お腹が痛くならない便秘薬はどれ?長く飲んでも安心なタイプとは


便秘になった時には便秘薬を使いたくなりますが、お腹が痛くなるのは嫌という方は多いと思います。外出先や仕事中などにお腹が痛くなるのは困りますよね。

今回はお腹が痛くなりにくい便秘薬の種類と選び方についてお話したいと思います。

お腹が痛くならない便秘薬を使いたい!

便秘薬というと、お腹が痛くなるものと思われがちですが、便秘薬の中にはお腹が痛くなりにくいものもあります。

どのような種類ならお腹が痛くなりにくいのか、紹介していきましょう!

便秘薬を飲むとお腹が痛くなる理由は?

便秘薬を飲むとお腹が痛くなる理由は、いくつか考えられます。理由がわかれば自分でお薬を選ぶときにも役立ちます。

お腹が痛くなる理由は次の3つが挙げられます。

ぜん動運動が活発になりすぎる

便秘薬を飲んでお腹が痛くなるのは、腸が刺激を受け、腸が収縮するぜん動運動が強くなりすぎることが原因に考えられます。

大腸を刺激する成分の入った便秘薬を飲むと腹痛が起こりやすいのです。大腸を刺激しない成分を選ぶと良いでしょう。

腸の水分調整が乱れる

腸は水分を吸収する役割を持っています。便がちょうど良い水分量を保つことで、理想的な硬さの便を出せるようになります。

しかし、便を排泄するまでの間に、お薬の影響で水分吸収が追いつかなかったり、腸の水分が増えすぎることがあります。すると、下痢や腹痛を伴うこともあるので注意が必要です。

この副作用は刺激性の下剤だけでなく、大腸を刺激しないタイプの非刺激性下剤でも起こることがあります。

便秘のタイプが関係している

便秘のタイプによっては、お薬との相性が悪くて腹痛を起こしやすい場合があります。

例えば、過敏性腸症候群の場合、腸が過敏な状態になっています。便秘だけでなく下痢や腹痛を繰り返す場合もあるので、お薬の刺激によって腸が過敏に反応すると腹痛を起こしやすくなります。

また、腸がけいれんして細くなる「けいれん性便秘」も大腸刺激性の下剤が合わないといわれています。腹痛が起きたり、大腸刺激性の便秘薬を飲んでも効果が現れないこともあります。便秘のタイプによってお薬を使い分けることも大切です。

お腹が痛くならない便秘薬の選び方は?

お腹が痛くなりにくい便秘薬を選ぶには、便秘薬の成分について知っておくことが必要です。どんな成分があるのか知っておけば、お腹が痛くなりにくい便秘薬を選べるようになります。

お腹が痛くなりにくい順にあげていくと、次のような順番になります。

<お腹の痛くなりにくさ>

整腸剤や乳酸菌サプリ

酸化マグネシウム製剤

ファイバー系下剤

漢方薬

大腸刺激性下剤

※下に行くほどお腹が痛くなりやすくなります。

タイプによっては必ずしも以上の順番に当てはまらないこともありますが、おおよその目安として頭に入れておくと良いでしょう。具体的に種類別にお腹が痛くなりにくい理由については次に解説していきます。

お腹が痛くならない便秘薬の種類

お腹が痛くなりにくい便秘薬について、種類別に特徴を見ていきましょう。自分にとって合っているお薬を選ぶための参考にしてくださいね。

酸化マグネシウム含有の便秘薬

3Aマグネシア

酸化マグネシウムは便に水分を与えて、柔らかくするはたらきのある便秘薬です。大腸刺激成分が入っていないので、便秘の原因を問わず使いやすいお薬といえます。ただし、効果は比較的弱めなので、腸の動きが悪い方には効き目が現れにくいこともあります。

酸化マグネシウムについて詳しくはこちらの記事で解説しています。具体的な便秘薬について知りたい方はぜひ参考にしてください。

オイル配合や生薬成分配合の非刺激性便秘薬

大腸を刺激しない便秘薬は、お腹が痛くなりにくいのでおすすめです。先に紹介した酸化マグネシウムも非刺激性の便秘薬にあたりますが、他にも種類があります。

具体的な市販の便秘薬を紹介しましょう。

オイルデル(小林製薬)

オイルデル

便をスルっと出しやすくする生薬由来のオイル成分(麻子仁末)に、便に水をあたえて柔らかくするDSS(ジオクチルサクシネート)が配合された便秘薬です。大腸を刺激しないで自然な排便を促してくれる効果が期待できます。

