お悩み別!整腸剤の選び方 – 市販薬の整腸剤総まとめ


執筆・監修:笹尾(薬剤師)

お腹が張って苦しい、おならやガスが気になる、便秘がち、軟便気味。
こんなふうに、お腹の不調に悩んでいる方はいませんか?

お腹のハリやガス、便秘や軟便など、腸の不調を感じる時に頼りになるのが、市販の整腸剤です。

でも、種類が多すぎてどれを選べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。また、安全そうに思える市販の整腸剤ですが、実は飲み続けるのに注意が必要な場合もあります。

注意を促す女性

今回は、市販でおすすめの整腸剤をお悩み別に分類し、注意点なども交えて、詳しく紹介しています。

自分に合った整腸剤が知りたい方や、購入を考えている方は参考にされてみてください。

整腸剤ってどんな薬?

「整腸剤」を病院で処方されたことはありませんか?もしくは薬局やCMで見かけ、気になっているという人もいるかもしれません。

はじめに、整腸剤の種類と他のお腹のお薬との違いについてご紹介します。

整腸剤は大きく分けて5種類

処方薬

市販の整腸剤とひとことに言っても、種類がいくつかあります。自分にあった整腸剤を見つけることが大切です。

整腸剤は次の5つのタイプに分けられます。

  • 生菌配合の整腸剤
    ※生菌:簡単に言うと生きた乳酸菌のこと。腸内を酸性に傾けることで悪玉菌の繁殖を防ぎます。
  • 消泡剤入り整腸剤
    ※消泡剤:腸内のガスを破裂させて消す作用のある成分。
  • 胃薬、消化酵素を配合した整腸剤
  • 酵母やビタミン剤配合の整腸剤
整腸剤ではありませんが、 乳酸菌を配合するものとしては、乳酸菌配合の健康食品やサプリメントも、これらの仲間といえます。

「整腸剤」の成分は商品それぞれで異なっています。一種類だけでなく、いくつかの成分が組み合わせて入っている商品もあります。成分の組み合わせによって、効果に違いがあります。

整腸剤の違いを見比べ、自分の症状にあった商品を見つけるようにましょう。
ここからは、お悩み別におすすめの市販の整腸剤をご紹介していきます。

 

お腹のハリやおならが気になる時におすすめの整腸剤

お腹が張っている女性

お腹が張って苦しい時、ガスが溜まっておならが気になる時には、整腸剤で対処するのが一般的です。特に、お腹のハリやガスが気になる時におすすめの市販の整腸剤を紹介します。

お腹のハリやガスの原因は?

お腹が張りの主な原因として、腸内に溜まった異常なガスが考えられます。過剰やおならや、おならの匂いが気になる場合も、腸内に溜まったガスが原因です。

ガスは食べ物を消化する時に発生したり、食べ物と一緒に吸い込んだ空気、また、異常に増えた悪玉菌によっても発生します。

ガスによるお腹の張りや、おならの回数や匂いが気になる時には、次の整腸剤がおすすめです。

おすすめのタイプ:消泡剤入り整腸剤

おすすめの理由:
「消泡剤」というのは、お腹に溜まったガスを取り除いてくれる成分です。よく使われるのが「ジメチルポリシロキサン」という成分で、ガスの気泡を潰してくれる作用があります。

ガスが減ることで、お腹の張りなどの症状も改善します。

おすすめの消泡剤入り整腸剤:

  •  ザ・ガードコーワ整腸錠PC

参照:興和株式会社

  • ラッパ整腸薬BF

参照:大幸薬品株式会社

  • ガスピタンa

ガスピタン

参照:小林製薬

  • コバガード(小林製薬株式会社)

コバガード

参照:小林製薬

  • パンシロンビオリズム健胃消化整腸薬(ロート製薬株式会社)

ビオリズム

画像:ロート製薬

コメント:
消泡剤入りの整腸剤としては、ガスピタンが有名です。ザ・ガードコーワ整腸錠PCは、生きたままの乳酸菌に納豆菌、消泡剤に加え、胃の調子を整える生薬が入っています。
また、コバガードとパンシロンビオリズム 健胃消化整腸薬も、お腹の調子と合わせて、胃の調子が悪い場合にもおすすめです。

症状の程度にもよりますが、お腹のハリやおならの原因となるガスが気になっている方は、腸内環境を整えるサプリメントも活用すると良いでしょう。

次の記事では、ハリやにおいにおすすめのサプリメントをご紹介しています。ガスや張りが気になっているという方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

消化不良ぎみな時におすすめの整腸剤

女性_困った

食べた後になんとなく胃がもたれる、食欲が落ちている、消化不良ぎみ。そんな時にも、整腸剤は頼りになる存在です。消化不良の時におすすめの市販の整腸剤を紹介します。

消化不良の原因は?

