腸内フローラを改善するための5つのポイントとは?


ビューティー&ヘルスケアに意識が高い女性や、「いつまでも元気で若々しく」と願う人たちに、いま何かと注目されているのが「腸内フローラ」。

最新の研究では、便秘や下痢などお腹の状態はもちろん、「太りやすい」「痩せにくい」などの体質や、アンチエイジングや美容、アトピーなどアレルギー症状の改善、免疫力アップやガン予防にも腸内フローラが関係していることがわかってきました。

けれども腸内フローラの状態を改善し、身体の中からキレイになるためには日々の積み重ねが大切であり、簡単なことではありません。今回は、腸内フローラを改善するメリットやその具体的な方法を紹介します。

腸内フローラ

あなたの腸内フローラは大丈夫?

疑問を感じる女性

腸内フローラ十人十色。その個性は、ライフスタイル、ストレスなどに影響を受け、年齢とともに変化していきます。ところが、食生活の欧米化や生活習慣の乱れが原因になり、日本人の腸内フローラはかつてない危機を迎えているのです。

年を重ねるごとに「なかなか疲れがぬけない」「急に老け込んだ」「どんどんお腹がポッコリでてきた」など気になる悩みを抱える人は多いはず。もしかしたらその原因は、腸内フローラにあるのかもしれません。

腸の中から美しく!

腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)は分類学の用語で「植物群集」という意味。人間の腸の中には、10兆個以上の細菌が群れをつくってすみついており、腸の活動をサポートしています。

腸内フローラを構成する腸内細菌は、乳酸菌やビフィズス菌など腸の働きをサポートする「善玉菌」、ウェルシュ菌やブドウ球菌など腸内で腐敗を起こし身体に有害な物質をつくる「悪玉菌」、善玉菌・悪玉菌のうち勢力の強い方に協力する大腸菌やバクテロイデスなどの「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分類されています。

腸内フローラのベストのバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」。悪玉菌が増えると日和見菌が悪玉菌に協力することで腸の活動が停滞するだけでなく、身体にさまざまな悪影響を及ぼします。

腸内環境の理想的なバランスは2:1:7

つまり、腸の活動を活発にし「美と健康」をキープするためには、善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えることが大切なのです。

腸内フローラの状態を知ろう

残念ながら、腸内の善玉菌は加齢とともに減少し、悪玉菌が増えていってしまいます。これは老化現象なのである程度は仕方がないことですが、最近では若い人の中にも腸内フローラのバランスが崩れているケースが増えているといわれています。

あなたの腸内フローラの状態がどうなっているのか、知りたいと思いませんか?

  • 3日以上排便がない
  • 排便後もお腹がスッキリしない
  • 固い便がでる
  • ウサギの糞のようなコロコロした便が出る
  • 下痢ぎみ
  • 便の色が黒っぽい
  • 便やおならが臭い
  • お腹がポッコリ出ている
  • 肌荒れや吹き出物などお肌のトラブルを抱えている
  • 顔色が悪く、老けてみられる
  • 寝つきが悪い
  • むくみやすい
  • 冷え性
  • あまり運動をしない
  • 朝食を抜くことが多い
  • 一日3食食べない
  • 水分の摂取量が少ない
  • 野菜やキノコ、海藻類はあまり食べない
  • ヨーグルト、納豆、みそなどの発酵食品はあまり食べない
  • 50歳以上

このうちひとつでもあてはまり、全体で3個以上思いあたることがある人は、要注意。腸内フローラのバランスが崩れている可能性が高いと思われます。

10個以上あてはまる場合は、今すぐ腸内フローラを改善する生活にシフトすることをおすすめします。

腸内フローラを改善するメリットは?