漢方薬

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

漢方薬とは複数の生薬成分が合わさった処方に基づくお薬のことです。生薬単剤で使うよりも、効果が穏やかになり、副作用が出にくいという特徴があります。

漢方薬に配合されている生薬成分の違いによって、お腹の痛くなりにくさにも違いがあります。

例えば、六君子湯(リックンシトウ)や桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)などは、大黄を含まない漢方で便秘にも使われています。

逆に、ダイオウを含む場合には、大腸を刺激するため腹痛が副作用として起きやすいので要注意です。大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)は比較的効果が高く、腹痛を起こしやすいといえます。

参照:同仁堂

ファイバー系便秘薬

便秘薬の中には、食物繊維を成分として含むものがあります。プランタゴ・オバタ種子という植物由来の食物繊維は、「サイリウム」、「イサゴール」とも呼ばれます。

腸内で水分を吸収して便通をよくする作用があります。例えば、「スルーラックデトファイバー」や「コーラックファイバー」などに含まれています。

ただし、以上の製品にはセンナ、アロエのような大腸刺激成分が入っていることがあるので、お腹が痛くなる可能性があります。不安な方は調整しながら飲んでみると良いでしょう。

なお、市販の便秘薬については次の記事で詳しく紹介しています。他のお薬を知りたい方は参考にしてください。

また、便秘薬ではありませんが、食物繊維だけを含む健康食品(トクホ)として「イージーファイバー」があります。お腹が痛くなるのが不安な方は、試してみると良いでしょう。

整腸剤または乳酸菌サプリ

今回紹介する中では最もお腹が痛くなりにくいといえるのが、整腸剤です。生菌(乳酸菌などの生きた菌)が腸内環境を整えることにより、腸の状態を改善してくれるお薬です。

便秘を改善する効果がありますが、いわゆる便秘薬と比べると効果が穏やかになります。優れている点として、腸を刺激することはなく、安全なタイプなお薬なので、長期的に飲むことができます。

詳しくは次の記事で解説していますので、参考にしてください。

また、整腸剤と同じように乳酸菌を含むサプリメントでも、便通を改善できる場合があります。詳しくは次の記事で紹介していますので、参考にしてください。

お腹が痛くなりやすい便秘薬はどれ?

逆にお腹が痛くなりやすい便秘薬の特徴を押さえておくと、失敗が少なくなります。次に紹介する種類の便秘薬はなるべく避けるようにすると安心です。

大腸刺激性下剤

大腸を刺激する成分が入っている便秘薬は、お腹が痛くなりやすいので気をつけましょう。例えば、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、センノシドなどを含む便秘薬です。効果は早くて優れていますが、腹痛や下痢を起こしやすいといえます。

センナ、ダイオウ、アロエなどを配合した生薬製剤

同じく大腸を刺激する成分として、生薬系成分が入っているものも注意が必要です。上でも紹介したセンノシドやセンナだけでなく、ダイオウ、アロエなどの生薬も大腸を刺激してお腹が痛くなりやすい成分です。

生薬やハーブ由来だから、安全で優しいといったうたった商品も多いですが、必ずしも生薬だからといって優しいというわけではないことを頭に入れておくと良いでしょう。

便秘薬でお腹が痛くなりやすい人におすすめの対処法

お腹が痛くなるような便秘薬をなるべく使わないで済むようにするためにも、便秘薬でお腹が痛くなりやすい場合には次のような対処法がおすすめです。

注意を促す女性

刺激性の便秘薬はなるべく使わない

便秘薬の中でも特にお腹が痛くなりやすい大腸刺激性のタイプはなるべく避けるようにしましょう。お腹が痛くなりにくい便秘薬を使うか、困った時や外出しなくて良い日だけお薬を使うといった工夫をしましょう。

便秘が悪化する前に対処する

便が溜まりすぎると、排便するのが難しくなり、ますます痛みを感じやすくなります。便秘になってからお薬で解消しようとするのではなく、便秘がひどくなる前に対処しておくことが大切です。

日頃から腸内環境を整えておく

腸内環境の悪化は便秘につながります。乱れた食事であったり、ストレスや運動不足など腸内環境を乱す原因はさまざまです。

便秘にならないように、日頃から便秘を予防しておけば、便秘薬を使う回数も量も減ってきます。お薬に頼りすぎることのないように、便秘にならないような健康的な腸内環境を目指しましょう。