整腸剤の効果的な飲み方 – おすすめの整腸剤をタイプ別に厳選


便秘、軟便、ガスによるお腹の張り。
こんな風に、最近どうもお腹の調子が良くないな、という時には、整腸剤がおすすめです。

でも、「整腸剤はたくさん種類があってどの整腸剤を選べば良いか分からない」という方のために、市販の整腸剤と成分を厳選し、タイプ別に分かりやすくご紹介します。

また、整腸剤が効かない時の対処法についても詳しくお話しします。
これから整腸剤を購入しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

整腸剤ってどんなお薬?

疑問を感じる女性

整腸剤って良く耳にしますが、どんなお薬なのでしょう?まずは、整腸剤の効果的な使い方を理解するためにも、整腸剤について知っておきましょう。

まず、ほとんどの整腸剤には、乳酸菌やビフィズス菌といった、生きた菌(生菌)が入っています。

整腸剤に含まれる主な生菌

  • フェリカス菌(乳酸菌)
  • アシドフィルス菌(乳酸菌)
  • ガセリ菌(乳酸菌)
  • 有胞子性乳酸菌
  • ビフィズス菌
  • 酪酸菌
  • 糖化菌(納豆菌を含む)
最も多くの整腸剤に含まれるのが、乳酸菌である「フェリカス菌」や「アシドフィルス菌」と、「ビフィズス菌」です。

これらの乳酸菌やビフィズス菌は、お腹の中で悪さをする悪玉菌を減らし、逆に良い働きをする善玉菌を増やす働きがあります。

整腸剤に含まれる生きた菌の働き

乳酸菌

整腸剤の大半は、生きた菌(生菌)が含まれているタイプです。生菌の種類を大きく分けると、乳酸菌、ビフィズス菌があります。

そして、乳酸菌とビフィズス菌にもそれぞれ特徴があります。ここでは、大まかにどのような菌があるのか。その違いも知っておきましょう。

乳酸菌

乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出します。この「乳酸」が腸内を弱酸性にして、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やします。これにより、腸内環境が整います。

フェリカス菌
(乳酸菌)
フェリカス菌は、ヒトの腸内に元々棲んでいる菌です。
小さい球状をしているため、一度にたくさん摂取することができます。
アシドフィルス菌
(乳酸菌)
アシドフィルス菌も、ヒトの腸内に元々存在しています。
胃酸に強いため、腸まで生きたまま届きやすいという特徴があります。
ガセリ菌
(乳酸菌)
ガセリ菌は腸に定着しやすく、また長く定着することが分かっています。
ある研究では、摂取後1ヵ月半でもまだ腸内にとどまっていました。
有胞子性乳酸菌  有胞子性乳酸菌は、胃酸に非常に強く、腸まで生きたまま届きやすいという特徴があります。

 

ビフィズス菌

ビフィズス菌は、ヒトの腸内に多く存在し、腸に定着しやすい菌です。ビフィズス菌は糖を分解して乳酸と酢酸を作り出します。
この酢酸は、殺菌作用が強くて悪玉菌を減らす効果が高い上、腸の粘膜を保護する作用もあります。

酪酸菌

酪酸(らくさん)菌は、善玉菌の働きを活性化して悪玉菌の働きを抑えます。糖、炭水化物を分解して酪酸を生成します。腸の蠕動運動を促し、便秘解消に役立ちます。

※蠕動運動(ぜんどう-うんどう):腸の内容物を移動させる運動

糖化菌(納豆菌を含む)

納豆菌や酵母菌、麹菌(こうじきん)を総称して、糖化菌(とうかきん)と言います。糖化菌は、悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌の増殖を促します。納豆に含まれる納豆菌も糖化菌の1つです。

 

なお、整腸剤の説明書(添付文書)には、「ラクトミン」「コンクビオゼニン」などと表示されていることがあります。
ラクトミンやコンクビオゼニンは、生きた乳酸菌を乾燥させて製剤化した「乳酸菌製剤」のことです。ですので、これらも乳酸菌が入っていると考えて良いでしょう。

ラクトミンには、フェカリス菌やアシドフィルス菌。コンクビオゼニンには、フェカリス菌が含まれています。

整腸剤、便秘薬、下痢止めは何が違う?

