整腸剤で便秘は改善できる?整腸剤を勧める3つの理由


整腸剤は作用が弱くて、便秘には効果がないと思っている方はいませんか?根本的に便秘を改善したいならば整腸剤がおすすめです。

この記事では整腸剤と便秘薬の違い、整腸剤がおすすめの理由、選び方や飲み方のポイントなどを紹介します。

処方薬

整腸剤って本当に便秘に効くの?整腸剤の働きを理解しよう

整腸剤というと、下痢の時に飲む薬と思っている方もいるかもしれません。ですが、便秘を改善する効果もあります。なぜ整腸剤が便秘に対して効果を発揮するのか理由を解説していきます。

そもそも整腸剤とは?

整腸剤には、乳酸菌や酪酸菌(らくさんきん:乳酸菌と同様に整腸作用の期待できる善玉菌の一種)などに分類される菌が含まれます。名前の通り、腸を整える作用がある薬です。

それぞれの整腸剤ごとに含まれている菌の種類が異なり、錠剤や粉薬タイプなどがあります。市販薬としても買うことができ、昔から下痢や便秘などの腸が不調な時によく使われている薬です。

乳酸菌を含むサプリメントもありますが、一般的には医薬品または医薬部外品に分類されるものを整腸剤と呼んでいます。

善玉菌を増やす効果がある

整腸剤が整腸作用をもたらすのは、腸で善玉菌を増やす効果があるためです。

便秘になると、腸内に悪い働きをする悪玉菌が増えていきます。そして悪玉菌が増えると、発生するガスにより腸の動きが悪くなり、ますます便秘が悪化するという悪循環に陥ってしまいがちです。

そこで、便通を良くする作用のある善玉菌が腸内で増えると、排便しやすくなります。整腸剤は腸内の善玉菌を増やす作用があるので、便秘の改善に役立ちます。

酸を発生して悪玉菌が生きにくい環境を作る

悪玉菌が増えると腸内に有害なガスが増えて、腸の運動が抑えられるため、便秘になりやすくなります。便秘を改善するためには、悪玉菌を抑えることも大切なポイント。

整腸剤に含まれる乳酸菌などの菌は、腸内に届くと、善玉菌を増やしてくれます。また、悪玉菌を減らしてくれる効果もあります。これは、整腸剤に含まれる乳酸菌やビフィズス菌に、悪い菌を抑える作用があるためです。

乳酸菌やビフィズス菌は、食べ物に含まれる糖分や食物繊維をエサとして分解し、「酸」を腸内で発生させます。腸内の酸性度が高くなると、悪玉菌が生きにくい環境となり、善玉菌が多い理想的な腸内環境を作ることができるのです。

理想的な腸内細菌のバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」

腸内細菌は400種類以上、100兆個もの菌が存在するといわれています。

腸内細菌のバランスは 善玉菌2:悪玉菌1:日和見(ひよりみ)菌7 が理想的です。

日和見菌というのは、善玉菌と悪玉菌のどちらにも変わることのできる、どっち付かずの菌のことを呼びます。

腸内環境の理想的なバランスは2:1:7

良い働きをする善玉菌としては、ビフィズス菌と乳酸菌が代表的な存在です。整腸剤には、これらビフィズス菌や乳酸菌が含まれているため、整腸剤を飲むと善玉菌の多い腸内環境を作ってくれます。そして腸内環境が整うことにより、便秘解消につながります。

ちなみに、乳酸菌とビフィズス菌の違い、便秘解消に効果がある理由については、次の記事で詳しく紹介しています。根本的に便秘を解消したいという方はぜひ読んでみてください。

整腸剤の種類は?市販薬と医療用の整腸剤

整腸剤といっても、種類が豊富でどれが良いか迷ってしまうと思います。そこで市販薬から病院で処方される医療用の整腸剤まで、代表的な薬とそれぞれの特徴について紹介していきます。

市販薬

新ビオフェルミンS(ビオフェルミン製薬)


整腸剤の代表的な存在として知られている「新ビオフェルミンS」は、ヒト由来の3つの乳酸菌を含んでいる医薬部外品です。

フェーカリス菌は小腸に住み着いて善玉菌を増やす効果があります。アシドフィルス菌は悪玉菌を抑える効果、さらにビフィズス菌は、大腸に住み着いて善玉菌を増やします。小腸から大腸まで広く働き、便通を改善してくれます。

画像:ビオフェルミン製薬

ザ・ガードコーワ(興和株式会社)


