便秘薬の飲み過ぎは危険?長期服用を避けるための対処法は
便がスッキリ出ない日が続く場合、便秘薬を飲みすぎたらどうなるのでしょう?効果を高めようと、便秘薬を多めに飲んだとしても、効果があまり出ないこともあるようです。
便秘薬は、飲みすぎると思わぬ副作用が出たり、長期的にはお薬の効果が出にくくなる場合もあります。便秘薬を飲みすぎた時の危険性と、副作用を防ぐための方法を知っておきましょう。
便秘薬の飲みすぎは危険なの?
まず結論から言うと、便秘薬を飲みすぎることは大変危険です。危険性について理解する上で、どの程度飲んだら飲みすぎになるのか、量や期間の目安を知っておきましょう。
便秘薬の飲みすぎとは?
便秘薬の飲みすぎには次の2つの状態が考えられます。
- 量を飲みすぎている
- 飲む頻度が高い、長く飲み続けている
量が少なくてもずっと飲み続けていたら飲みすぎかもしれないし、1回限りだとしても多量に飲んだら飲みすぎになってしまいます。それぞれについて、起こりうる問題を詳しくみていきましょう。
量を飲みすぎている
お薬ごとに決められた用量があり、その量を超えて飲んでいるような場合には飲みすぎになってしまいます。例えば1回4錠までと決められているのに、その量を守らずに10錠など用量を超えて飲んでいる場合です。
ダイエット目的や重度の便秘などで、便秘薬を何十錠も飲んでしまうような方もいるようですが、増やしたとしても効果が出ないことも考えられます。また、副作用の面から見ると間違いなく危険なので、絶対にやめるようにしてください。
飲む頻度が高い、長く飲み続けている
例えば、毎日のように飲んでいたりする場合は頻度が高く、それが長期になればなるほど副作用は起こりやすくなってきます。病院から処方されて先生の判断の下で長く飲み続けることもありますが、基本的には便秘がよくなったら飲む必要はありません。
長く飲み続けると、下剤に頼りきってしまう「下剤依存症」になってしまう可能性もあります。下剤依存症は医学的に付けられた病名ではありません。便秘薬に依存してしまい、「無いと排便できない」と、不安になる方のことをそう呼んでいます。
例えば、用法用量の範囲内であっても毎日1年以上に渡って飲み続けているならば、軽症の下剤依存症になっているかもしれません。
便秘薬を飲みすぎるとどうなる?
便秘薬を飲みすぎると、副作用が出て辛い思いをすることもあれば、効果が弱まってしまうこともあるといわれています。どのような危険性があるのか詳しく解説していきます。
腹痛や下痢などの副作用が出やすくなる
便秘薬は便を出しやすくするお薬なので、飲みすぎると、腹痛や下痢になりやすいといえます。
あまりにひどい腹痛や下痢になると、外出の妨げとなったり、仕事や家事などにも影響してしまうこともあります。ひどい下痢や腹痛が起きると、冷や汗が出たり吐き気を伴ったりすることもあるでしょう。
お薬が効かなくなることがある
多少お腹が痛くなることがわかっていても、「便が出た方がスッキリするから」という理由で便秘薬を使いすぎしてしまう方もいます。ここで注意すべき問題は、副作用だけではありません。
便秘薬を使いすぎることで、効き目が弱くなってしまうことが問題なのです。そして、最終的には自然な便意が起こらなくなってしまうこともあります。
特に大腸を刺激する成分が含まれている場合には気をつけた方が良いでしょう。
また、長く飲み続けることで、便秘薬を使わないと不安になったり、便秘薬に頼らないと排便できなくなってしまうこともあるので気をつけましょう。
腸が黒くなってしまう?!
便秘薬の中でも大腸を刺激する成分である「アントラキノン系下剤」は、特に副作用に注意しなければいけません。というのも、飲みすぎによりお薬の効き目が出にくくなることがあるといわれているためです。
この、効き目が出にくくなることの原因に、腸が黒くなってみえる「大腸メラノーシス」が関係していると考えられています。腸が黒くなってくると、腸の機能にも影響が出て、大腸が刺激に慣れてしまうのです。
大腸メラノーシスについての詳しい解説は次の記事を参考にしてください。
飲みすぎに気をつけたい便秘薬とは?