処方薬

 

整腸剤は、便秘のときにも下痢のときにも使うことがあります。そのため、便秘薬や下痢止めと似たようなものとして混同されがちです。

では、整腸剤と便秘薬、下痢止めはどう違うのでしょうか?効果を得るためだけでなく、副作用を防ぐためにも、違いを理解して使い分けることが大切です。

整腸剤

メリット

  • お腹の調子をゆっくりと整える薬
  • 腸内細菌を正常な状態に戻すことができる

デメリット

  • 便秘・下痢に対する即効性は弱めである

便秘薬

メリット

  • 腸に刺激を与えるタイプと便を柔らかくするタイプがある
  • 便秘に対するすみやかな効果が期待できる

デメリット

  • 腹痛や下痢などの副作用やクセになりやすいなどのリスクがある

※便秘薬は、薬の分類上は「下剤」や「瀉下剤(しゃげざい)」、下痢止めは「止瀉薬(ししゃやく)」とも呼ばれています。

下痢止め

メリット

  • ぜん動運動を抑える薬、腸粘膜の保護する成分、殺菌成分などを含む
  • 下痢をすみやかに止める作用がある

デメリット

  • 便秘や習慣性のリスクと、感染性の下痢では悪化する可能性がある
便秘薬も下痢止めも、整腸剤に比べると便秘や下痢への効果が早く、効果も実感しやすいのが特徴です。しかし、副作用の危険性があるため注意が必要です。

便秘薬や下痢止めを繰り返し使うことはおすすめできません。

それに対して、整腸剤は腸内細菌のバランスを整えることで効果を発揮します。長期的にみても安全性が高いのが整腸剤のメリットです。

市販の整腸剤をタイプ別に見てみると..

注意を促す女性

現在市販されている薬の中で、「整腸薬」に分類されているものは全部で65製品あります。これらを含まれている成分でグループ分けしてみると以下の3つに分けることができます。

整腸剤の3つのタイプ

  1. 腸内環境を整えるタイプ(整腸作用)
  2. 整腸作用+他の効果を持つタイプ
  3. 上記に当てはまらないタイプ

1.腸内環境を整える(整腸作用)タイプ

このタイプの整腸剤は、さらに2つに分けることができます。

生菌のみ

生きた菌である「生菌(せいきん)」のみが配合されています。腸内細菌のバランスを整えることで効果を発揮します。

商品名 含まれる菌 こんな方におすすめ!
新ビオフェルミンS
乳酸菌(フェカリス菌、アシドフィルス菌)、ビフィズス菌 ・腸内環境を改善したい
・慢性的な便秘や下痢などに悩んでいる
・なるべく優しいタイプを選びたい
ミヤリサン
酪酸菌 ・腸内の健康を保ちたい
・ビフィズス菌、乳酸菌以外の菌を試してみたい

 

生菌 + α

生菌と、腸内で善玉菌の増殖を促す効果のあるビタミンや乾燥酵母などが配合されています。

商品名 含まれる菌 こんな方におすすめ!
新ラクトーンA
乳酸菌(フェカリス菌、アシドフィルス菌)、ビフィズス菌、ビタミン、乾燥酵母配合 ・食事が乱れている
・便秘がちでお腹が張っている
・生活リズムがくずれがち
ポポンVL整腸剤
乳酸菌(アシドフィルス菌、ガセリ菌)、ビフィズス菌、ビタミン配合 ・錠剤を飲むのが苦手
・便秘や軟便に悩んでいる
・栄養バランスが気になっている
ビオフェルミンVC
乳酸菌(ラクトミン)、ビフィズス菌、ビタミン配合 ・お腹の張りがきになる
・肉類好きでお腹が張ることが多い
・おならが気になる

2.整腸作用+他の効果を持つタイプ

このタイプの整腸剤は、さらに以下の3つに分けることができます。

  • 胃酸の分泌抑制、胃腸の消化作用などをあわせ持つ
  • 便を柔らかくする作用をあわせ持つ
  • ガスの解消効果をあわせ持つ
それぞれのタイプ別に、具体的な商品と合わせて説明します。