疑問を感じる女性

善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えると、身体にどんなメリットがあるのでしょうか? 「便秘の解消」「肥満の予防」… それだけではありません。さまざまな研究やデータから気になるお肌の悩みや、病気の予防、アンチエイジングにも効果があることが証明されてきました。

しつこい便秘にさようなら

便秘

便秘は腸内フローラのバランスが崩れ、悪玉菌が増えているサインです。しかも、腸内の悪玉菌が優勢だと便秘になりやすく、便秘になるとますます悪玉菌が優勢になるという魔のループに陥ってしまいます。根本的に解決するためには、安易に便秘薬や下剤に頼るよりも、腸内フローラのバランスを整えていくことをおすすめします。

また便秘だけでなく、ガスがたまることによるポッコリお腹、下痢、腹痛などの体調不良も、腸内フローラのバランス悪化をあらわしています。しつこい便秘やお腹のトラブルにならないうちに、できるだけ早く対策をうった方がいいでしょう。

いま注目の「腸内フローラダイエット」

最新の研究で、「太りやすい」「痩せにくい」などの体質にも腸内フローラのバランスが影響していることがわかってきました。「たくさん食べても太らない」という人の腸の中には善玉菌が多く、逆に肥満の人の腸の中には悪玉菌が多いことが検証されています。

つまり「太りにくい」体質にシフトするためには、別名「痩せ菌」とも呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やせばいいのです。

美容にも。アンチエイジングにも?!

悪玉菌の活動により発生した有害物質は、腸の粘膜に張りめぐされた毛細血管から血液中に溶けて全身に運ばれ、ニキビや吹き出物など肌トラブルをひきおこします。

それだけではありません。腸に溜まった有害物質を処理するために発生する活性酸素が増えすぎると、毛穴の黒ずみ、しわ、シミ、骨粗しょう症、白髪など老化の原因になります。

腸内環境が改善されると、有害物質の働きを抑制できるため、美肌やアンチエイジングにうれしい効果が期待できます。

免疫力アップでアレルギー症状の改善にも有効!

病気の原因になる有害な細菌やウィルスから身体を守る機能を「免疫」といいます。その免疫機能をつかさどる「免疫細胞」の60~70%は腸に存在しており、外部から侵入してくる有害な物質を判別しシャットアウトする役割を担っています。

たとえばアトピー性皮膚炎や花粉症、ぜんそくなどのアレルギーは、免疫機能がうまく働かないために起こることが知られています。最近では腸内フローラのバランスを改善することで、アトピー性皮膚炎を治療する研究なども進んできました。

ストレス

「幸せホルモン」とも呼ばれている神経伝達物質「セロトニン」を知っていますか? 心の安定やストレスのコントロールに大きくかかわっているセロトニンですが、実はその90%以上が腸内でつくられています。腸内環境の悪化によりセロトニンの分泌が不足することが、うつ病の原因のひとつかもしれないことが、最新の研究でわかってきました。

「ストレスを感じるとお腹をこわす」という経験は誰でも一度や二度はあるのではないでしょうか? 腸内フローラのバランスが崩れるとセロトニンの分泌が低下しストレスを感じやすくなり、イライラしたり不安を感じやすくなると言われています。

さらに、そのストレスによりますます腸内フローラのバランスが崩れ、お腹をこわすという悪循環に陥ってしまいます。

逆に腸内フローラのバランスを整えていくことで、ストレスに強くなり、気持ちも安定し、心身共に健康な体を手にいれることができるのです。

腸内フローラを整える5つのポイント

注意を促す女性

腸内フローラのバランスを改善するためには、善玉菌を増やし、日和見菌を味方につけなければなりません。そのためには、まず、善玉菌を増やす5つのポイントに気をつけながら食生活を見直しましょう。

発酵食品をしっかり食べる

善玉菌の代表格として知られている乳酸菌は自然界に広く存在しており、ヨーグルトだけでなく味噌、漬物、納豆など、さまざまな発酵食品を生み出しています。

腸内フローラのバランス改善の第一歩は、発酵食品を積極的に食べること! ふだんの食事で、できるだけ発酵食品を食べることを心がければ、自然に善玉菌が増えていきます。

発酵食品 味噌、醤油、ぬか漬け、粕漬け、ピクルス、キムチ、ザーサイ、ヨーグルト、チーズ、甘酒、納豆など 発酵食品

食物繊維はじょうずにとろう

便秘を解消し、善玉菌のエサになる食物繊維も、腸内フローラのバランス改善に欠かせません。けれども、食物繊維の間違ったとり方で便秘が悪化してしまうことがあるのを知っていましたか? 実は、食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があるのです。