消化不良は、飲みすぎ食べ過ぎ、刺激物の取り過ぎ、過労やストレス、または胃腸の病気が隠れているということもあります。消化不良の時には胃薬で対処することもできますが、同時に腸の調子も悪い場合には次のような整腸剤もおすすめです。

おすすめのタイプ:消化酵素または健胃生薬配合の整腸剤

おすすめの理由:

消化不良を整える成分が入った整腸剤なら、消化を助けて胃腸を休め、腸の不快な症状を改善してくれます。

胃腸を動かす健胃生薬入りの整腸剤なら、弱まった胃腸の動きを良くしてくれます。ストレスによる胃腸の不調には、胃の調子を整える作用のある健胃生薬配合のタイプがおすすめです。

  • ラクサレット(京都薬品ヘルスケア株式会社)

ラクサレット

参照:京都薬品工業

  • パンシロンビオリズム健胃消化整腸薬

ビオリズム

画像:ロート製薬

コメント:
いずれも整腸剤に消化酵素がプラスされた処方になっているので、胃もたれや軟便、便秘などの症状に効果があります。胃腸を動かす健胃生薬が配合されているので、胃腸機能が低下した時の便秘やお腹のハリにも効果的です。

参照:武田薬品 タケダ健康サイト

 

便秘や軟便の時におすすめの整腸剤

便秘や軟便などの症状にも、整腸剤は効果的です。便秘や軟便などの症状におすすめの整腸剤はどれなのか?理由と共にご紹介します。

便秘や軟便の原因は?

便秘

便秘の時は便秘薬、軟便や下痢では下痢止めがよく使われますが。しかし、整腸剤でも対処することができます。

便秘や軟便の原因の一つとして悪玉菌の増加が考えられます。悪玉菌が増えると下痢になったり、ガスが溜まって便秘を引き起こしてしまうこともあるのです。

整腸剤は、悪玉菌を減らして、便秘、下痢、軟便のいずれにも効果が期待できます。

悪玉菌による便通の異常と、それに伴うガスを改善するなら、次の市販の整腸剤がおすすめです。

おすすめのタイプ:生菌配合の整腸剤

おすすめの理由:
腸内細菌のバランスを整える作用があるので、悪玉菌を減らして善玉菌を増やすことができます。善玉菌を増やして適切なバランスになることで、正常なお通じへ導いてくれます。

おすすめの生菌配合の整腸剤

  • 新ビオフェルミンS

参照:ビオフェルミン製薬

 

  • パンラクミンプラス

パンラクミンプラス

参照:第一三共ヘルスケア

 

  • ビオスリーH

ビオスリーHi

参照:東亜新薬株式会社

 

コメント:
これらの整腸剤には、生きたままの善玉菌。つまり、生菌が含まれていて、お腹の中で更に善玉菌を増やしてくれる作用があります。
便秘(便通を整える)、軟便、腹部膨満感の解消などにも効果があります。

なお、便秘にお悩みの場合には、乳酸菌の配合されたサプリメントを活用する方法もあります。即効性こそありませんが、根本的に腸内環境を改善したい方は、サプリメントもおすすめです。ぜひ参考にしてください。

 

 

便秘薬(下剤)や下痢止めとはどう違うの?

疑問を感じる女性

便秘薬(下剤)や下痢止めと整腸剤は別の薬です。

便秘薬(下剤)は、便秘の症状を改善するための薬です。大腸を刺激して排便を促す作用があるため、効果が早いのが特徴です。

また、下痢止めの薬は水下痢のような強い下痢症状を改善するための薬です。腸の動きを止めるタイプの下痢止めは、外出先などですぐに止めたい時に頼りになります。

それに対して、腸の状態を整えながら、ゆっくりと正常に戻していくのが整腸剤のはたらきです。腸内環境を整えることで、腸の不快な症状を改善してくれます。

胃腸が弱くて栄養補給をしたい場合の整腸剤

年齢による変化やもともと生まれ持った体質で、胃腸が弱くて食事を十分に摂ることができない方には、栄養補給もできる市販の整腸剤がおすすめです。

栄養補給することで胃腸が元気になれば、次第に食欲も湧いてくるでしょう。

おすすめのタイプ:乳酸菌やビール酵母およびビタミン配合の整腸剤

おすすめの理由:
食事からの栄養補給が十分でなく、胃腸の機能が低下しがちな高齢者や、病後の栄養補給に。乳酸菌と同時に、腸を整えるビール酵母などの乾燥酵母。乳酸菌の増殖に必要なビタミン群も摂取することができます。

これらの成分で、弱った胃腸を元気に整えてくれる効果があります。

  • エビオス錠

エビオス

画像:アサヒフードアンドヘルスケア

  • 強力わかもと(わかもと製薬)

強力わかもと

参照:わかもと製薬

  • 新ラクトーンA(アサヒフードアンドヘルスケア)

参照:アサヒフードアンドヘルスケア

コメント:
いずれも胃腸薬など薬の成分は含まれず、乳酸菌や酵母、ビタミンなどの栄養成分が入っているものです。
特に症状が無いという場合にも、日頃の体調管理の一つとして毎日摂取することができる整腸剤です。

市販の整腸剤を飲み続けても大丈夫?

医者に相談する女性お腹のハリやガス、便秘や軟便に悩んでいる方は、まずは腸内環境を整えることが大切です。

ただし、整腸剤は確かに腸内環境を整える作用がありますが、長く飲みつづける場合には注意が必要です。

整腸剤の種類によっては注意が必要!

