自律神経失調症と腸には深い関係が?!心の不調は腸の不調


自律神経失調症というのは、自律神経が乱れて起こる病気です。
体のどこにどんな症状が出るかは人によって異なりますし、症状が消えたり現れたりして定まらないこともあります。

自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経の2つから成り立つ自律神経系のバランスが崩れた場合に起こる症状の総称のことである。

出展:Wikipedia 自律神経失調症

例えば、原因の分からない頭痛やめまい、耳鳴り、息切れ、皮膚のかゆみ、睡眠不足や情緒不安定など。もしかすると、そうした原因不明の症状は、自律神経失調症なのかもしれません。

また、自律神経失調症では、腸など消化器系に影響が出ることもあります。ですから、自律神経失調症の人は、過敏性腸症候群などのお腹の不調を訴える人も多いのです。

自律神経と腸の関係は

自律神経は、心臓や胃腸などの内臓や体温調節など私たちの体すべてを支配している神経です。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つで構成されていて、通常この2つが切り替わりながら全身をコントロールしています。

交感神経が働くのは

  • 運動している時
  • 緊張している時
  • ストレスがある時
副交感神経が働くのは

  • 休息している時
  • 睡眠している時
  • リラックスしている時
例えば、運動している時は交感神経が働いて、血管を収縮させて血圧や心拍数を上げます。反対に、リラックスしている時は、副交感神経が働いて、血管を広げて血圧や心拍数を下げています。

もちろん、腸の動きもこの2つが切り替わる事でコントロールされているんです。

自律神経と腸の働きの関係

  • 交感神経が優位な時 ⇒ 食欲や腸の働きを抑える
  • 副交感神経が優位な時 ⇒ 食欲が涌き、腸の働きが活発になる
でも、ストレスなどでこの2つのバランスが乱れると..
交感神経が優位に立ち過ぎた場合は、腸の働きが弱まり、便秘になりやすくなります。反対に、副交感神経が優位に立ち過ぎた場合は、腸が働き過ぎて下痢になりやすくなってしまいます。

過敏性腸症候群は、まさにこれによって引き起こされるのです。

腸の不調が心の不調を招く

ストレス

腸の不調。それ自体が、心身の不調を引き起こすことがある。

 

信じられないかもしれませんが、心の不調が腸の不調を招くように、腸の不調が心の不調を招くこともあるんです。

腸は「第二の脳」とも呼ばれる独自の神経ネットワークを持っており、脳からの指令が無くても独立して活動することが出来ます。

例えば多くの動物では、ストレスを感じるとお腹が痛くなり、便意をもよおします。これは脳が自律神経を介して、腸にストレスの刺激を伝えるからです。逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告があります。

出典:ヤクルト中央研究所

また、腸内に住む腸内細菌が私たちの心に影響を与えるという説もあります。

最近では、病原菌だけでなく腸内に常在する細菌も脳の機能に影響を及ぼす、という研究が注目を集めており、「脳-腸-微生物相関」という言葉も提唱されています。

出典:ヤクルト中央研究所

近年では、これらの研究が盛んに行われていて、一定の成果が出ています。

腸内細菌のバランスがストレス緩和のカギ?!

最近、腸内の善玉菌が産生する短鎖脂肪酸という有機酸から「幸せ物質」が作られると言われているのをご存知でしょうか?

私たちが「幸せだなあ~♪」と感じるのは、喜びや快楽を伝える脳内伝達物質「セロトニン」が大きく関与しています。別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、体内にスプーン1杯分(約10ミリグラム)ほどしかありませんが、その90%が腸内にあり、脳にはわずか2%しかありません。

セロトニンは、魚や卵、乳製品に含まれている必須アミノ酸「トリプトファン」を原料に、ビタミン類のサポートで腸内でつくられますが、腸内細菌のバランスが悪いとセロトニンが合成できなくなり、キレやすくなったり、うつ状態になったりします。

また、ストレスを感じると、腸がそれを緩和するための防御反応としてセロトニンが分泌されますが、セロトニンが急激に増えすぎると、腸が不規則に収縮して、男性は下痢になりやすく、女性は便秘になりやすくなります

出典:養命酒

他にも、セロトニンは生体リズムや睡眠、体温調節に関わっていて、精神安定にも働きます。

幸せ物質セロトニンにしっかり働いてもらうためには、腸内細菌のバランスを整えて、善玉菌を増やすことが重要なんですね。

腸内の善玉菌を増やそう!

自律神経失調症と腸には、深い関係があることが分かっていただけたでしょうか?
もしあなたが、自律神経失調症に悩まされているのなら、治療をしながら、なおかつ腸を強くするように日頃から心がけると良いでしょう。

そして、腸を強くするには、善玉菌を増やすのが良いでしょう。善玉菌の働きは、先ほどのストレスに関する働きだけではありません。

善玉菌の働き

  • 腸内を腐敗させる悪玉菌を追い払う
  • 腸を活発にし、排便を促す
  • 腸粘膜を保護する
このように、善玉菌の活動は便秘にも下痢にも有効なのです。
では、善玉菌を増やすには何が効果的なのでしょうか?

善玉菌のほとんどは乳酸菌ですから、乳酸菌を摂るのが効果的です。ヨーグルトでも良いのですが、ヨーグルトは下痢になるという人がいますよね。
それに、ヨーグルトで効果を期待するには、毎日たくさんの量を食べなければいけないので、あまりお勧めできません。日頃から善玉菌を増やすことを心がけ、強い腸を作りましょう。それ自体が自律神経失調症の改善に繋がるのです。