乳酸菌で便秘は解消できる?乳酸菌と便秘の深い関係


乳酸菌は腸内細菌のバランスを整える作用がありますが、便秘の解消には果たして本当に効果があるのか疑問に感じている方も多いでしょう。

乳酸菌が便秘に効くかどうかは、便秘の種類によっても異なります。乳酸菌の便秘に対する効果について詳しくお話します。

乳酸菌で便秘が根本的に解消できる?

お腹が張っている女性

腸にいい食べ物や水分を摂っているのに、なんだかスッキリしないという方はいませんか?便秘になると何とかしたいあまり、すぐに便秘薬に頼りたくなってしまう方も多いでしょう。

しかし、便秘薬の中には薬の効果が次第に効きにくくなるケースもあるため、頼りすぎは良くありません。

また、便秘薬を使わないと出ないのでは、根本的な解決になっていません。では、なるべく安全に便秘を解消するにはどうしたらよいのでしょうか?

そこで、おすすめしたいのが乳酸菌を摂取して対処するという方法です。

乳酸菌は、もともと腸内に存在している菌です。効き目が悪くなるということもほとんど無いため、長期的に便秘対策のために摂取し続けることができます。

乳酸菌のような良い働きをする菌は、腸内環境を根本的に変えてくれるありがたい存在です。便秘に悩んでいるなら、乳酸菌を味方につけることが解決への近道になります。

乳酸菌が、腸内環境を根本的に改善してくれる!

乳酸菌

乳酸菌について良く知らない。乳酸菌がなぜ便秘に効果があるのか良く知らないのなら、乳酸菌と便秘の関係について一緒に学んでおきましょう。

乳酸菌って、そもそも何?

ヨーグルトに含まれることで知られる乳酸菌ですが、良く耳にするもののあまり良くわかっていないという人も多いかと思います。

そこで、乳酸菌の基本的な知識を身につけておきましょう。

乳酸菌は善玉菌の1種

乳酸菌

腸内細菌は、大きく分けて人体に良い働きをする「善玉菌」、悪い働きをする「悪玉菌」、どちらか優勢な方の味方をする「日和見菌」に分けることができます。

この中で乳酸菌は、良い働きをする善玉菌に分類されます。善玉菌には、乳酸菌の他にもビフィズス菌、麹菌、酵母などがあります。

乳酸菌は、酸素があっても無くても住んでいられる通性嫌気性菌というタイプに分類されます。菌の数は大便中に100万から1億個含まれますが、腸内環境の状態によって個人差があるといわれています。

また、乳酸菌には次のような菌類が存在します。全てではありませんが、一部の乳酸菌とその機能を紹介します。

サーモフィルス菌 ヨーグルトに主に含まれている
ブルガリア菌 アミノ酸やペプチドを生成し、サーモフィルス菌を増やす
カゼイ菌 小腸での消化吸収を助ける
ガセリ菌 ピロリ菌の生存を抑える

便秘解消に効果的な乳酸菌

ある研究によれば、乳酸菌シロタ株を含む飲料の摂取により、排便回数や残便感などが改善されたという報告があります。

さらに、SBL88乳酸菌を含むカプセルにより、排便回数が増加したというデータもあります。
他にも乳酸菌が存在しており、それぞれに便秘の改善だけでなく、他にも優れた機能を持っていることが明らかになりつつあります。

参照:サッポロビール株式会社 酒類技術研究所
SBL88乳酸菌の便秘改2善効果

乳酸菌は腸内で乳酸を発生する

乳酸菌は腸まで届くと、腸管内でブドウ糖などを餌にして「乳酸」を作り出します。乳酸が発生すると、腸管内は酸性に傾きます。悪玉菌は、酸性の環境では生息できません。乳酸菌は悪玉菌が生息しにくい環境を作ってくれているのです。

つまり、乳酸菌を摂取すると腸内の悪玉菌が減って、代わりに善玉菌が増え、腸の動きが良くなります。その結果、排便を促してくれるという仕組みです。

腸内で乳酸菌が力を発揮するには、食事から十分な量を摂取することが必要です。しかし、食事だけでは十分に摂取できない場合には、乳酸菌のサプリメントを活用するのも方法の一つです。

気になる方はこちらの記事で、乳酸菌サプリメントについて詳しく解説しているので参考にしてください。

参照:腸内細菌の驚愕のパワーとしくみ (瓣野義己 著)

乳酸菌が効くかどうかは便秘の原因による?