納豆菌を配合しているのが特徴の「ザ・ガードコーワ」は、乳酸菌と納豆菌を含んだ整腸剤であり、医薬品として認められています。

納豆菌は植物性乳酸菌の一つで、胃酸に強く生きたまま腸に届く菌として注目されています。さらに、乳酸菌のビフィズス菌が腸内で働くのを助ける作用があるパントテン酸も配合し、生きたまま腸にまで届く設計が工夫が施されているのが特徴です。

胃の働きを助ける生薬成分にガスを潰す成分を配合しているので、お腹の張りが気になる人にもおすすめです。

画像:興和株式会社

ミヤリサン(ミヤリサン製薬)


酪酸菌(らくさんきん)、宮入菌製剤を含む医薬部外品である整腸剤です。乳酸菌が胃酸に弱いのに対して、酪酸菌は胃酸に強く、活性が弱まりにくいのが特徴です。

参照:ミヤリサン製薬株式会社

ラッパ整腸薬BF(大幸薬品工業)


ラクトミン(フェリカス菌、アシドフィルス菌)と、ビフィズス菌の3つの乳酸菌が含まれていて、お腹の張りを改善するジメチルポリシロキサンを含んでいます。

小腸から大腸にかけて腸内環境を整えると共に、ガスを追い出す作用により腸の動きが活性化して便秘を改善する効果が期待できます。ジメチルポリシロキサンが腸内の滑りも良くするので、便をスルッと出しやすくしてくれます。

参照:大幸薬品株式会社

医療用医薬品

ビオフェルミン(ビオフェルミン製薬)

市販薬でも知られるビオフェルミンシリーズですが、医療用と市販薬とは有効成分が異なります。

医療用ビオフェルミン錠剤には、1錠あたり、ビフィズス菌12mgが含まれています。市販薬のビオフェルミンは、コンク・ビフィズス菌末、コンク・フェーカリス菌、コンク・アシドフィルス菌が各々2mg配合されています。

また粉末タイプについても、ビフィズス菌含有量は医療用ビオフェルミンの方が多くなっています。

参照:ビオフェルミン 添付文書

ミヤBM(ミヤリサン製薬)

ミヤBMは、市販薬のミヤリサンと同じ菌である酪酸菌(宮入菌)を含んでいる医療用医薬品です。

市販薬のミヤリサンでは、1錠あたり10mgの酪酸菌(宮入菌)を配合しています。医療用のミヤBMでは、1錠あたりに20mgの酪酸菌を含んでいます。ただし、最大1日量はいずれも180mgで同じ量になります。

腸内細菌のバランスが乱れたことによる便秘や軟便、下痢などに効果のある薬です。

参照:ミヤBM 添付文書

ラックビー(興和株式会社)

ラックビーは、1錠あたりに10mgビフィズス菌を含んでおり、便秘および下痢に対する効果が確認されています。ただし、ラックビーは医療用のみで販売されているブランドであり、市販薬として買うことはできません。

もし似たような薬を探すのであれば、市販薬である「新ビオフェルミンS」を利用するという方法もあります。

参照:ラックビー 添付文書

市販薬と医療用医薬品の整腸剤は何が違う?

疑問を感じる女性

医療用と市販薬の整腸剤。どちらが良いのか気になりますよね。「一体何が違うの?医療用の方が効果が強い?」などの疑問もあるかもしれません。

実は、整腸剤の使い分けには、厳密なルールがありません。どの菌が強いということではなく、服用してみて自分に合った菌を含む整腸剤を見つけることが大切です。

特別な理由が無い限り、病院で整腸剤だけを長期に処方してもらうのは難しいことがあります。長く飲み続けたいのであれば、市販薬がおすすめです。

また、市販薬の場合には胃薬、生薬、ガスを取り除く薬などが同時に配合されているものもあります。薬局やドラッグストアで、薬剤師や登録販売者に相談して、自分の症状に合った整腸剤を見つけると良いでしょう。

お医者さんはどう使い分けてる?

どんな症状にどの整腸剤が効くのかという使い分けについては、特に明確な根拠が少ないです。お医者さんの判断によって選択されるケースも少なくありません。

しかし、最近の研究では、菌の違いによって腸のどこに棲みつきやすいかという特性が異なることも分かってきています。例えば、ビフィズス菌は小腸下部から大腸にかけて、酪酸菌は大腸において生きやすいという違いがあります。

どの整腸剤を使うべきかという判断は難しいため、お医者さんと相談しながら、症状に見合った治療を受けることをおすすめします。

整腸剤で便秘が解消しないこともある?

