お腹にガスが溜まると腹痛が!根本的な対処法とガスの抜き方
腹痛が起きたり、お腹が苦しい時、「お腹にガスが溜まっているかも..」と感じることはありませんか?
腹痛の原因にはさまざまな原因や病気が考えられますが、お腹に溜まったガスも腹痛を引き起こす原因の一つです。
お腹にガスが溜まる原因は何なのでしょう?なぜ腹痛が起きるのでしょうか?原因と対処法を紹介します。
目次
腹痛を感じる時に考えられる原因は?
腹痛が起きるのはガスだけが原因とは限りません。まず、どの辺りが痛むのかによって原因を探ってみましょう。
腹痛が起こるのは、痛い部位によって次のような原因が挙げられます。ただし、ここで紹介するのはあくまでも一部の例に過ぎません。間違った自己判断をしないように、気になる場合はお医者さんに相談するようにしてください。
部位別の原因
腹痛がお腹のどの辺りに起きているかによって、腹痛の原因は異なります。
上腹部
みぞおちのあたりが痛む場合には、胃、十二指腸、胆嚢などの消化器官の痛みが原因に考えられます。特に胃痛がよく起こりやすい上腹部の腹痛です。
下腹部
おへその周りに痛みがある場合は、腸の痛みである場合が多く、大腸、小腸などに問題があることが考えられます。
特に、左下腹部の場合には大腸の痛みの可能性があります。
ただし、他にも泌尿器系や婦人科系の痛みということもあり、自己判断は危険です。どの部位が痛んでいるのか分からない場合には、必ず医師の診断を受けて判断するようにしましょう。
参考:大幸薬品
腹痛を起こす消化器疾患
腹痛は、一時的な場合もあれば慢性的に起こる場合もあります。
例えば、お腹が冷えただけでも一時的に腹痛は起こりますが、病気が関係している場合もあります。自己判断は避け、気になる症状があるなら病院の受診も検討するようにしましょう。
急性の場合 | 感染性腸炎、虫垂炎、腸閉塞、消化性潰瘍 など |
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慢性の場合 | 過敏性腸症候群 など |
さらに、疾患と呼べる段階にはなくても、慢性的にガスが溜まりやすい場合や便秘がある場合は、腹痛に悩まされることがあります。
次からは、「ガス」が原因の腹痛について、詳しく解説していきます。
腹痛の原因「ガス」が溜まる理由
腸の運動が低下した場合には、腸内にガスが溜まりやすくなり、腹痛が起こる場合があります。
こうした、便秘とまではいかなくても、腸の働きが弱り排便の力が低下している状態のことを「停滞腸」と呼ばれています。
停滞腸になっている人は、ガスが原因で腹痛が起こりやすいので要注意です。
どうしてガスが溜まってしまうの!?
ガスが溜まる原因は大きく分けると2つあります。お腹に入るガス(空気)が多すぎる場合と、排出されるガスが少ない場合です。
お腹に入るガス(空気)が多すぎるのは、以下のようなことが理由に挙げられます。
- 食事の時によく噛まない
よく噛まない人は食べ物と一緒に空気を吸い込む傾向があります。 - ストレスが原因で空気を飲み込む癖がある
緊張していると、唾を飲み込みますよね。その時に空気も吸い込みます。
排出されるガスが少なくなる理由には、以下のようなことも理由に挙げられます。
- 便やガスを排出する腸のぜん動運動が弱くなっている
ぜん動運動とは、腸が弁を排出しようとする動きです。腸内環境が悪いと、この働きが弱くなり、ガスを排出する働きも弱くなってしまうのです。 - 長時間座ることが多い
デスクワークをされる方などは、どうしても長時間座りっぱなしになってしまいます。これが腸を圧迫し、腸の働きを弱めてしまいます。 - おならを我慢することが多い
仕事や外出中など、おならを我慢してしまいがちですが、これが腸にとって負担となる原因にもなります。 - 睡眠不足
仕事や育児で忙しく、寝る時間が少なくなってしまう時はありますよね。睡眠時間が少なくなると、どうしても自律神経のバランスが狂ってしまい、腸の働きも低下してしまいます。 - 炭酸飲料やビールの飲み過ぎ
イベントや飲み会などが続くと、どうしても多くなってしまうのが、ビールなどを飲むことが多くなってしまいます。こうした飲み物は、腸の中で発酵がうまくいかず、ガスが溜まりやすくなってしまいます。 - 暴飲暴食
食べ過ぎや飲み過ぎは、説明するまでもなく腸に負担を与える原因となります。 - ガスを発生しやすい食品を摂りすぎ
芋類や肉類、フルーツ、豆類、乳製品などは消化されにくくガスを発生しやすいので食べ過ぎには要注意です。
過敏性腸症候群の可能性もある
お腹にガスが溜まる症状に悩まされる場合には、過敏性腸症候群という場合もあります。
過敏性腸症候群は慢性的に腹部膨満感や腹痛に悩まされる病気で、ストレスが大きく関係していることがあります。
便秘や下痢を伴い、排便をして改善するような場合は過敏性腸症候群が疑われます。気になる症状があれば病院で相談するようにしてください。
過敏性腸症候群について詳しく知りたい方は、以下の記事も参照ください。
参考:お腹の張りを取れば腸は年を取らない (松生恒夫著)
参考:タケダ健康サイト
お腹のガス、正体は..?