胃酸の分泌抑制、胃腸の消化作用などをあわせ持つ

生菌と、制酸剤や消化酵素などが配合されています。ビタミンや生薬(しょうやく)を含むものもあります。腸の調子だけでなく、胃の調子も同時にケアできるタイプです。

商品名 含まれる菌 こんな方におすすめ!
太田胃散整腸薬
乳酸菌(ガセリ菌)、ビフィズス菌、酪酸菌、消化酵素、生薬配合 ・腸内環境を改善したい
・慢性的な便秘や下痢などに悩んでいる
・なるべく優しいタイプを選びたい
ファスコン整腸錠プラス
乳酸菌(フェリカス菌)、ビフィズス菌、納豆菌、ビタミン、制酸剤配合 ・外からの刺激につよい腸になりたい方
・敏感なお腹を正常にしたい方
・ストレスやお酒でお腹が痛くなりやすい方
 パンラクミンプラス 有胞子性乳酸菌、納豆菌末、制酸剤配合 ・錠剤を飲むのが苦手な方
・植物性乳酸菌で腸内環境を改善したい
・胃の調子も悪い方

 

便を柔らかくする作用をあわせ持つ

生菌と、便を柔らかくする作用のあるマグネシウム、便を押し出す生薬が配合されています。

商品名 含まれる菌 こんな方におすすめ!
デ・ルモア錠
乳酸菌(ガセリ菌)、ビフィズス菌、酪酸菌、水酸化マグネシウム、生薬配合 ・便秘になりにくい腸内環境を作りたい
・便秘薬でお腹が痛くなりやすい方
・便が硬くなりやすい

 

ガスの解消効果をあわせ持つ

生菌と、お腹のガスをつぶして抑える作用の消泡剤が配合されているタイプです。消化酵素を含み胃腸の消化を助けるものもあります。

商品名 含まれる菌 こんな方におすすめ!
ラッパ整腸薬BF
乳酸菌(フェリカス菌、アシドフィルス菌)、ビフィズス菌、消泡剤 ・お腹のハリをなんとかしたい
・ガスを伴う便秘を改善したい
・おならが出る方
ガスピタンa
ガスピタン
(乳酸菌(フェリカス菌、アシドフィルス菌)、ビフィズス菌、消化酵素、消泡剤) ・お腹のハリをすぐになんとかしたい
・おならが気になる
・外出先で飲みたい

3.上記に当てはまらないタイプ

このタイプの整腸剤は、いずれも生菌を含んでいません。このタイプはさらに3つに分けることができます。

主成分(プランタゴ・オバタ)が食物繊維

食物繊維が水分を吸収して膨らみ、便のかさ(量)を増やして便を押し出します。

商品名 主成分 こんな方におすすめ!
ベストール
食物繊維(プランタゴ・オバタ) ・カチカチ便で出しにくい
・便の量が少ない方
・ストレスにより下痢や便秘を繰り返しやすい

 

主成分が薬用炭と生薬

薬用炭が有害物質や有害ガスをからめとり、この薬用炭を生薬が便と一緒に押し出します。

商品名 主成分 こんな方におすすめ!
クレンジル
薬用炭・生薬 ・腸に何か溜まってすっきりしない
・老廃物を出したい
・おならや便の匂いが気になる方

ここまで紹介した整腸剤以外にも色々な種類が発売されています。

自分の症状にはどの整腸剤が合っているのか知りたい方はぜひ読んでみてください。

 

整腸剤が効かない時にできることは?

医者に相談する女性

整腸剤を飲んでいても、あまりお腹の調子が良くならない.. という場合もあるでしょう。「整腸剤は効かない薬」なんて思っていませんか?

症状にもよりますが、整腸剤全てが効かないのではなく、あなたが選んだ整腸剤が合っていないだけなのかもしれません。

人それぞれ性格が違うように、腸内細菌にも個性があります。

生まれ育った環境が違えば、それぞれに持っている菌のタイプや割合も違います。配合された菌が異なる整腸剤ならば効果が出るかもしれません。

配合された菌の種類を変えてみよう!

