食物アレルギーには乳酸菌が効果的?


国民の3人に1人が何らかのアレルギーだと言われている現代。アレルギーを持った人は、他のアレルギーも併せ持っていることが多く、生活にもかなりの支障があることでしょう。

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アレルギーは、大人よりも子どもの方が多く、大人のアレルギーもほとんどは子どもの時に発症します。

成長とともに発症しやすいアレルギーが変化する様子を図にしたものを「アレルギーマーチ」と言います。

図のように、乳児期に食物アレルギーを発症し、間もなくアトピー性皮膚炎、少し成長してぜん息、アレルギー性鼻炎などが出てくるというのがよくあるパターンです。

アレルギーマーチ

参照:環境再生保全機構 アレルギーマーチ

食物アレルギーを何とかしたい!対策は?

食物アレルギーは、ここ15~20年で急速に増えているんです。特に1歳未満の赤ちゃんに発症しやすく、多くは成長するにつれてアレルギー症状が出なくなりますが、小児から成人まで幅広い年齢層で見られます。

原因となる食品は、卵が最も多く、乳製品、小麦と続きます。

参照:食物アレルギーねっと 食物アレルギーの原因

ただし、20歳以上の成人になると、1位が甲殻類、2位小麦、3位果実と、原因となる食品に変化が見られるんです。

食物アレルギーの症状とは?

食物アレルギーの症状には、色々な種類があります。

  • 皮膚のかゆみ
  • じんましん
  • 発赤疹・湿疹
  • 眼の充血
  • 眼のかゆみ
  • 涙目
  • 急激な腹痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢
  • 口の中やノドのかゆみ・はれ
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • せき
  • ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音
  • 呼吸困難
  • ショック症状(頻脈・血圧低下・活動性低下・意識障害など)

食物アレルギーには4つのタイプがある!

食物アレルギーは、次の4タイプに分けられます。

  1. 新生児・乳児消化管アレルギー
  2. 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
  3. 即時型
  4. 特殊型

1.新生児・乳児消化管アレルギー

牛乳(乳児用調製粉乳)によって引き起こされることが多いアレルギーで、新生児・乳児に嘔吐や血便、下痢などの消化器症状を引き起こします。

2.食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

乳児アトピー性皮膚炎で見られる食物アレルギー。湿疹の悪化に関係している場合や、原因食物の摂取によって即時型症状を起こすこともあります。

3.即時型

乳児~成人に発症しやすく、原因食物の摂取後、通常2時間以内に出現するアレルギーです。

4.特殊型

  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシー:
    小学生~成人での発症が多く、原因食物を摂取した後に運動を行うことでアナフィラキシーを起こすことがあります。
  • 口腔アレルギー症候群:
    幼児~成人で、唇や口の中の粘膜に果物や野菜が触れることが引き金となってじんましんが発症します。摂取後5分以内に起こることが多いと言われています。花粉症と合併することが多いアレルギーでもあります。
※アナフィラキシーとは、多臓器にわたって症状が出ること。
頻脈や虚脱状態(ぐったり)、意識障害、血圧低下などが現れて命の危険がある場合は、アナフィラキシーショックと言います。

食物アレルギーをさらに詳しく

これらのほかに、メカニズムによって「即時型」と「非即時型(遅発型、遅延型)」に区別されることもあります。

  • 即時型アレルギー
    原因食物を摂取した直後から2時間以内ぐらいに、じんましん・湿疹・下痢・せき・ゼーゼーなどのアレルギー症状が見られる
  • 非即時型アレルギー
    原因食物を摂取してから数時間後に、主に湿疹・かゆみなどの皮膚症状が見られる
これまで、アレルギーのほとんどが、免疫異常が主な原因と考えられてきました。でも、皮膚からの食物吸収も食物アレルギーの原因という説があるんです。

ですから、タイプごとの治療や皮膚のケアも必要でしょう。例えば、小麦の食物アレルギーの人は、小麦たんぱくを含んだ石鹸を使わない方が良いかもしれませんね。

麦

食物アレルギーの治療法は?

食物アレルギーの日常の治療のポイントは正しい診断に基づいて必要最小限度の食物除去を行う ということに尽きます。

さらにアレルゲンがどのような食品に入っているのかも十分に指導しなく てはなりません。

大切なことは食物除去を指導する場合には栄養学的見地と食事の質の面から必ず除去した食物に代わり得る代用食品を保護者に指導することです。

参照:厚生労働省 食物アレルギーとは

つまり、食物アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を食べないようにすることが、最大の治療なのです、そして、その分不足した栄養分は、他の食品で摂るようにしましょう。

食物アレルギーに乳酸菌が効果あり!

カルピス株式会社 発酵応用研究所と、NPO法人アレルギー支援ネットワークの共同研究をご紹介しましょう。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併した乳幼児(生後10か月~3歳未満)59名に、「L-92乳酸菌」の粉末食品を6ヶ月間摂取してもらいました。

  • 1日当たり「L-92乳酸菌」を20mg摂取するグループ(ピンク色)
  • 「L-92乳酸菌」を20mg摂取しないグループ(青色)

参照:カルピス株式会社 乳酸菌のアレルギー改善効果

結果は、「L-92乳酸菌」の摂取により、アトピー性皮膚炎の症状改善傾向が見られました(皮膚炎スコアが下がりました)(図1)。

また、「L-92乳酸菌」の摂取により、血液中の総IgEの量と、TARCの値が低下しました(図2、3)。これは、乳酸菌の摂取で、アレルギー症状が緩和されたことを示しているんです。

※IgE・・・抗体の1つで、体をウイルスや異物から守るための物質。アレルギー反応は、このIgEが過剰に作られることで引き起こされてしまうのです。
※TARC・・・血液中にあるケモカインというタンパク質の一種。アレルギーの炎症に関係する物質で、炎症が強い人ほど数値が高く、炎症が弱い人では数値が低くなります。

食物アレルギーのメカニズムは複雑ですし、アナフィラキシーショックのような命の危険もある重大な症状を引き起こすこともありますので、油断はできません。でも、乳酸菌に効果が期待できるなら、試してみても良いかもしれませんよね。

乳製品アレルギーの人は、L-92乳酸菌の含まれた「アレルケア」という商品ならば、アレルゲンフリーですのでおすすめです。

食物アレルギーの悪化を防ぐ物質の発見!

最近、東京大学の研究で、食物アレルギーの原因となる細胞の増殖を抑える物質が発見されました。

食物アレルギーでは、消化管などで増えるマスト細胞からヒスタミンなど炎症を起こす物質が分泌される。このとき、一緒に放出されるがすぐに消える生理活性物質「プロスタグランジンD2(PGD2)」に着目した。

PGD2がマスト細胞の増加を抑え、症状の悪化を防ぐ働きをもつのだという。

参照:バイオの社 PGD2が食物アレルギーの原因細胞の増殖を抑制

1日も早いアレルギーの根治方法の開発が望まれますね。