ガスが溜まるといっても、そもそもガスとはどんな物質のことを言っているのでしょうか?
「ガス」と聞くと、ちょっと危険な印象もありますよね。ガスの正体と区別の仕方を紹介します。自分がどちらのガスなのか、チェックしてみると良いでしょう。
ガスには2種類ある
ガスには、腸内で発生するガスと、口から飲み込まれるガスの二種類があります。
腸内のガス
腸内のガスとは、腸内細菌が発生させるガスのことです。主な成分は、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、メタンガスなどです。
特に原因になりやすいのは、消化しきれなかった食物繊維や肉などのタンパク質です。人間が消化液で消化しきれなかった食べカスは、腸内で細菌が分解し、その時にガスを発生させます。
口から飲み込まれるガス
口から飲み込まれるガスは、空気や胃液が、膵液(すいえき:すい臓で作られる消化液)により中和される時に発生します。
食べた後にゲップが出ることがあると思います。ゲップは、胃腸で消化されたガスが逆流して出てきたものなのです。
ガスが溜まるのは正常?異常?
お腹に溜まること自体は決して異常ではありません。普通、ヒトは空気を飲み込んだり、消化することによって、お腹の中にガスがあります。
1日に出るガスの量は500ml〜2000mlと幅があり、そのうちの65%から70%が、飲み込んだ空気です。残りの30%程度が食べ物の消化と腸内細菌によるガスです。
ガスで問題になるのは、お腹の張りと匂いです。あまりにガスがたまりすぎて腸が膨れてくると、腸の周りの臓器まで圧迫して、痛みを感じるようになります。
これがガスによる腹痛の原因です。また、ガスの中身に腸内細菌が発生する匂い物質が多い時に、においの強いガス(おなら)が出るようになってしまいます。
腸の状態はおならのにおいで分かる
腸の中には、腸内細菌として良い働きをする善玉菌と悪い働きをする悪玉菌がいます。善玉菌が多ければ、匂いの無いおならが出るのであまり気になりません。
しかし、おならが臭いのなら、腸の中で悪玉菌が増えている証拠です。
悪玉菌が増えると、腸の中を腐敗させ、有害物質やアンモニア、インドール、硫化水素、スカトールといった臭いガスを発生させます。
悪玉菌が増えると、発生した悪いガスのせいで腸の動きが鈍くなります。その結果、便秘にもなりやすくなります。すると、ますますお腹が張って痛くなってしまいます。
必要であれば薬を服用する
ガス溜まりによる腹痛には、薬で対処する方法があります。薬は、市販でも購入することができます。
例えば、ガスが溜まっている場合には、「ガスピタン(小林製薬)」「ラッパ整腸薬BF(大幸製薬)」などの薬を使って対処することが可能です。
ただし、腹痛に対しては、薬の説明書において効果が認められていません。ですから、改善が期待できない可能性があります。
もし、お腹に痛みがある場合には、他の方法で治療することをおすすめします。また、自己判断で治療法を選ぶのではなく、出来る限り医師の診断に従って薬を服用する方が安心です。
ガスを減らすには、腸内環境を改善しよう
お腹のガスを根本的に減らすには、腸内環境を整えることが必要です。溜まったガスを抜くだけでは、根本的な解決にはなりません。悪いガスを増やさないためにも、悪いガスが発生する悪玉菌を減らしていくことが大切です。どのような対処をすれば悪玉菌を減らせるのか紹介します。
食生活を見直す
ガスが溜まる原因は、食生活が関わっていることがあります。ガスを発生しやすいような食品を控えて、バランスよく食べるようにすることが大切です。
特に、腸に良いからと食物繊維を食べ過ぎると、余計にガスが溜まりやすくなってしまう場合もあるので気をつけましょう。
便秘を解消する
便秘で便が腸に溜まっていると、異常発酵してガスが発生しやすくなります。便秘のせいでガスが溜まっている場合には、便秘を解決することが先決です。便秘薬で対処するなど、自分の状態に合った方法で便秘を解消させましょう。
なお、詳しい便秘解消法については次の記事で幅広く紹介しています。気になる方は読んで自分にあった便秘解消法を見つけてください。
整腸剤やサプリメントで善玉菌を増やす
