便秘には、乳酸菌と食物繊維のどちらが効果あり?


便秘には乳酸菌?それとも、便秘には食物繊維

それはズバリ、あなたの食事内容によるでしょう

いつもの食生活を振り返ってみて下さい。どちらか不足してはいませんか?不足しているなら補う必要がありますね。また、便秘の原因によっては食物繊維を減らす必要もあるんです。

食物繊維

便秘には、植物性乳酸菌と水溶性食物繊維!

乳酸菌には、「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」があります。

また、食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。

便秘の時おすすめなのは、「植物性乳酸菌」と「水溶性食物繊維」です。

便秘に植物性乳酸菌

動物性乳酸菌はミルクに、植物性乳酸菌は植物の中で発酵してさまざまな発酵食品を生み出します。

乳酸菌

参照:カゴメ株式会社 乳酸菌

植物性乳酸菌というのは、植物由来の乳酸菌ですね。

植物性乳酸菌が多い食品

  • 漬物
  • ぬか漬け
  • キムチ
  • ピクルス
  • ザーサイ
  • ザワークラフト(ドイツのキャベツの漬物)
  • 塩麹
  • 味噌
  • 醤油
  • 日本酒
  • ワイン
  • マッコリ
  • 甘酒

発酵食品

植物性乳酸菌が便秘を解消した!

国際栄養科学雑誌「Nutrition」もっとも高い評価を受けた論文として受賞した、広島大学で行われた研究をご紹介しましょう。

便秘または下痢の人68名に6週間の間、毎日100gのヨーグルトを食べてもらいました。

  • グループA:植物性乳酸菌(SN35N)が含まれるヨーグルト
  • グループB:植物性乳酸菌(SN13T)が含まれるヨーグルト
  • グループC:動物性乳酸菌(ラクトコッカス属とストレプトコッカス属)が含まれるヨーグルト

その結果、グループAとBでは、便秘の人の排便回数が増えました。

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乳酸菌はどうして「植物性」がいいの?

ヨーグルト
乳酸菌が産生する乳酸は、腸の排泄運動を促す効果を持ちます。

さらに、乳酸菌によって腸の善玉菌が活性化されて、悪玉菌が排除されます。

「LB81乳酸菌」を使用したヨーグルトを食べている間の糞便(ふんべん)に含まれる細菌叢(そう)の変化として、悪玉菌であるClostridiumは減少傾向を示し(図1-①)、善玉菌である腸内常在ビフィズス菌が少ない試験対象者は、有意な増加を示しました。(図1-②)

乳酸菌の悪玉菌減少効果

参照:株式会社明治 乳酸菌の悪玉菌減少効果

動物性乳酸菌も植物性乳酸菌も、腸内細菌については同じような効果が見られます。

でも、あえて植物性乳酸菌をおすすめするのは、植物性乳酸菌が強い菌だからです。植物性乳酸菌は栄養分が少なかったり、塩分濃度が高かったりするような過酷な環境下でも生きることができて、腸での生存率も高いと言われています。また、免疫効果も高いと言われているんですよ。

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また、動物性乳酸菌は牛乳由来。牛乳に含まれる成分をエサにして育った乳酸菌なのです。ということは、腸内に動物性乳酸菌が住み着いたとしても、エサである牛乳やヨーグルトを摂り続けなければ、死んでしまうのです。また、動物性乳酸菌は胃酸に弱く、腸までたどり着くまでに死んでしまう可能性が高いのです。

ですから、便秘の解消には、植物性乳酸菌を摂りましょう。

便秘に水溶性食物繊維!

水溶性食物繊維は水に溶け、不溶性食物繊維は水に溶けません。

水溶性食物繊維不溶性食物繊維

参照:メディマグ糖尿病 食物繊維

水溶性食物繊維が便秘を解消した!

美作大学と三和化学研究所が行った研究をご紹介しましょう。

67歳~103歳の高齢者30名(男性4名、女性26名)に、難消化性デキストリン(トウモロコシから作られた水溶性食物繊維)9g入りのお茶100mLを4週間毎日飲んでもらいました。

その結果、便秘傾向の人で、排便回数と排便量が増えました。また、元々便秘傾向でなかった人で下痢を起こすことはなく、水溶性食物繊維が悪影響を及ぼすことはありませんでした。

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もう一つ、大塚製薬株式会社と中村学園大学の共同研究をご紹介しますね。
21歳~33歳の女性10名に、はじめの7日間はポリデキストロース(トウモロコシから作られた水溶性食物繊維)7g入りのPD飲料、次の7日間はポリデキストロースが入っていないPL飲料を飲んでもらいました。

その結果、食物繊維の摂取で排便回数と排便量が増えました。また、便中の水分量が増えたことにより、便が柔らかくなりました。

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でも、実は、不溶性食物繊維も便秘解消に役立ちます。

不溶性食物繊維は、大腸内の通過時間の短縮、便の重量と排便回数の増加、大腸内容物の希釈により腸内環境に影響を与えます。

朝食にふすまなどの穀物繊維を摂取すると、少なくとも平均排便頻度が25%増加すると結論づけられます。

参照:日本ケロッグ合同会社 不溶性食物繊維と腸の関係

また、 水溶性食物繊維よりも、不溶性食物繊維の方が、大腸憩室症のリスクを低下させるという結果もあるんです。

食物繊維!どうして「水溶性」がいいの?

食物繊維は、善玉菌のエサとなって善玉菌の数を増やします。反対に悪玉菌を減少させる効果もあるんです。

健康な成人男女8名を対象に高コレステロール食とポリデキストロースを5gを含む飲料を1日に3本摂取してもらったところ、糞便中の悪玉菌の菌数及び検出率の低下が認められました。

食物繊維の悪玉菌減少効果

参照:大塚製薬株式会社 食物繊維の悪玉菌減少効果

また、食物繊維は、便のかさを増して排泄しやすくしてくれます。便量のかさを増す効果は不溶性食物繊維の方が強いと言われていますが、先ほどご紹介した研究では水溶性食物繊維でも便量が増えています。結局、どちらの食物繊維もバランスよく摂ることが大切なんですね。

あえて、水溶性食物繊維をおすすめするのは、海藻やこんにゃく、果実に多く含まれる水溶性食物繊維は不足しやすいからなのです。不溶性食物繊維は、多くの野菜や根菜に含まれているので、あまり不足することはないでしょう。ですから、水溶性食物繊維を意識しながら食べると便秘に効果的と言えるのです。

でも、食物繊維の摂り過ぎは便秘の原因にもなるので気を付けましょう。
食物繊維の多くは腸では分解できません。善玉菌などの腸内細菌が代わりに分解してくれますが、もし食物繊維を摂り過ぎると分解が間に合いません。そうすると、腸内に長く留まることになってしまうのです。その結果、悪玉菌のエサになる事もあるんですよ。

ですから、水溶性食物繊維を積極的に、不溶性食物繊維もバランス良く摂りましょう。