便秘になる理由はストレスや腸の病気などもあり、腸内細菌の乱れが理由とは限りません。原因が他にある場合には、整腸剤をいくら服用しても便秘が良くならない可能性があります。

便秘が解消しない場合には、お医者さんに相談することをおすすめします。便秘の原因を調べることも大切です。

便秘薬に頼り過ぎは危険?!

女性_困った

便秘になったときについ頼りたくなる便秘薬。

しかし、便秘薬は副作用などの危険性もあり、安易に使い続けることはおすすめできません。便秘薬はどんな危険があるのか知っておきましょう。

便秘薬は長く飲むと効かなくなる?!

便秘薬の中でも、大腸を刺激して排便を促すタイプの大腸刺激系下剤は、長く使うことで効き目が弱くなるという問題があります。

これは、腸が刺激に慣れてしまうためです。特に市販薬でも良く使われる、アントラキノン系下剤と呼ばれるタイプの便秘薬で、問題になりやすいので要注意です。

また、便秘薬に頼りすぎる「下剤依存症」にも要注意です。下剤を使うとスッキリするため、ついつい頼りがちになったり、「下剤を使わないと排便出来ないのではないか?」と不安になってしまい、依存してしまうこと状態のことをいいます。

大腸メラノーシスで腸の動きが悪くなる

さらに、大腸刺激作用のあるアントラキノン系下剤のセンナ、アロエ、大黄などを長期に服用すると、腸内が黒くなる大腸メラノーシスにも注意が必要。大腸メラノーシスは黒くなるだけでなく、腸の運動が悪くなって、便秘を悪化させる原因にもなることが分かっています。便秘薬の長期服用は、大腸メラノーシスを防ぐためにも、なるべく避けることが大切です。

便秘薬を長期間使用している人は、専門医に相談することをおすすめします。また、便秘薬に頼らないで良いように、腸内環境を改善することを目指しましょう。

便秘薬は飲むのを止めると再び便秘になる?!

大腸刺激系の便秘薬は、大腸を刺激して腸の動きを良くすることで効果を発揮します。

しかし、根本的に腸の機能を治してくれる訳ではないため、飲むのを止めればまた便秘に戻ってしまいがちです。原因を解消しない限り便秘を繰り返してしまいます。

そして再び便秘になれば、便秘薬に頼ってしまい、便秘薬から抜け出せない負のスパイラルにはまってしまうので要注意です。

このような悪循環を断ち切るためにも、日頃から腸内環境を整えていくことが大切です。

参照:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!(松生恒夫 著)

整腸剤を飲む3つのメリットとは?

サプリメント

便秘薬をなるべく減らし、自然なお通じを目指すには整腸剤を活用するのがおすすめです。

便秘薬と違う整腸剤のメリットは何なのでしょう?効果的な飲み方についても説明します。

長く飲んで根本的に腸内環境を改善できる

整腸剤の場合、便秘薬と違って長期飲むことにより効き目が弱まるという心配はいりません。

また、整腸剤は便秘薬のように依存したり、飲まないと出せないという悪循環を気にすることもなく安心して飲むことができます。

整腸剤によって腸内細菌のバランスが整えば、自然なお通じが来るようになってきます。

便秘薬が無いと排便できないという人は、腸内細菌のバランスを整えるために整腸剤を併用するのも良いでしょう。便秘薬だけで治療するよりも、整腸剤を一緒に飲むことでお通じが良くなる可能性があります。

安全性が高い

整腸剤は作用が強く無い反面、副作用も少ない薬です。昔から良く使われていて、使用経験も長い歴史のある薬なので、安全なタイプといえます。

種類によっては赤ちゃんから飲むこともでき、お子様から高齢の方まで安心して飲むことができるのが整腸剤のメリットです。

便秘や下痢など腸の症状を改善する

整腸剤は便秘薬とは違い、便秘だけでなく、下痢、お腹の張り、便が柔らかい時などにも使うことができます。お腹の状態を一番最適な状態に戻してくれるのが整腸剤の作用です。