ガスが発生するのは、増えすぎた悪玉菌が原因という場合が多いです。便秘の場合も、悪さをしているのは悪玉菌と考えられます。
そのため、善玉菌を増やすことを日頃から意識するようにしましょう。善玉菌を増やすには、食事の中にヨーグルトや味噌などの発酵食品を取り入れる。水溶性食物繊維を意識的に摂る。オリゴ糖を取り入れるなどの方法があります。
手軽に善玉菌を増やしたいという方は、乳酸菌やビフィズス菌をそのまま摂取することができる、整腸剤やサプリメントを活用するのがおすすめです。
乳酸菌とビフィズス菌は、どちらも腸の中で善玉菌として働く代表的な存在です。お腹の健康を維持するためには、とても重要です。
乳酸菌とビフィズス菌の特徴や、整腸作用については次の記事でも詳しく紹介しています。ガスで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
腹痛の原因「ガス」を減らすには
お腹のガスをすぐにでもなんとかしたい方は、おならを出す「ガス抜きの方法」を実践するのもおすすめです。ここでは、手軽なガス抜きや、ガスを減らすテクニックをいくつか紹介しておきます。
また、以下の記事では、すぐに実践できるガス抜きの具体的な方法を、詳しく説明しています。「今すぐガスを抜きたい」という方は、参照してみてください。
効果的なガスの抜き方
どうしても溜まってしまうガスを抜くには、マッサージが効果的です。
まずは、お腹を温めることを特に意識しましょう。お風呂に長めに浸かり、お腹や腰回りを擦ってみて下さい。ポンポンと叩くのも良いでしょう。
お風呂に長く浸かれない方は、カイロ等で温めて下さいね。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まると空気を飲み込んだり、腸の運動が悪くなりガスを貯めやすくなります。
ストレスを溜め込まないで、息抜きを適度にしてリラックスする時間を作るようにしましょう。
お腹を冷やさない服装を心がける
お腹が冷えると腸の動きが悪くなりガス溜まりや腹痛の原因になります。
日頃から、冷えない服装をすることが大切です。女性であればワンピースやTシャツなどを着る場合には、キャミソールや腹巻などの下着を身に付けてお腹を冷やさないように心がけましょう。
また、お腹の辺りを締め付けすぎる服装も要注意です。きついパンツやガードルなどで下腹部を締め付けすぎないよう気をつけましょう。
お腹を温める
お腹が張っていて苦しい時に自宅で対処できる方法として、半身浴があります。
半身浴の方法はいくつかありますが、お腹の張りを改善するには次の方法がおすすめです。
- 38度から39度の少しぬるめのお湯をはる
- みぞおちまでお湯に浸かる
- 15分から20分程度を目安として、のぼせないようにじっくりと半身浴する
この方法は効果的にお腹を温める方法で、簡単にすぐに取り入れることができます。
リラックス効果もあるため、副交感神経が高まり、腸の動きが良くなるのでガスを排出しやすくなります。
ただし、腹痛が強い場合には入浴が適さない場合もあります。自分の体調を見ながら十分に注意して行うようにしてください。
参考:お腹の張りを取れば腸は年を取らない (松生恒夫著)
腸を活性化させる食べ物を食べる
腸の健康を維持するには、果物が役立ちます。果物には、便秘対策にもなる食物繊維が含まれています。
食物繊維のバランスは、不溶性食物繊維:水溶性食物繊維が2:1になるように摂取するのが効果的とされています。
このバランスを維持するには、果物を取り入れるのが簡単でおすすめです。特にバナナ、キウイは便秘がちな人にはおすすめのフルーツです。
以上のような、腸に良い習慣を取り入れ、日頃から腸の健康を維持することが、ガスだまりや腹痛などの不調を防ぐことに繋がります。
さいごに
腹痛の原因は様々ですが、身近に起こりやすいのが、ガスによるものです。ガスが発生するのは食事や生活習慣、ストレスなどさまざまな理由が考えられます。
原因が何か分からないことも多いかもしれませんが、ガスが溜まっているということは、腸内環境が悪化しているという証拠でもあります。腸内環境を整え、ガスが発生しにくい状態を減らすことで、腹痛などの辛い症状を防ぐことを心がけましょう。