乳酸菌は腸内細菌のバランスを整えてくれる作用がありますが、人によってはヨーグルトを十分に摂っているのに便秘が改善しないという場合もあるようです。

実は、乳酸菌で便秘が改善するかどうかは、便秘の種類によっても差があるのです。

便秘の種類と原因

便秘と一言にいっても、種類がたくさんあります。大きく分けると、大腸ガンやポリープなど大腸の構造や形態上に問題がある場合の「器質性」と、働きに問題がある「機能性」に分けることができます。

多くの場合には、機能性便秘であり、さらに3つのタイプに分けることができます。
あなたの便秘のタイプを確認してみましょう。

便秘の分類。器質性便秘、機能性便秘の違い

さらに食事による便秘もあります。ダイエットによる食事量不足によって便秘になる場合です。大便の量が減ることによって蠕動運動(ぜんどううんどう:腸の収縮運動)が低下してしまうのです。

あなたの便秘はどのタイプに当てはまったでしょうか?
なお、これらの便秘の分類は必ずしも一つだけに当てはまるのではなく、いくつかのタイプが複合的に起きている場合もあります。

弛緩性便秘の場合には乳酸菌が効きやすい

喜ぶ女性

弛緩性便秘は腸腰筋(ちょうようきん)という股関節の周りにある筋肉の弱まりが原因で、大腸の蠕動運動が弱まったことによって、便が出しにくい状態になっています。

ではなぜ、弛緩性便秘に乳酸菌が効果があるのでしょうか?

それは、衰えてしまった蠕動運動を高めてくれる作用が乳酸菌にはあるからです。便秘になると悪玉菌が優勢になりがちで、ガスが発生することにより大腸の蠕動運動が弱まります。

乳酸菌を摂取して悪玉菌が住みにくい弱酸性の環境を作れば、ガスが減少して蠕動運動も高まります。

結果的に便秘を解消してくれる効果が期待できるのです。

直腸性便秘や痙攣性便秘では乳酸菌が効きにくい

逆に、乳酸菌による効果が得られにくいのが、直腸性便秘や痙攣性便秘です。

まず、便意を我慢し続けることによって起きるのが直腸性便秘です。正常な場合には、直腸のあたりにあるセンサーが便の存在を完治して、便意となって腸まで伝わります。

これを排便反射と言いますが、直腸性便秘では排便反射が悪くなって、便意を感じにくい状態になっています。

排便するには、直腸のあたりにあるセンサーが大便を感知して便意を催すことが必要です。直腸性便秘の場合は、乳酸菌よりも食物繊維や適度な油分の摂取が効果的といえます。

また、痙攣性便秘の場合にはストレスや自律神経の乱れなどが関係しており、乳酸菌の摂取よりも心理的な部分を解決することが必要と考えられます。

乳酸菌を摂取しても根本的なストレスなどの要因が改善されなければ、便秘を解消することは難しいでしょう。

ただし、これらの便秘であっても乳酸菌の摂取が全くの無駄であったり、逆効果になるということは考えにくいため、治療の補助として乳酸菌を取り入れるのはおすすめです。

参照:よくわかる便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)

乳酸菌の摂取方法は?

乳酸菌といえばヨーグルトが有名ですが、食べ方にはポイントがあります。また、他にも乳酸菌を摂取する方法はあります。

具体的に、どんな方法で乳酸菌を摂取したら良いかについてお話します。

乳酸菌を含むヨーグルトは効果的に摂取

ヨーグルト

ヨーグルトには、乳酸菌やビフィズス菌などの腸に良い働きをする菌が豊富に含まれています。ただし、食べ方によっては、腸への効果に大きな差が生まれるのを知っていますか?

ヨーグルトは乳製品であり、含まれているのは動物性乳酸菌です。動物性乳酸菌は、残念ながら胃酸によって死んでしまうため、空腹時に食べると生きたまま腸に届くことができません。そこで、おすすめなのが食後のタイミングです。

また、せっかく腸にとって良い働きをする乳酸菌を含んでいても、冷たいヨーグルトを食べることで腸が冷えてしまい、腸の動きが悪くなってしまう場合もあります。

これを防ぐためには、ホットヨーグルトにするのがおすすめです。500Wの電子レンジであれば30秒から1分ほどラップをして温めるだけです。
ただし加熱しすぎは味が悪くなるだけでなく、大切な乳酸菌が死んでしまうので気をつけましょう。

参照:腸内細菌の驚愕のパワーとしくみ(瓣野義己 著)
すべては腸内細菌で決まる!(藤田紘一郎 著)

発酵食品から強力な植物性乳酸菌を摂取!

ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌は酸に弱く、腸まで生きて届きにくいと説明しました。逆に、酸に強いのが植物性乳酸菌です。

植物性乳酸菌は、日本古来の発酵食品に含まれています。また、ヨーグルトなどの乳製品よりも、消化の面で日本人の胃腸に負担が少ないことがメリットです。

日本の伝統的な発酵食品としては、味噌、醤油、漬物があります。

発酵食品

これらの食品は、和食を基本とする食生活を送っていれば、毎日負担なく摂取することができる食品です。特に乳酸菌を含んでいるのが漬物で、浅漬けよりもぬか漬けがおすすめです。

ご飯と味噌汁と漬物、このような日本の伝統的な和食を食べて入れば、わざわざ食後にヨーグルトを食べなくても、無理なく乳酸菌を摂取ことができます。

食事をする女性

ただし、スーパーで販売されている発酵食品には、正しい発酵方法で作られたものと、そうではない商品があります。工業的に作られた商品ではなく、昔ながらの発酵方法を用いて作られた商品を選ぶように注意しましょう。

整腸剤やサプリメントも手軽でおすすめ

食品から乳酸菌を摂り入れようと思っても、毎日食べ続けるのは難しいという人も、中にはいるのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、お薬の整腸剤を使ったり、サプリメントを活用する方法です。

錠剤タイプや粉末タイプなど、飲みやすい形のものを選ぶことができて、いつでもどこでも携帯して飲めるので続けやすいのがメリットです。

サプリメント

いろいろな菌株の整腸剤やサプリメントが発売されているので、飲み比べてみるのも良いでしょう。

サプリメントとしては、乳酸菌以外にも、同じく善玉菌を増やしてくれるビフィズス菌を配合しているタイプ、オリゴ糖や食物繊維を配合しているタイプもあります。それぞれ、特徴があるので比べてみて自分に合ったタイプを選んでみましょう。

乳酸菌のサプリメントの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ビフィズス菌のサプリメントについては以下の記事で詳しく紹介しています。それぞれの菌の働きについても詳しく解説しているので参考にしてください。

また、乳酸菌そのものではなく、乳酸菌生成物質と呼ばれる乳酸菌由来の成分を配合しているサプリメントも登場しています。乳酸菌を摂取しても、いまいちスッキリ感を実感しにくい人にもおすすめです。

乳酸菌生成物質を配合しているサプリメントとして、乳酸菌革命があります。以下の記事では、「乳酸菌革命」を実際に使用した体験談なども掲載しています。気になる方は参考にしてみてください。

腸内の乳酸菌を増やす方法は?

乳酸菌を腸内で増やすには、外から乳酸菌を取り入れるだけでなく、すでに腸内に住んでいる乳酸菌を増やす方法もあります。

次の方法で腸内に住む乳酸菌を増やして、腸内環境を整えましょう。

健康な腸

乳酸菌生成物質を取り入れる

乳酸菌自体を摂取しても、人によって効果に差が出てしまう場合があります。そこで代わりにおすすめなのが乳酸菌生成物質です。乳酸菌そのものではなく、乳酸菌の分泌物と菌の細胞内に含まれる物質が含まれています。

今まで色々なヨーグルトやサプリメントを試してみたけれど、効果が感じられなかったという人におすすめです。乳酸菌生成物質、または乳酸菌生成エキスと呼ばれる成分を含むサプリメントが発売されているので、活用してみましょう。

食品添加物を避ける

身の回りにある食品には保存性を高めるための食品添加物が使われている場合が多くあります。食品添加物は体に良くないということは知っていても、腸にも影響があるということをご存知でしょうか。

例えば、防腐剤は腐敗を防ぐために細菌の増殖を抑える働きがありますが、良い菌にまでダメージを与えてしまいます。結果的に腸内細菌にも影響してしまうのです。

なるべく食品添加物が含まれた食品を避けることが、自分の腸に住む乳酸菌を育てることにつながります。
便秘に悩んでいるなら、食事を見直して食品添加物はなるべく摂取しないように心がけていきましょう。

参照:すべては腸内細菌で決まる!(藤田紘一郎 著)