便秘になるとなぜめまいが起きるの?病気の可能性について
便秘になると、急に体調が悪くなることはありませんか?例えば、普段あまり起こらないめまいを起こすといったことです。
今までは便秘と体調不良の関連について、あまり考えていなかった方も多いのではないでしょうか。
今回は、便秘が体にどのような悪影響を及ぼすのか、便秘とめまいの関連性、便秘の解消法や病気の可能性について紹介していきます。
めまいの原因とは?
便秘とめまいの関連性について紹介する前に、まずは、なぜめまいが起こるのかを知っておきましょう。
厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」には、めまいとはこのように記載されています。
めまいは様々な原因で起こります。自分の体や地面が回っているように感じるめまいの場合、メニエール病をはじめとする耳の疾患からくることが多いでしょう。また揺れるようなふらふらする感じのめまいの場合は、脳腫瘍をはじめとする脳疾患が原因となっていることがあります。
こうした体の検査をしても異常が見つからず、精神科を紹介されることもあるでしょう。そこではじめて、精神疾患だったことがわかる場合があります。たとえば、めまいを感じて脳神経外科、耳鼻科、神経内科へ行き、最後に精神疾患だとわかるケースも少なくありません。
一見、遠回りに見えますが、まず身体疾患の検査をすることは、デメリットばかりではありません。めまいを感じ、最初に精神科に通いながら、なかなか改善しないので検査をしてみたら脳腫瘍が見つかることもあります。どんな症状であれ、まずは関係のある体の検査をしてみることが大切です。
便秘とめまいの関連
便秘になると、めまいが起こるという方はいませんか?一見すると、便秘とめまいには何の関係性もないように思えますが、実は関連がある場合もあります。
腸の老廃物が血管を伝って全身にまわる
便秘になると、腸内に老廃物がたまり有毒ガスが発生します。この有毒ガスは、腸から吸収されて血中に溶け込みます。その溶け込んだ老廃物が血管を伝って、全身にまわっていくと考えられています。そのため、お腹の調子だけでなく、頭痛、めまい、肩こり、疲れやすい、体がだるい、ニキビができる、肌荒れを起こすということもあります。
鉄分不足によるめまいと便秘
鉄分不足になると、全身に酸素が十分に行き渡らず、めまいの症状が現れることがあります。また、貧血になることで、新陳代謝の機能が落ちて、老廃物の排出機能も低下します。酸素不足によりいろいろな臓器の働きも低下してしまいます。腸の動きも鈍くなり、便秘になりやすくなります。
水分不足によるめまいと便秘
水分が不足すると、便が固くなり便秘になりやすくなります。また、水分不足になると体内の血液量が低下し、脳への血液量が低下することで、めまいの症状が起きることがあります。
女性ホルモンの働きにより便秘とめまいを同時に起こしている
女性は、排卵から月経までの間に、黄体ホルモンを分泌します。このホルモンは、便に含まれている水分を吸収する働きがあります。黄体ホルモンが活発になると、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が抑えられ、滞留時間が長くなるため、便が硬くなります。
同時に、ホルモンバランスの変化によりめまいや肩こりなども起きることがあります。
※蠕動運動(ぜんどううんどう)とは、意識しなくても腸が自発的に伸びたり縮んだりして、内容物を運ぶ運動のこと。
参照:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!(著 松生 恒夫)
便秘とめまいにおすすめの解消法
体質、体調によって、自分に合う解消法は違ってきます。
強いめまいや便秘を感じる時は、大きな病気が隠れている場合もあります。早めに、病院や専門機関を受診することをおすすめします。
便秘を解消する
便秘解消には、生活習慣、食生活を見直し、毎日適度な運動を行うことが必要です。これにより、頑固な便秘が解消する可能性が高くなります。ただし、めまいがある場合には、運動が適切ではないこともあるため、無理は禁物です。