便秘薬の種類によって、飲みすぎで起きる副作用や問題には違いがあります。主によく使われる次の3つについての注意点をお話します。どんな便秘薬に注意したら良いのか知っておきましょう。
大腸刺激性の便秘薬
コーラックやスルーラックSなど
飲みすぎてしまうケースが多いのが、大腸刺激性の便秘薬(下剤)です。大腸を刺激して動かすことで排便を促すので、効き目がよく、効果が比較的早いのが特徴です。
例えば、センナやダイオウ、アロエなどのアントラキノン系下剤や、ビサコジルやピコスルファートナトリウムなどがあります。
効果が出るとスッキリするので、毎日飲みたくなったり、便秘が悪化するにつれて量が増えやすいのが問題です。
飲めば飲むほど効くようなイメージがあるかもしれませんが、定められた用量以上に多く飲んだからといって効くわけではありません。
むしろ飲みすぎると、最終的には下剤を使わないと排便できないようになってしまう可能性もあるため危険です。大腸刺激性の便秘薬を飲みすぎることは絶対にやめましょう。
酸化マグネシウム製剤
3Aマグネシアやスルーラックデルジェンヌなど
酸化マグネシウムは便に水分を与えてやわらかくし、出しやすくするお薬です。比較的、効果が穏やかで安全だといわれていますが、飲みすぎた場合には副作用の危険が高まります。
酸化マグネシウムは、ミネラルのマグネシウムが含まれていて、飲みすぎると「高マグネシウム血症」という副作用が起きることがあります。筋力低下に始まり、最悪の場合には心臓が停止して死に至ることもある危険な副作用です。
この副作用は常用量を飲んでいても起きる場合がありますが、飲みすぎると起こりやすくなります。特に、腎臓の機能に問題がある人や、高齢者の場合には注意してください。
漢方薬
タケダ漢方便秘薬など
漢方薬は、比較的効果が穏やかで、副作用が少ないというイメージを持たれていますが、体質や使い方によっては副作用が出る場合があります。
特に注意したいのは、大黄(ダイオウ)という生薬が入っている漢方薬です。大黄は大腸を刺激する成分が含まれている生薬なので、大腸刺激性の下剤と同様な注意をしなければいけません。
また、いくつかの漢方薬を一緒に飲む場合にも注意が必要です。特に、甘草(カンゾウ)という生薬は漢方に含まれることが多く、量を摂りすぎると「偽(ぎ)アルドステロン症」という副作用が起きることがあります。
便秘薬の副作用については次の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
便秘薬を飲みすぎないためには?
便秘薬を飲みすぎないためには、次の注意点を守ることが大切です。飲みすぎによる副作用などの悪影響を避けるためにも、よく理解しておくようにしてください。
用法用量をきちんと守ること
当たり前のことですが、用法用量を守って正しく飲むことが大事です。これを守らないで飲むことが飲みすぎにつながってしまうからです。
説明書をよく読んで、用量以上に自己判断で増やして飲むことは止めてください。病院からもらったお薬の場合も、お医者さんから指示された用量を超えて飲むことは止めましょう。
下剤は必要最低限にする
下剤は本当に困った時だけ使うようにして、日常的には酸化マグネシウムのような便を柔らかくする便秘薬や、整腸剤または乳酸菌サプリなどで腸内環境を整える方が安全だといえます。
また、いつもの下剤が効かなくなってきているという場合には、他のお薬に変えてみるという方法もあるので、お医者さんや薬剤師さんなどに相談することをおすすめします。
お薬だけに頼らないこと
便秘が辛いからといって、お薬だけに頼るのはよくありません。便秘薬で解決する以外にも、食事や運動、マッサージなど便秘を解消する方法はたくさんあります。
ただし、便が詰まることによって腸閉塞のように危険な状態になることもあります。必要な時は適切に便秘薬を使って対処してください。
便が出ないからといって不安になりすぎないこと
毎日排便がないといけないと思って、便秘薬を飲み続けてしまう方もいるようです。毎日きちんと排便がある方が、確かにスッキリしますが、必ずしも排便は毎日なければいけないものではありません。
あまりに神経質になりすぎて、便秘薬を毎日飲み続けることで、悪循環になっている可能性もあります。なるべく下剤を使わないで、自力で排便する力を身につけることが大切です。
悪化する前に早めに受診すること
便秘薬を使いすぎてしまうということは、便秘が長引いていたり、便秘の状態が悪化しているということだと思われます。
もし、便秘の状態が以前よりもひどくなったり、何週間もお薬を使っても出せないというような場合には早めに病院で相談することをおすすめします。
便秘薬を飲んでも出ない時の対処法
便秘薬を飲んでも出ないために、便秘薬を使いすぎてしまうこともあると思われます。
そのような場合には、次のような原因と対処方法が考えられます。よく読んで、自分に当てはまる場合には早めに対処しましょう。
浣腸を試してみる
お薬を飲んでも便が出ない、今すぐ出したいという場合には浣腸が効果的です。腸に直腸側から直接お薬を入れることで、効果が早く現れます。
ただし、浣腸を使いすぎることは、肛門への負担が増えたり、腸の機能に影響することもあるため、最低限にとどめることが大切です。
繰り返し使わなければいけないような重度の便秘の場合には、お医者さんに相談することをおすすめします。
病気の可能性もあるため受診する
便秘薬を使いすぎているという場合には、便を出せない原因として病気が隠れていることも考えられます。例えば、大腸ガンや甲状腺機能低下症、または何らかの服用中のお薬の影響ということもあります。ひどい便秘に悩んでいる方は、早めにお医者さんに相談するようにしてください。
便秘を解消するにはお薬以外の方法を取り入れるのがおすすめです。便秘の根本的な解消法については次の記事で紹介しているので参考にしてください。