どの食品にも水溶性・不溶性の2種の食物繊維が含まれていますが、そのバランスは「水溶性 1:不溶性2」が理想的だといわれています。不溶性食物繊維を食べ過ぎると便の水分が奪われ、かえって便秘の原因になることもあるので注意してください。

不溶性食物繊維を多く含む食品 玄米、さつまいも、ブロッコリー、いんげん豆、あずき、切り干し大根、干し柿、アーモンドなど 不溶性食物繊維
水溶性食物繊維を多く含む食品 アボカド、オクラ、きのこ類、海藻類、こんにゃく、やまいも、ごぼう、納豆など 食物繊維

腸内細菌が喜ぶ食品を知っておく

その他にも、善玉菌のエサになるオリゴ糖、腸内の水分を調整する働きがあるマグネシウムと食物繊維を含む「ナッツ類」、腸を刺激し運動を促進させるオレイン酸を豊富に含む「植物性オイル類」など、善玉菌が喜ぶ食品を積極的にとりましょう。

オリゴ糖を多く含む食品 牛乳、バナナ、はちみつ、とうもろこし、きな粉など オリゴ糖を含む食品
ナッツ類 カシューナッツ、ピーナッツ、ビスタチオ、くるみ、アーモンドなど ナッツ
植物性オイル オリーブオイル、なたね油、アーモンドオイル、ココナッツオイルなど  オリーブオイル

その他、腸内細菌を増やす食べ物は次の記事でも詳しく紹介しています。

肉食はNG

肉類などの動物性たんぱく質は悪玉菌の大好物です。肉類は消化が悪いため、胃で完全に消化されず、腸で悪玉菌のエサになってしまいます。肉中心の生活を送っていると悪玉菌が増え、腸内フローラのバランスが崩れてしまうので、注意しましょう。

特に「糖質制限ダイエット」などで炭水化物や食物繊維を制限し、肉食中心の生活を送っていると、たとえ痩せられたとしても腸内環境が悪くなるリスクがあります。

「お肉が大好き」という人は食べすぎに注意し、「味噌漬けにする」「ヨーグルトをソースにする」「オリーブオイルで焼く」など調理法を工夫したり、「つけあわせにキノコや豆を食べる」「海藻たっぷりの味噌汁をサイドメニューにする」など意識して、発酵食品と食物繊維を組み合わせるよう努力した方がいいでしょう。

乳酸菌サプリもおすすめ

ひとくちに乳酸菌といっても、いくつもの種類があり、その特徴や作用もそれぞれ違います。そのため、効率よく善玉菌を増やすためには、自分に合った乳酸菌をみつけなければなりません。

毎日、ヨーグルトを食べ続けたり、食生活に注意をしていても「余り変化がみられない」という人は、自分に必要な乳酸菌を腸に届けられていないのかもしれません。そんな場合は、いくつもの乳酸菌やビフィズス菌が配合されたサプリメントを試してみてはどうでしょう? 乳酸菌だけでなくオリゴ糖や食物繊維が配合されたものもあり、効率的に乳酸菌を腸まで届けることが可能です。

乳酸菌を摂れるサプリメントについては次の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひ読んでみてください。

まとめ

「腸内フローラのバランスが悪化」⇒「便秘」⇒「ますます悪玉菌が増える」の悪循環に入ってしまうと、一朝一夕で善玉菌を増やすことは難しいかもしれません。けれども、劇的に効果が出るわけではありませんが、毎日続ければ、必ず変化が実感できるはずです。サプリメントなどの力も借りながら、コツコツ善玉菌を増やす生活を心がけてみてください。

参照:3週間ですっきり腸美人に生まれ変わる30の方法(大竹真一郎 著)

参照:「おなかの張り」をとれば腸は年をとらない!(松生恒夫 著)

参照:よくわかる 便秘と腸の基本としくみ(坂井正宙 著)