いのかどうか、お薬ごとに確認することが大切です。
整腸剤は授乳中でも飲むことができる
整腸剤は基本的に授乳中でも飲むことのできるお薬です。例えば、次のような症状の時には、整腸剤を飲んで様子をみても良いでしょう。
便秘になったとき
産後の授乳中は、便秘になりやすい期間です。便秘薬の中には授乳中は飲めないタイプもありますが、整腸剤は飲むことができます。
例えば、ビフィズス菌や乳酸菌のような生菌のみでできている整腸剤ならば、もともとお腹の中にすんでいるような菌を取り入れているだけなので、問題が起こりにくいのでおすすめです。
便秘は放置していると、悪化して全身的に影響が出ることもあるため、早めに解消することが大切です。整腸剤を活用して、便秘に対処していくと良いでしょう。
下痢や胃もたれに
産後の授乳中には、慣れない育児や体調変化なども重なって、胃腸の調子が崩れてしまうこともあります。だからといって、下痢止めや、胃薬などを飲むのは抵抗があるという方も多いのではないでしょうか。
整腸剤には、生菌成分だけでなく、胃の調子を整える生薬、ガスを抑えるお薬などが入っているタイプがあります。下痢や胃もたれに対する効果があるタイプを選んで使うと良いでしょう。
ただし、念のため、使用前には授乳中に使えるタイプかどうか、薬剤師または登録販売者ななどによく相談することをおすすめします。
授乳中に便秘になりやすいのはなぜ?
授乳中になると、それまでは特に問題なかった人も便秘がちになることがあります。
授乳中は、赤ちゃんに母乳をあげるため、1日600mlから800mlの水分が母乳として外に出て行き、普段よりも水分不足になりがちです。
また妊娠、出産による、ホルモンバランスの乱れや、赤ちゃんの夜泣きや慣れない育児によるストレスで、便秘になってしまうことが多いのです。
授乳中の便秘改善には整腸剤がいいの?
授乳中の便秘改善にはいくつかのお薬の選択肢があります。整腸剤が果たして良いのかどうかは、便秘の状態によります。
便秘を解消するには、整腸剤よりも便秘薬を使った方が効果は早いでしょう。しかし、授乳中には赤ちゃんへの影響を考えると、便秘薬の場合には避けた方が良い成分があります。刺激性の下剤は母乳を介して赤ちゃんに影響して、下痢を起こしたりする可能性もあるからです。
その点、整腸剤の場合には、効果はゆっくり現れるので即効性は期待できませんが、比較的安全に使うことができます。なるべく安全なお薬で改善したいなら、整腸剤がおすすめです。
授乳中に飲める整腸剤はどれ?
授乳中に飲むことのできる整腸剤って、具体的にどれなのでしょうか?市販薬と処方薬にわけて紹介したいと思います。
市販の整腸剤はどれなら大丈夫?
市販の整腸剤はいろいろなタイプがあります。基本的には授乳中に飲むことができますが、製品ごとに注意があるため、飲む前に一応確認しておくと安心です。
次にあげる整腸剤は授乳中でも大丈夫なタイプなので、参考にしてください。
- 新ビオフェルミンS(ビオフェルミン製薬)
- ビオフェルミンVC(ビオフェルミン製薬)
- ザ・ガードコーワ整腸錠α3+ (興和)
- 新ラクトーンA(アサヒフードアンドヘルスケア)
市販の整腸剤については、次の記事も参考にしてください。ただし、自分で選んだ場合には、必ず服用前に授乳中でも大丈夫かよく確認することを忘れないでください。
病院で処方してもらうと安心
「市販薬はどれを選んだら大丈夫なのかわからず、やっぱり心配・・」という方は、病院でお薬を出してもらうと安心です。整腸剤はもちろんのこと、授乳中の便秘に使える便秘薬もあるので、かかりつけのお医者さんに相談してみると良いでしょう。
もしも便秘薬を使うなら?
整腸剤で便秘を治そうと思っても、なかなか効果が出なくて辛くなることもあると思います。この場合、授乳中であっても飲めるタイプの便秘薬はあるので、整腸剤にこだわりすぎる必要はありません。
例えば、酸化マグネシウムを主成分とする便秘薬は、妊婦、授乳婦にも使われることがある、比較的安全なタイプのお薬です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
どうしても整腸剤などのお薬を飲むことが不安なら
整腸剤や便秘薬で授乳中に飲めるタイプのお薬であっても、なるべく余計なお薬は飲みたくないと思う方もいることでしょう。その場合には、次のような工夫を取り入れることで、便秘を改善していくと良いでしょう。
食事から乳酸菌を摂取する
乳酸菌は整腸剤から摂らなくても、普段の食事から取り入れることも可能です。代表的な食品としてヨーグルト以外にも、発酵食品の漬物、キムチ、生味噌などもおすすめです。効果を実感するには、毎日続けて、コツコツと取り入れることです。
水分を十分に摂取する
授乳中は母乳をあげることで、水分が不足しがちになります。普通よりも、多くの水分を摂取しなければ、便まで十分な水分が行き渡りません。
だいたい母乳に1日あたり600から800mlの水分が使われるとすると、だいたい3Lは水分を摂取した方が良いことになります。水分は一度に飲むよりも、こまめに摂取することも大切です。
参照:酸化マグネシウムE便秘薬