腸の「善玉菌」を手っ取り早く増やす方法は?


最近、TV番組やインターネット、書籍などでよく目にする「善玉菌」。

私たちの健康に欠かせないということは、きっと多くの人がご存知でしょう。

でも、もしかすると、「乳酸飲料やヨーグルトを摂ると善玉菌が増えて、お腹の調子を整える」「便秘に効く」くらいのことしか知らない...という人もいらっしゃるかもしれませんね。

そんなあなたのために、善玉菌の効果とその増やし方をご紹介しましょう。

乳酸菌

善玉菌の効果と増やし方

善玉菌は、私たちの腸内に住む腸内細菌です。

健康な人の腸内細菌は、このような比率になっています。

腸内環境の理想的なバランスは2:1:7

  • 善玉菌(良い働きをする菌)・・・20%
  • 悪玉菌(悪い働きをする菌)・・・10%
  • 日和見(ひよりみ)(優勢な方に加勢する菌)・・・70%
善玉菌はわずか20%しかいないのですね。

一番多いのは日和見菌ですが、この日和見菌は優勢な方に加勢するという特徴を持っていて、善玉菌が多い腸では善玉菌のように働き、悪玉菌の多い腸では悪玉菌のように働きます。ですから、わずか20%とは言え、善玉菌が悪玉菌より優勢な腸だと日和見菌のチカラも得ることができるのです。

善玉菌の代表格と言えば、乳酸菌。よく耳にするビフィズス菌も大きい意味では乳酸菌の一つなんです。

乳酸菌の働き

乳酸菌の働きは、多岐に渡っています。

  • 腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌を排除する
  • 腸を刺激し、排便運動をスムーズにする
  • 腸粘膜を保護する
  • 食物繊維や鉄分を分解する
  • 免疫細胞(体を守る細胞)に働きかけて活発にする
  • 腸に入ってきた病原菌を排除する
  • アレルギー緩和に繋がる物質を産生する
  • ビタミン類B類・C・Kを産生する
  • ストレス緩和物質を産生する
  • コレステロールを吸着して排除する
  • 肥満予防に繋がる物質を産生する

善玉菌の実際の効果を実感!

私たちの健康にとって、さまざまな場面で活躍してくれる善玉菌。その効果をいくつか見てみましょう。

腸内環境が改善する!

健康な人に乳酸桿(かん)菌を1日100億個以上、5週間摂取してもらいました。

乳酸菌の腸内有害物質減少効果

参照:全国発酵乳乳酸菌飲料協会 乳酸菌の腸内有害物質減少効果

※インディカンとは悪玉菌が作る有害物質インドールが肝臓で代謝されたもの、P-クレゾールとは悪玉菌が作る発がん促進物質です。
その結果、摂取していない時期(非飲用期)に比べて、摂取している時期(飲用期)は、インディカンとP-クレゾールが減少していました。
つまり、善玉菌である乳酸菌の摂取により、悪玉が作り出す有害物質や発がん性物質が減少したのです。

便通が改善する!

便秘または下痢の人に、乳酸桿(かん)菌を1日300億個摂取してもらいました。

乳酸菌の便通改善効果

参照:全国発酵乳乳酸菌飲料協会 乳酸菌の便通改善効果

その結果、便秘も下痢も明らかな改善が見られました。
つまり、善玉菌である乳酸菌の摂取により、便秘も下痢も改善したのです。

アレルギーが緩和する!

花粉症の患者さん44人に、ビフィズス菌を1日1000億個またはプラセボ(見た目は似ているが効果のないもの)を、スギ花粉が飛び始める約1カ月前から13週間摂取してもらいました。

乳酸菌の花粉症症状緩和効果

参照:全国発酵乳乳酸菌飲料協会 乳酸菌の花粉症症状緩和効果

その結果、ビフィズス菌を摂取した患者さんは、花粉症の自覚症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ、目の症状、ノドの症状)が緩和されました。

つまり、善玉菌である乳酸菌の摂取により、花粉症の症状が和(やわ)らいだのです。

このように、善玉菌は私たちの健康にとって、さまざまな良い効果をもたらしてくれるのです。

善玉菌を効率よく増やす!

もし、私たちが生きた乳酸菌を摂取して、そのまま胃から腸へと到達してくれて、腸に住み着いてくれれば善玉菌として働いてくれます。

でも、事はそんなに簡単ではありません。
多くの乳酸菌は、生きたまま腸に到着できないのです。その前に通過する胃がネックになるんです。

胃は、胃酸というpH2の強酸を分泌します。ほとんどの乳酸菌は、この胃酸に負けて死んでしまうのです。また、仮に生きたまま到達しても、住み着く乳酸菌はほんの一握り。

ですから、生きたまま腸に到着する確率の高い菌、腸に住み着く確率の高い菌を選ぶことが、善玉菌を効率よく増やす第一歩なのです。

でも、乳酸菌が死んだからと言って、全く役に立たないわけではありません。死んだ乳酸菌は善玉菌のえさになって善玉菌を増やしてくれるのです。

また、食物繊維やオリゴ糖も善玉菌のえさになりますから、善玉菌を効率よく増やしてくれますよ。

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生きたまま到達し、腸に住み着く確率の高い乳酸菌は?

乳酸菌には、動物由来の動物性乳酸菌と、植物由来の植物性乳酸菌があります。

ヨーグルトや乳酸菌飲料などに含まれる乳酸菌が動物性乳酸菌、味噌・醤油・漬物などの発酵食品に含まれる乳酸菌が植物性乳酸菌です。

身近な乳酸菌

参照:全国発酵乳乳酸菌飲料協会 身近な乳酸菌

植物性乳酸菌は、栄養が少なく塩分の高い、菌にとって苛酷ともいえる環境下で生きることができるため、動物性乳酸菌よりも強いでしょう。また、日本人には、昔から食べられてきた植物性乳酸菌の方が合っていて、腸に住み着きやすいという説もあるんです。

でも最近では、加工技術が進歩して、腸に到着しやすい動物性乳酸菌も販売されていますね。

おすすめの乳酸菌

  • 京漬物のすぐきから発見された植物性乳酸菌ラブレ菌
  • カスピ海ヨーグルトから分離された動物性乳酸菌クレモリス菌
  • 元々人の腸に住んでいる人由来のガセリ菌

とにかく自分の腸に合う乳酸菌と出会うことが、善玉菌を効率よく増やす第二歩目ともいえるのです。

どの乳酸菌が自分の腸に合うかは、実際に試してみないと分かりませんよね。しかも、善玉菌がしっかり働くことのできる腸内環境が整っていないと、十分な効果を得られないでしょう。ですから、少なくとも1ヵ月は試してみて判断するのが良いでしょうね

でも、1つの菌を1ヵ月ずつ試していたら、一体いつになったら出会えることでしょう。そんな時は、サプリがおススメですよ。サプリにはたくさんの種類の菌が含まれていますし、胃酸から守るためにあらかじめカプセルで包まれているんです。いつでもどこでも飲めるから簡単なのもいいですよね。