配合されている菌を変えてみる場合、乳酸菌かビフィズス菌か、他のタイプを選ぶかによって、腸の反応も変わってくる可能性があります。パッケージに書かれている成分をよくチェックして、配合された菌をよく選んでみましょう。

特に大腸では乳酸菌よりもビフィズス菌の方が数が圧倒的に多いといわれています。便秘やお腹のハリなどで、大腸の調子を整えたいならばビフィズス菌配合の整腸剤がおすすめです。

整腸剤にもデメリットがある?

サプリメント

症状を改善するには乳酸菌、ビフィズス菌以外にもお薬成分が入った整腸剤は確かに効果的だといえます。胃薬やガスを抑える成分を同時に摂取できるというようなメリットがあります。

しかし、気をつけて欲しいのは、お薬成分が入った整腸剤を長く飲み続けることはおすすめできないという点です。さらに、整腸剤の場合には配合できる成分が決まっているので、菌の選択肢が狭くなってしまうというデメリットがあります。

健康食品やサプリも選択肢に入れてみよう

もし、乳酸菌やビフィズス菌で腸内環境を整えたいということならば、医薬部外品やトクホ、サプリメントを選択肢に入れるのも手です。

特にサプリメントの場合には、集中的に乳酸菌、ビフィズス菌を取り入れられて、手軽にはじめられます。菌の種類が豊富なのもサプリメントだからこそです。

サプリならば整腸剤とは違う種類の菌を取り入れられる

例えば、ラブレ菌、クレモリスFC菌、BB536株などです。これらは整腸剤では摂取できないタイプの菌です。整腸作用も高く、それぞれに臨床的な効果もあることが実証されている菌なので、試してみる価値はあるでしょう。

サプリメントはあくまでも食品なのでお薬のような速やかな効果は期待できませんが、じっくりと腸内環境の改善に取り組みたい方に役立つ存在といえます。

お腹のハリやおならに悩んでいる方には次の記事がおすすめです。腸内環境の改善が気になる方も参考にしてください。

整腸剤の効果を高める5つの心がけ

ほとんどの整腸剤に含まれる乳酸菌(ガセリ菌を除く)やビフィズス菌は、短いものでは3日、長くても1週間程度でその役目を終え、便と一緒に体の外に出てきます。
そのため、整腸剤を毎日飲み続けないと腸の健康を保つことができません。

また、整腸剤は副作用が少なく、比較的安心して飲み続けられる薬ではありますが、整腸剤だけに頼っていたのでは、いつまでも整腸剤を飲み続けなくてはなりません。

そこで、整腸剤の効果を高めるために、以下のことにも気をつけましょう。

整腸剤の効果を高める5つのこと

  • 規則正しい生活を送りましょう
  • バランス良く栄養をとりましょう
  • 運動をしましょう
  • 十分な睡眠をとりましょう
  • ストレスをためないようにしましょう
以上の心がけは、お腹の調子を整えるためだけでなく、日頃の健康のためにも必要なことです。

これらに気をつけるようにしていれば、いずれは整腸剤を使わなくても腸の調子を保てるようになるかもしれません。

参照:セルフメディケーションネット

参照:あなたの知らない乳酸菌力(後藤利夫 著)

 

整腸剤には副作用はない?

疑問を感じる女性

整腸剤は、便秘薬や下痢止めに比べると副作用の危険はかなり低いといえます。便秘薬のように使い続けることで、効きが悪くなるということもあまりありません。

ただし、お薬である以上は、まったく副作用が起こらないという訳ではないので気をつけましょう。また、症状によっては整腸剤で効果が得られない場合もあるので注意しましょう。

整腸剤の種類によっては服用できる期間が決まっているものがあります。長く飲み続けるのは好ましくない場合もあるため、なんとなく飲み続けることは禁物です。

こんな場合には整腸剤では効かない?!

整腸剤を1ヶ月以上飲んでいてもお腹の不調が改善されない場合は、別の病気が隠れていることも考えられます。

感染症や大腸ガン、過敏性腸症候群など、便秘や下痢の症状を引き起こす病気はさまざまです。自己判断せずに早めに病院で診てもらいましょう。

 

次の記事では、症状別におすすめの整腸剤を紹介しています。自分の症状にあった整腸剤を探している方はぜひ参考にしてください。