お腹の調子がちょっと優れないという時に、便秘薬や下痢止めとは違って、優しく働いて正常な腸に戻してくれるのが整腸剤のメリットです。

整腸剤の効果的な飲み方のポイント

整腸剤は効果が穏やかなので、服用すればすぐに便秘が改善するような効果の強い薬ではありません。

即効性が無いので、効果が無いと諦めてしまう人も多いです。ですが、整腸剤を効果的に取り入れるには、飲み方のポイントを守ることが大切です。

長く続けることが大事

整腸剤を1回、2回飲んだくらいでは効果はあまり期待できません。腸内細菌のバランスが整うのには時間がかかります。外から入ってきた乳酸菌などの菌は、簡単には定着せずに外に出ていってしまうからです。

善玉菌が増え、悪玉菌が減り腸内細菌が入れ替わるには、継続して整腸剤を服用し続けることが必要です。最低でも2週間程度は同じ菌を摂り続けて様子を見るようにしてみましょう効果が無いからといってすぐに諦めてはいけません。

自分に合った菌を選ぶこと

私たちの腸には様々な種類の腸内細菌が棲みついていて、人によっても種類が異なります。そのため、自分に合った菌を選ぶことが大切です。

胎児としてお母さんのお腹の中にいる時には、腸内細菌は全くいない状態です。生まれてから様々な菌と出会って、腸内細菌を育んでいきます。それぞれ生きた環境が違うように、腸内細菌も違うため、人それぞれに腸内細菌の種類が違うのです。

一度効果が無かったからといって、全ての整腸剤で効果が無いとは限らないので、すぐに諦めてはいけません。色々なタイプの整腸剤が発売されているので、比べてみると良いでしょう。

食後の服用がおすすめ

乳酸菌やビフィズス菌は一般的に胃酸に弱いため、空腹を避けて服用した方が良いとされています。効果を最大限に得るため、整腸剤はなるべく食後に服用するよう心がけましょう。

 

しかし、症状によっては便秘薬を我慢せずに、適切に使用した方が良いケースもあります。急に便秘薬を中止すると、症状が悪化してしまうこともあるため、徐々に減らしながら整腸剤を併用するなど工、夫すると良いでしょう。

整腸剤とサプリメントって違うの?

整腸剤に似たものとして、乳酸菌サプリメントがあります。整腸剤と乳酸菌サプリの区別はできているでしょうか?サプリメントのメリットについても説明します。

食品か薬かという違い

まず大きな違いは、ざっくり言うと整腸剤は薬で、サプリメントは食品ということです。整腸剤は、何らかの症状や病気の治療のために使うことができますが、サプリメントは食品なので、即効性や便秘をすぐに治すような効果は期待できません。

しかし、腸内環境を整えたり、腸の調子を良くしたい場合に、栄養補助として気軽に飲めるという点がメリットです。サプリメントの中にも、機能性表示食品の認可を持っているタイプもあり、整腸作用の機能が期待できるものもあります。

腸の環境を良好にしてくれる、機能性表示食品として認められているビフィズス菌サプリ「ビヒダスBB536」を1ヶ月試してみた体験談を次の記事で紹介しています。整腸剤とサプリで迷っている方はぜひ参考にしてください。

サプリメントなら幅広い選択肢から選べる

サプリメントの場合には、整腸剤とは違った種類の乳酸菌、ビフィズス菌を取り入れることもできます。選択肢が多いのもサプリメントのメリットです。

「サプリメントって効かないじゃないの?」と思う方も多いかもしれませんが、サプリメントの中にも、腸内環境を改善する機能を持ったものもあります。お悩み別に選ぶのも良いでしょう。

サプリメントの特徴や選び方、おすすめのサプリについて知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

乳酸菌のサプリについてはこちらの記事がおすすめです。

ビフィズス菌のサプリについてはこちらの記事がおすすめです。

また、特にビフィズス菌が便秘におすすめの理由については次の記事で解説しています。乳酸菌とビフィズス菌の違いについてもっと知りたい方もぜひ読んでみてください。

乳酸菌とビフィズス菌は、それぞれサプリメントとして多くの種類があるので、自分に合った商品を見つけることが大切です。

まとめ

整腸剤は腸内細菌のバランスを整えて、根本的に便秘を改善するのを助けてくれます。

下剤のような便秘薬と比べても安全に使用できるので、長期的に服用を続けることができます。

整腸剤での便秘改善を期待するには、しばらく服用を続けて、自分に合ったタイプの菌を見つけることが大切です。

ただし、便秘の原因や程度によっては整腸剤だけでは効果が得られない場合もあります。便秘が改善しない場合には、早めに医師に相談するようにしましょう。