また便意を我慢せず、外出先でも便意を感じたらトイレに行く、毎日決まった時間に排便する習慣をつけることもおすすめです。
鉄分不足、貧血を解消する
健康診断等で、貧血などの症状がわかっている場合は、積極的に鉄分不足を解消することを心がけてみましょう。食事では改善が難しいこともあるため、お薬を使うことも考えましょう。
内科、消化器内科、血液内科、婦人科などを受診することで、自分に合った薬が処方されることもあります。
水分不足を解消する
健康な人の便は、約80%が水分でできています。水分を適度にとることで、便が硬くなるのを防ぎ、便秘になりにくくなります。
1日に摂取すべき水分は、約2リットル以上がおすすめです。一気に多くの水を飲むのではなく、その都度コップ1杯程度の水にしておくことが大切です。
ただ、コーヒーや清涼飲料水はめまいや便秘を悪化させる可能性があるので、要注意です。
めまいが起きる時間を記録に残しておく
めまいが起きた日にちや時間帯、どのくらいの時間続いたかなど、記録を残しておくことも大切です。
この記録を病院の医師などに見せることによって、大きな病気が見つかる場合もあります。
生理前後にめまいが起きやすい場合は、女性ホルモンの働きによることも考えられます。そのような場合は、婦人科を受診することをおすすめします。
便秘とめまいを起こす病気
便秘になるとめまいを起こす方は、病気の可能性もあります。普段の生活で改善されない場合は、病院へ行って医師の診察を受けておきましょう。
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
便秘や下痢を何度も繰り返し、病院で詳しい検査をしても異常がみつからない場合は、この病気の可能性が考えられます。原因は、わかっていない部分も多いのですが、ストレスもひとつの原因だと考えられています。
主な症状は、便秘のみ、下痢のみ、便秘と下痢を繰り返すの3つのタイプがあります。さらに、膨満感・頭痛・めまいなど多くの症状があげられます。
自律神経失調症
精神的に落ち込むことが多くなると、自律神経症状が体にいろいろな症状があらわれます。体がだるい、めまい、便秘、下痢、うつ状態、肩こり、不眠などいろいろな症状を伴います。ただの便秘だと思っていた方も、最近ストレスが多い生活を送っている場合は、この病気の可能性もあります。自分で判断することは難しいので、医師に相談してみるといいでしょう。
直腸瘤(ちょくちょうりゅう)
中高年の女性や、出産によって起こりやすい病気です。直腸と膣の間の壁がうすくなり、排便することで直腸壁が膣の方へ膨らんでしまいます。その膨らんだ場所に便がたまるとなかなか排便できません。そのような状態が続くと、いきむことが増え血圧があがりめまいを起こすことが多くなります。直腸瘤は、食事や生活習慣を改善することでは治りません。薬物治療や手術をおこなうこともあります。
便秘でいきむことにより起きるめまい
便がなかなか排出されないと、いきむことも多くなります。いきみは体全体の力を使うので、血圧が高くなります。この状態が続くと脳卒中の危険性が高まります。血圧があがってめまいを感じることがあれば、注意が必要です。
特に冬に寒いトイレでいきむと、血圧が高くなります。脳卒中は高齢の方にしか起こらないと思う人もいますが、若い人も脳卒中になる方がいます。長い時間いきむのは危険なので注意しておきましょう。
参照:よくわかる便秘と腸の基本のしくみ(坂井正宙 著)
便秘はいろいろな症状を引き起こす原因になるので要注意
ただの便秘だと思い、そのままにしている方も多いかもしれません。今回の内容を読むと、体にどのような悪影響を及ぼしているのかよくわかったのではないでしょうか。まずは、普段の生活リズムを整えて、食生活をもう一度見直してみましょう。
それでも便秘やめまいが解消されない場合は、なんらかの病気になっている可能性も考えられます。自分で病気の判断をするのはとても危険なので、少しでも不安を感じたら医師の診察を受けておきましょう。