腸内環境を改善する方法と得られるメリットとは?
「最近、どうもお腹の調子が悪い」という人が増えています。
便秘、下痢だけではなく、「お腹だけポッコリ出ている」「ガスがたまって仕方がない」「食事をした後、お腹がゴロゴロ鳴る」などなど… 気になるお腹の悩みは、もしかしたら「腸内環境の悪化」が原因かもしれません。
さらに、アトピーなどのアレルギー症状や皮膚のトラブルにも腸内環境が関係していることがわかってきました。
腸内環境の悪化とは、どんな状態なのか? どうすれば腸内環境が改善できるのか。気になるお腹の悩みを解決する方法を紹介します。
目次
腸内環境が悪くなるデメリット
実は、食生活の欧米化や生活習慣の乱れが原因になり、日本人の腸内環境はどんどん悪化しているって、知っていましたか?
そして、腸内環境の悪化から、お腹にまつわる悩みやトラブルを抱える人が増えています。なかなか、人に言いづらいお腹の悩みですが、悩んでいるのはあなただけではないのです。
腸内環境が悪いってどういうこと?
腸は、食べ物を消化・栄養を吸収し、排泄する重要な器官です。腸には大腸と小腸がありますが、このうち大腸は腸内細菌の力を借りて便をつくる役割を担っています。この便をつくるプロセスで、腸内細菌がうまく働いてくれなければ、便秘や下痢が起きてしまう原因になります。
腸の活動をサポートする腸内細菌は、善玉菌、 悪玉菌、 日和見(ひよりみ)菌の3つに分類されており、協力しあいながら働いています。そのベスト・バランスは、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見(ひよりみ)菌70%といわれており、悪玉菌が増えすぎてしまうと腸の活動が停滞してしまうことがわかってきました。
つまり「腸内環境が悪い」=「悪玉菌が増え、腸内細菌のバランスが崩れている」ということなのです。
腸内環境と便秘のメカニズム
腸内環境が悪くなり、腸の活動が滞るために起きてしまう、もっともわかりやすい症状が便秘です。
腸ではセンサーが働いていて、食べたものを消化・吸収し、便をつくり&運び、排泄するという一連の動きをコントロールしています。腸と脳の連絡役として、この調節を行っているのが自律神経です。
何らかの原因(ストレス、不規則な生活、疲労など)で自律神経のバランスが乱れると、腸の内容物を移動させるセンサーが働かず、長く留まることで便が固くなり、スムーズに排泄することができなくなってしまいます。
そして、腸内環境と自律神経は相互に作用しあって働いており、腸内環境がいいと自律神経が整うことが証明されています。逆に、腸内の悪玉菌が優勢だと自律神経が乱れることで便秘になりやすく、便秘になるとますます悪玉菌が優勢になるという悪循環に陥ってしまうのです。
悪玉菌については、次の記事で詳しく解説しています。減らす方法もぜひ参考にしてください。
お腹ポッコリは腸の赤信号
「最近、お腹がポッコリでてきた」「なんとなくお腹がはる」「お腹に圧迫感がある」「ご飯を食べたあとガスがたまる」「食後に胸焼け、げっぷ、吐き気などがある」という症状に悩んでいませんか?
毎日、お通じがあったとしても、お腹がすっきりしないのは、腸内環境の悪化により腸の活動が滞っているからかもしれません
放置しておくと、慢性の便秘になる可能性が強く、さまざまな体調不良の原因になります。
腸内環境を改善して得られるメリットは?
最新の研究で腸がさまざまな身体の働きに関係していることがわかり、注目を集めています。腸内環境を改善することで、どんなメリットがあるのか紹介しましょう。
腸内環境が整えば、うつ病の予防になる
腸内環境は、うつ病にも関係しているといわれています。なぜなら、自律神経のバランスをつかさどる「セロトニン」という神経伝達物質の90%以上が腸内でつくられているからです。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、心の安定やストレスのコントロールに大きく関わっています。
最近の研究では、腸内環境の悪化により、セロトニンの分泌が不足することが、うつ病の原因のひとつかもしれないことがわかってきました。
便秘を解消することで、アンチエイジングにも効果
便秘により代謝が悪くなると、老廃物から発生した有害物質が腸に溜まり、その有害物質を処理するために活性酸素が発生します。活性酸素が増えすぎると、毛穴の黒ずみ、しわ、シミ、骨粗しょう症、白髪、疲労など、老化の原因になります。
腸内環境が改善されると、活性酸素の働きも抑制できるため、アンチエイジングにうれしい効果が期待できます。
腸内がキレイになれば、肌もキレイに!
「美肌は腸から!」と言っても過言ではないほど、便秘に苦しむ女性の多くが、肌トラブルにも悩んでいます。
なぜなら、便秘により腸内に溜まった老廃物や有害物質は、腸の粘膜に張りめぐされた毛細血管から血液中に溶け込み、全身に運ばれてしまうからです。ニキビや吹き出物、肌荒れなどのトラブルは、腸から運ばれた有害物質の影響によるものです。
腸内環境が改善されれば、当然、肌も生き生きとしてくるはずです。
腸内環境の改善で、免疫力もアップ!