胃薬や、ガスを取り除く成分などが配合された整腸剤を、継続的に使うのはおすすめできません。
あくまでも症状が良くなるまで、一定期間に留めて使うことが大切です。

比較的安全に使える生菌(乳酸菌など)です。それ以外に、胃薬やガスを取り除く成分が含まれているお薬は注意が必要です。
服用期間は、お薬ごとに定められています。説明書をよく確認しておきましょう。

一方で、生菌や酵母などからできている整腸剤なら、健康管理のために飲み続けても特に問題は起こりにくいといえます。
また、整腸剤にこだわらずに、乳酸菌やビフィズス菌の健康食品やサプリメントを選択肢に入れるのもおすすめです。

サプリや健康食品を使い分けると便利

胃もたれ、軟便、便秘、お腹の張りのような胃腸の症状が特に無い方には、健康食品やサプリメントもおすすめです。

乳酸菌やビフィズス菌などを含む健康食品やサプリメントなら、安心して長期的に取り入れることができます。

例えば、お腹のハリやガス、便秘などにずっと悩んでいて、根本的に腸内環境を改善したい方や、免疫力やアレルギーなど、健康管理のために腸内環境を整えたいという方におすすめです。

以下の記事では、編集部が腸内環境改善に役立つサプリメントを厳選して紹介しています。
整腸剤ではなく、サプリでもいいかな?サプリメントを活用してみようと思った方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

サプリメントや健康食品のメリット

整腸剤とサプリメントは、同じように錠剤やカプセルの形をしているので、同じようなものと思っている方も多いかもしれません。これらは、何が違うのでしょうか?また、サプリメントの方が優れている点はあるのでしょうか?

整腸剤とサプリメントの見分け方

商品のパッケージに「医薬品」「医薬部外品」と書いてあれば、お薬の成分を含んだ整腸剤です。一方で「栄養補助食品」「食品」と表示されていれば、サプリメントです。

医薬品の場合には、「効能効果」「用法用量」が書かれています。サプリメントには、成分のはたらきや飲み方の目安が書いているということも、違いの1つです。

気をつけて欲しいのは、整腸剤は病気の治療を目的として用いるもので、サプリメントは病気を治すために飲むものではないということ。
似たような乳酸菌を含んでいても目的が異なるので気をつけましょう。

サプリメントのメリットとは?

サプリメントには、整腸剤とは異なる次のようなメリットがあります。整腸剤とサプリメントの特長を知った上で、それぞれを使い分けると良いでしょう。

食品だから気軽に長く続けられる

水を飲む女性

サプリメントは、特定の成分を摂り入れるための補助的な役割として、便利に活用できる存在です。
食事では補いきれない成分を効率よく摂取できます。また、副作用が比較的少ないので、気軽に続けることができます。

サプリメントなら、特に飲む期間に制限もないため、長く飲み続けることができるというメリットがあります。

腸内環境を改善するには、根気よく続けることが大切。長く続けられるサプリメントを活用するのがおすすめな理由です。

いろいろな菌の種類を選べる!

乳酸菌には、細かく分けるとたくさんの種類が存在します。乳酸菌は分かっているだけでも30種類以上あるのです。

でも、整腸剤の場合には限られたタイプの乳酸菌しか配合することができないのです。

それに対して、サプリメントの場合は幅広くいろいろな種類の菌を配合することができるのです。

便通、免疫、アレルギーなどのお悩みによって選べる!

それぞれのお悩みに対して幅広い選択肢から成分を自分で選べるというのが、サプリメントのメリットだといえます。

例えば、アレルギーや免疫力などに機能を持つ乳酸菌。便通に効果のあるビフィズス菌が配合されている製品もあります。サプリメントといっても、機能性が高いものもあるのです。

たとえば、便通の改善が気になる方におすすめのサプリメントについては、次の記事でも紹介しています。

ガスやおならが気になる方におすすめのサプリメントは、次の記事で紹介しています。

こんな時は市販の整腸剤では効果が出ない?!

医者に相談する女性

市販の整腸剤では効果が出ない場合もあります。次の場合には、早めに医師に相談するなど適切に対処してください。

整腸剤を1ヶ月以上服用しても変わらない

効果が感じられないのに整腸剤を飲みつづけることは、病気の発見を遅らせることになりかねません。1ヶ月以上服用しても症状が変わらないのであれば、服用を中止してお医者さんに相談するようにしてください。

参照:ビオフェルミン製薬 お薬Q&A

症状が次第に悪化している

はじめはお腹の張りだけだったのが、お腹に痛みを感じ始めたり、下痢、血便などの症状の悪化が見られるという場合には、何らかの病気が隠れていることも考えられます。

自己判断で決めるのではなく、まずはお医者さんに相談するようにしてください。

 

参照:腸内細菌の驚愕のパワーとしくみ(辨野義己 著)

参照:あなたの知らない乳酸菌力(後藤利夫 著)

執筆・監修:笹尾(薬剤師)