腸に運ばれてくる細菌やウィルスなど「カラダに有害なもの」からカラダを守るのも、腸の大切な役目。そこで活躍するのが、有害なものをやっつけてくれる免疫細胞です。実は、カラダの中の免疫細胞の60~70%が腸に存在しています。
けれども、腸内環境が整っていないと、いざという時に免疫細胞がしっかり働いてくれません。たとえばガンの発症や、アトピー性皮膚炎などのアレルギーにも、腸の免疫細胞が関係していると考えられています。つまり、腸内環境の改善は、ガンの予防やアレルギー症状の改善にもつながります。
腸内環境を改善するための5つのポイント
腸内環境を改善するためには、腸が喜ぶ食生活を心がけ、スムーズな排便習慣が身につくよう、生活習慣を整えていく必要があります。そのためには、最低でも2週間が必要。すぐに効果が出なくても、あきらめず、コツコツ続けましょう。
善玉菌を増やすには、まず食生活から!
腸内環境を改善するために、まず取り組みたいのが、善玉菌を増やし、便秘を解消してくれる食品を積極的にとること。
基本は「乳酸菌+食物繊維」。「玄米、ワカメの味噌汁、漬物、納豆、野菜の煮物」など、乳酸菌を豊富に含んだ発酵食品と、食物繊維がバランスよくとれる昔ながらの和食がおすすめです。「忙しくて、なかなか食事に気を使うことができない」という場合は、サプリメントなどもうまく活用し、善玉菌を増やしましょう。
乳酸菌のサプリメントについては次の記事で詳しく紹介しています。おすすめのサプリメントもチェックしてみてください。
≪腸内環境の改善におすすめの食品≫
発酵食品 | 乳酸菌が豊富で、腸内環境を整える | 味噌、醤油、漬物、キムチ、ヨーグルト、チーズ、甘酒、納豆など |
食物繊維を多く含む食品 | 善玉菌のエサとなる、便通を促す | 海藻、アボガド、キウイ、りんご、バナナ、ゴボウ、里芋、人参、さつまいも、セロリ、豆、玄米、茸など |
オリゴ糖を多く含む食品 | 善玉菌の代表「ビフィズス菌」のエサになる | 牛乳、バナナ、はちみつ、とうもろこし、きな粉など |
ナッツ類 | 腸内の水分を調整する働きがあるマグネシウムを豊富に含む | カシューナッツ、くるみ、アーモンドなど |
オイル | 腸を刺激し、運動を促進させるオレイン酸を豊富に含む | オリーブオイル、なたね油、アーモンドオイルなど |
なお、腸内細菌を増やす食べ物については、次の記事でも詳しく紹介しています。
体内リズムを整える!
人間の身体には自律神経による「体内時計」がそなわっており、腸にも消化・吸収・排泄のリズムがあります。
昼夜逆転、朝食抜き、不規則な食事時間、夜遅い食事、便意の我慢など、リズムを乱す生活を送っていると、自律神経の乱れから便秘がちになり腸内環境の悪化につながります。できるだけ規則正しい生活を心がけ、体内時計を整えましょう!
≪体内リズムを整えるためのポイント≫
- 1日3食とる
- 寝る3時間前までに食べ終える
- 早寝・早起きを心がける
- 便意を我慢しない
ストレスをためない
繰り返しになりますが、「脳腸相関」といわれるくらい、脳と腸の活動は密接に関係しています。ストレスは、自律神経を乱すことで便秘や下痢の原因となり、さらに腸内環境を悪化させてしまいます。
たとえば「緊張すると下痢をしてしまう」という経験はありませんか? ストレスによるお腹のトラブル(便秘、下痢、腹痛など)を抱えている人は「3人に1人」という調査結果もあるほど、現代人にとってストレスによる体調不良は身近な問題なのです。
ストレスを避けて生活することは難しいかもしれませんが、腸のためにも、「ゆっくり休む」「睡眠を十分とる」「美味しいものを食べる」など、ストレスを発散・解消する方法を身につけておくことが必要です。
お腹の冷えに気をつけて
現代人の腸内環境が悪化している原因のひとつとして、「腸の冷え」が指摘されています。冬の寒い時期の薄着はもちろん、夏、エアコンのきいた室内でお腹を冷やしてしまうケースも増えています。
冷えにより血行が悪くなると、腸の活動も停滞してしまいます。また、屋内と屋外の寒暖差も、腸に大きなストレスを与え、活動を抑制する原因になるので気をつけましょう。
運動不足を解消しよう
どんなにカラダによい食品を食べても、腸が元気に動いてくれなければ、便秘は改善されず、悪玉菌が増えてしまいます。腸を動かすためには、毎日、軽い運動をすることも必要です。
そのために、何よりてっとり早いのが、歩くこと(ウォーキング)。振動で刺激され、内臓の運動も活発になります。血流がよくなり、身体が温まると善玉菌が増えて一石二鳥。そのほか、階段の上り降りも、腸の活動を活発にし、インナーマッスルを鍛える効果があります。「本格的な運動をする時間がない」「運動が苦手」という人でも、これなら続けられそうですね。
腸内環境を整える方法については、次の記事でも詳しく紹介しています。
まとめ
残念ながら、悪化している腸内環境を改善するための特効薬はありません。また、せっかく努力して、一時的に腸内環境が改善したとしても、バランスの悪い食事や不規則な生活に戻ってしまうと、すぐに腸内環境は悪化してしまいます。
大切なのは、「コツコツ継続すること」。「食事」「体内リズム」「ストレス」「冷え」「運動」の5つのポイントに気をつ腸内環境の悪化けて、腸を健やかに保ちましょう!
参照:脳に! 体に! 最強のアンチエイジングは腸活だった!(辨野義己 著)
参照:3週間ですっきり腸美人に生まれ変わる30の方法(大竹真一郎 著)
参照:ビタミンef特別編集 腸をキレイにしてやせる!若返る!(主婦の友社)
参照:腸で変わる! 病気にならない、50代からの生活習慣(藤田紘一郎 著)
参照:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!(松生恒夫 著)
参照:よくわかる 便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)